テレビ棋戦のはなし

昨日は公式戦のリアルタイム中継がありませんでした。
こういうときの将棋連盟ライブ中継は、「好局振り返り」と題して、過去の中継局に勝者の解説や感想を入れて、配信していることが多いです。
自分自身も何度か取り上げていただきました。
リアルタイムの緊張感はない代わりに、本人の感想ほど確かなものもないので、その将棋を詳しく知りたい、勉強したいという方には特にオススメのコンテンツです。
昨日の菅井ー澤田戦は、弟弟子の会心の一局でした。

今日はテレビ将棋の話を。
報道によれば明日、藤井四段の次の対局があるようです。
ご存じの通り、NHK杯・銀河戦・女流王将戦のいわゆるテレビ対局では、収録から放映までの間、原則として結果を公表しないことになっています。
結果を知らずに観たいという、視聴者の興味をそがないための配慮です。
ただ、キリ勝や昇段等の報道は行われるので、それによって結果が分かってしまうというケースはときどき(たぶん年に数回程度)生じています。
たぶん明日は、連勝ストップあるいは継続の、報道がある可能性が高いと思います。

以前は、将棋連盟HPに出ている通算あるいは年度の成績の更新によっても、結果が分かるケースがありました。
現在は、成績への反映は放映後に行い、結果が類推できないように配慮しています。
ただそもそも、「放映日をもって対局日とする」という対応のほうが良いと、個人的には以前からずっと思っています。
だいぶ前に、ブログにそういう趣旨のことを書いたこともあります。
最近大平六段が全く同じことを書いていたので、久々に思い出しました。

半面このやり方だと、たとえば明日の藤井四段の結果とか、あるいは先日の三浦九段の対局結果とかも、その日には報道されないことになります。
それが果たして良いのかどうか?
自分は合理的な解決策だと思っていたので、実際に公の場で発言(提案)したこともありました。
そのときには対応は変わらず、物事を変えるというのはなかなか大変だなあと思ったりもしたものですが、実際のところ、こうやって報道を見ているとどっちが良いかはたしかに難しい問題と感じます。

ちなみに棋士は、結果を知っていることも多く、たとえば僕は先日のNHK杯決勝を、結果を知っている状態で観ていました。
それでも、十分に面白かったです。
ただ、たまにファンの方に聞くとやっぱり結果を知らずに観たいという方が多いようなので、それならばできる限りはそう配慮すべきではないかということで、自分の意見はいまも変わっていません。

ついでにもうひとつ、これもだいぶ前に書いたのを思い出したので最後に。
「それでは感想戦の途中ですが・・」で終わる様式美は、いまだに好きになれません。
対局中は同時進行で解説しているのでそのまま流すのが自然、しかし感想戦は編集かあるいは解説を入れたほうが、ポイントが分かりやすく良いものに仕上がるように思います。
対局者としても、なるべく時間内にちょうど急所の場面を収めたいと思っても、なかなか思った通りにはいかないですし、観る側からすると、難解で内容が分からないことが多いので。
長年の疑問と希望です。

3件のコメント

  1.  要するに、NHK杯などのテレビ対局を「ライブ」とするかどうかだと思います。

     普通の市民は、自分の仕事や家事その他で時間を使っており、貴重な余暇を、結果が分かっているものに時間を費やす市民はあまりいないのではないかと思います(研究は別の話)。

     それは、サッカーや野球などメジャーなスポーツですら再放送がない事からもある程度自明だと思います。

     テレビ放送がライブと市民は考えているから、事実上先生のおっしゃるとおり「放映日=対局日」と考えて番組を見ていると思います。

     本件はテレビ放送をライブ(リアルタイム)と扱うのか否か、という問題だと思います。

     それと、テレビは、バラエティなど録画したものを後日報道する、それまではエンバーゴ、というのが当たり前の世界という特質があると思います。

  2. 三浦先生の復帰後初勝利の声は、やはりすぐに聞きたかったので翌朝の新聞に載っていて良かったと思いました。
    「銀河戦の放送は2ヵ月後なので、そのコメントは2ヵ月後に公表します」では、あまりにも格好がつかないでしょう。

    ネタバレが起こるケースは少なくなっていると思いますし、すぐに伝えるべき結果だからこそ大きく報道されているのだと思います。
    テレビ棋戦でそのような場合になるのは少ないのに、そのためだけに放送日=対局日にするような大きな変更をするメリットは少ないと思います。

    1. たしかに、いまさら変えるのもどうか、ということもありますしね。

      それとこの件と直接は関係ありませんが、いずれは将棋も生放送での対局とか、あるいはJT杯のように会場で観戦できる対局が増えてくると良いなと(以前から)思っています。

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