2017年(2)

昨日の続きで、この一年の振り返りなど。

収入面では、①理事としての給与がなくなり、②対局の収入が下がり、③その他の将棋の仕事も減り、でこちらもなかなかないような厳しい経験をしました。
①はちょっと唐突ではあったものの、数年のうちには予定していたことでした。
②は自分の頑張り次第で上下するので仕方ないところです。
最近ようやく将棋の勉強の仕方を思い出してきた感じなので、あとは新しい思考法や勉強法にも対応していければ、これに関してはまた上向きになれると信じています。

③は将棋ブームに沸き、棋士の仕事も大幅に増えている昨今なだけに、普通の棋士の真逆を行っているようで、なんとも自分らしいなあと苦笑交じりに思います。
理事になる前を思い出してみても、これだけ仕事の少ない年は、たぶんなかったはずで、どうしてこんなことになってしまっているのかは、正直なところよくわかりません。
一棋士に戻ったと言っても、実際にそう接してもらえるようになるには、もうすこし時間がかかるということなのかもしれませんね。

特にこの夏頃からは将棋番組が急増していて、解説の仕事が爆発的に増えているのですが、自分自身は呼ばれることはなくて、棋士としての旬を過ぎてしまった(と周りに思われている)ことを実感させられました。
このまま終わるつもりはもちろんないので、旬を取り戻すことが、来年の大きな目標になりますね。

いままでになかったこととして、解説や指導などとはまったく別に、④将棋以外の仕事が夏頃、藤井ブームで突発的に増えて、やがてなくなりました。
地上波には10回ぐらい出演させていただいたかと思います。とても楽しい仕事でした。
今月は羽生永世七冠の国民栄誉賞のニュースのときに一度、出演させていただきました。

話すのは楽しいですし、わりと得意なほうだと自分では思っています。
生放送は撮り直しができないので緊張もしますが、待ったができないのは将棋と同じでもあります。
理事職でいろいろな挨拶をさせていただいた経験も、こうした場で生きている気がします。

そして何より将棋界の外に活躍の場があるというのが、嬉しいことです。
それが将棋界のためにもなる、というのが棋士としては大切なところで、これからもそういうチャンスを大切にしていきたいと思っています。

クイズ番組に出たのも楽しかったですね。
昨年と今年、同じ時期に違う番組に呼んでいただきました。
またの機会があればと、来年も楽しみにしています。

 

振り返ってみると、今年も本当にいろいろなことがありました。
浮き沈みの激しい一年で、トータルで見れば落ち込んでいる時間が長かったですが、良いことに目を向ければ、それはそれでたくさんありました。
ネガティブなこともいくつか書きましたがそれはあくまで客観的に振り返るためで、これからもこのブログではつとめて明るいニュースと、そして盤上の話題を発信していくつもりです。
来年も将棋界により多くの良いこと、幸せなことがありますようにと願っています。

史上空前の将棋ブームが訪れた2017年の大晦日、来年のさらなる飛躍に期待をこめて。

1件のコメント

  1. 「どうしてこんなことになってしまっているのかは、正直なところよくわかりません」とのくだりが、率直に指摘してくれる身近な人がいないのか、片山先生ご自身が耳を閉ざしておられるのかと、心配になります。むしろ「察しが付きますが、納得いきません」と書いてくれていたほうが心穏やかに読めました。

    建前はどうであれ、三浦九段の冤罪事件に際して引責辞任した(解任された)理事のひとりであるという印象は、一般のテレビ番組の視聴者層はさておき、コアな将棋ファンにとっては、残念ながらぬぐわれていないのだと思います。また、実情や真の正義はともかくとして、結果的に将棋ファンに与えた印象として率直に申し上げますと、「東大法学部卒という立場・見識が活かされなかった」「情報をリークする棋士に苦言を呈していた」点が、他の理事以上に片上先生の印象を悪くさせたと感じています。

    わたし自身は、このブログ記事を見るまでは、いろいろな番組出演が増えておられるようすが過去の記事で何度も書かれていたので、片上先生の「その他の将棋の仕事」が減っていたという印象はありませんでした。しかし、言われてみれば、確かに、将棋関連の番組ではお見かけしませんね。

    慰みにはならないかもしれませんが、決して、棋士としての旬を過ぎてしまったということではないと思います。おそらく、片上先生以外の解任された理事の方々も、仕事は減っているのではないでしょうか。番組の出演者を選ぶ担当者自身が悪い印象を持っていなかったとしても、敢えて腫れ物に触りたくないと考えるのは、悲しいことですが、無理もないことだとも思います。

    時間が解決してくれるのかもしれませんが、例えば渡辺棋王は、おそらく誰もが今以上に腫れ物扱いしていた当時、まず三浦九段からの和解の発言、そして叡王戦の抽選会での電話での一言、さらに叡王戦本選出場決定時のインタビューでの謝罪など、折に触れてファンの印象を少しずつ改善されていると思います。

    もちろん、片上先生はまったく当事者ではないですし、理事としての関与の度合いも部外者にはわかりません。しかし、先生以上に蚊帳の外だったはずの中村修九段は、2月のニコニコでの解説の際に、胸を打つほどの真摯な反省の言葉を述べてくれました。

    悪い印象をぬぐう機会というのは、時が経つほど、なかなか訪れなくもなってしまいます。だからこそ、きのうきょうのブログ記事で、そのような言葉がなかったことは、片上先生の名誉回復のためにも、もったいないことだったと思うのです。

    いや、暗い話題に触れたくない(将棋界のためによくない)という先生のポリシーには反するのかもしれませんが・・・。むずかしいですね。

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