順位戦

昨日は何年ぶりかに、夕休明けから控室で順位戦の検討。
20代の頃は日々、連盟に通い詰めていたものですが最近はすっかりご無沙汰でした。
やっぱりリアルタイムで将棋を観るというのは勉強にもなりますし、何より楽しいので、今後はまたときどきはこうやって、足を運びたいと思っています。
名人戦棋譜速報

昨日のB2は比較的進行の早い将棋が多く、夕休前後にまず注目したのが中村修ー飯島戦。
最終手△3九銀が必至というのにしばらく気づかず、「投了」と聞いてすぐにすべてが判明。
投了以下▲3九同金に△同竜だと▲5六歩で難しいのですが、代えて△5九金▲4八玉△6八竜の3手詰があります。
直前の▲3七銀に代えて▲2六歩△3九銀▲同金△同竜▲5六歩という変化を検討していたので、という人間ならではの盲点でした。

鈴木ー戸辺戦の116手目のコメント、変化図を作ると↓のようになります。
(115手目▲5四角に代えて▲7三桂△同飛▲5四角△7二歩▲7四桂まで)

この変化はかなり奇跡的な順で、▲7三桂をこのタイミングで打たないといけない(△同銀には▲7二銀で詰むので、△同飛に限定できる)というのがミソ。
最終手の▲7四桂が「詰めろ逃れの詰めろ」で、どうやらこの局面は先手勝ち。
すごい変化があるものだと、控室で盛り上がっていました。

この順をふまえて、106手目の△9九飛成では△8八飛成もあり、以下▲9六玉△7六飛▲8六金△7二銀・・という変化も難解。(検討の感じでは後手が勝ちそう)
実戦の終盤というのは、毎回ではないけどちょくちょくこうやって作り物以上に難解で面白い変化を内包します。
本当に面白く、そして不思議なものです。

 

日付戻って一昨日のC2は、遠山ー増田戦が、相雁木のスピーディーな駒組み、その後のまったりした攻撃陣再編成、急に終盤へとなだれ込んでいく流れ、とどれも自分にはびっくりで、これが近未来の将棋なのかと衝撃を受けました。
遠山君本人のブログに書かれている変化も、なかなかお目にかかれないような面白い手順です。

ちなみに△3三角までの局面は、公式戦では初めてらしいですが前にも書いた通り、僕は子どもの頃に何度も指したはずです。
その後は角を2六(8四)に転換することが多かったと記憶しています。
まさか平成も30年近くなって流行の兆しを見せるとは、将棋とは本当に不思議なゲームだと思います。

ところで、↑のブログに「最近は前例を調べていないので」と書かれていて、ちょっと考えさせられました。
自分のように、他のプロの将棋を熱心に見ているのは、いまや少数派、あるいは守旧派なのかもしれません。

昨日もそうだったし、最近は控室に足を運ぶ棋士は少なくなっています。
他にもっと効率の良い勉強法や、やるべきことがあるのも事実なのでしょうけど、結局は楽しくないと続かないので、僕はこれからもいまのスタイルを大きく変えることは、ないような気がしています。
(と言いつつ先のことは分かりませんが)

楽しみながら強くなるのが理想で、プロになるとそうとばかりは言っていられない、と言いつつも根幹となる部分は同じです。プロである前に人間なので。
しばらくはいまの生活を続けて、結果が残せるように頑張りたいと思っています。

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