10/10 田中寅九段戦

先日の順位戦の対局について、簡単に振り返っておきます。
全棋譜は名人戦棋譜速報で。

対局翌日にも書いた通り、序盤は苦しい立ち上がりでした。
図は仕掛けの場面で、△5二金と上がった瞬間に▲5四歩と角筋を通して開戦。
いかにも好機をとらえられた感がありました。

図以下△同歩に▲2六飛が狙いの一手。
そこで△3五飛は▲2四飛でまずいので、自然な手は△4五歩なのですが、▲2四飛△8八角成▲同銀と進んで

ここで△2二歩は▲4四歩で銀がアウト。
ほかに△3五飛は▲2六角が絶好打で攻め合い負け。

ということで実戦はこの変化を避け、▲2六飛に△5五歩と振り飛車の手筋で粘りに出たものの、これではすこし形勢が悪い感じです。

変化手順中、▲4四歩に△5二銀と逃げるスペースがあれば大変だし、▲2四飛と出たときに△3二金と守る手があれば、簡単にはつぶれません。
ということで、△5二金と上がったこの瞬間が、居飛車側から見れば「仕掛けのタイミング」になっています。

どうすれば良かったか、となるとなかなか難しい問題ですが(対局中にももちろん悩んだわけで)、△5二金に代えて△5一金は有力だったかもしれません。
実戦では、ちょっと不自然で指しにくい手かなと思い見送ってしまいました。
本譜の仕掛けをうっかりしていたわけではないのに、仕掛けられて悪くしてしまったので、もっと考えるべきだったのは間違いないところです。

ただ作戦的には、いつでも▲5四歩という手があるのはなかなかのプレッシャーで、穴熊に対して5筋位取りはいままで指されたことがなかったのですが有力と感じました。
左銀が出ていく通常の急戦と比べると玉形が堅く、角交換のときに▲8八同銀と取れる(2つ目の図参照・▲同玉だと△3三角が王手飛車)などのメリットも大きいです。

このあとはできるだけ不自然な手を選んで、簡単に倒れないように努めたのが良かったように思います。
形勢が良いときもあれば、悪くなるときもあるわけで、悪くなってもくじけず頑張ることが大切です。

明日の対局も粘り強くいきたいと思います。

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