三たび雁木の話

昨日のJT杯、地元の広島で対局があり、結果は豊島八段の勝ち。
先日の怪童戦のとき、地元のメンバーで顔を合わせて、糸谷君が故郷に錦を飾れるか、というような話になったのですが果たせず残念でした。

それにしても雁木の流行はとどまるところを知りませんね。
ちょっと話は変わりますが、先日発売された将棋年鑑のアンケートで「今一番注目している戦型」という項目に僕は「▲4五桂ポン」と答えました。
実際、流行していたわけですがみんな警戒するようになったのか、あるいは自重するようになったのか、一時期ほどは見なくなってきた印象です。

いっぽう雁木(正確を期して「ツノ銀雁木」という呼び方もあるとか?)の流行はとうぶん続きそうな予感です。
昨日の将棋で、注目しておくべきであろう局面をひとつ。

この△8三桂打ちは「控えの桂」で、部分的には昔から習いある筋。
この形の場合、▲7六銀と受けても構わず△7五桂と跳ねて、▲同銀△7四歩で攻めが続くというのがキモになっています。
この攻めを早指しで、しかも初見で受け止めるのはかなり難しいという印象です。
本局は▲7六金と受けましたが、しばらく後の△3九角が厳しい一手になりました。

実は僕も、似た筋をまったく違う将棋で指された経験があり、そのときのことを思い出しました。

図は今年のNHK杯予選で、阿部光瑠六段に同じ△8三桂を打たれた場面。
すこし配置は違えど、雰囲気はよく似ています。
受けにくくて困ったのも同じです。

しかし実はこの将棋、出だしは雁木とはまったく違って、もとは相居飛車ですらなく、中飛車でした。
角交換のあと、すこし古風な組み方をしてくるなと思っていたら、いつの間にか右玉風、そして現代風の局面になっていてびっくり。
これが「古い革袋に新しい酒を入れる」の好例でしょうか。

この将棋は自分としてはそんなに出来の悪い将棋ではなかったものの、うまく指されて完敗。
序盤は特に、局面を広い視点をとらえておくことが大切と思いました。

「この形の必須手筋」のようなものは、どんな戦型にも必ずあって、出始めの戦型だとこうやって未知の手筋や眠っていたはずの手筋が顔を出すことがよくあります。
やがてそれは先駆者たちの英知と努力にとって、セオリーであったり、あるいは定跡に進化していきます。

今日紹介した手筋は、もちろんプロ同士だと簡単には決まらないないと思いますが、アマ強豪の方は、押さえておけば大会でけっこう勝てるのではと思います。

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