じりつくん (カーリングとAI)

昨日はバックギャモンの日だったんですが、夜の宴会の席で、強豪プレイヤーの山本さんがカーリングのAIを研究しているという話題に。
たとえばこんなニュースが出ています。
スウェーデン戦 勝率7%からの大逆転劇(北海道新聞)

この記事中に「第9エンド開始時で2-4、LS北見が後攻のこの試合で、LS北見の勝率は約7%と、かなり追い詰められた・・」という一文があるんですが、これはバックギャモンの世界で言うところの「マッチイクイティ」に該当します。
現在バックギャモンの強豪プレイヤーたちは、強いコンピュータソフトによってはじき出された「マッチイクイティテーブル」(※)を参考にしてそのゲームの戦略を立てるところ、カーリングの世界ではまだそのテーブルも持たない状態で戦略を立てている段階だろう、という話をしていました。

(※)match equity table=特定の状況下において最終的にそのマッチを勝てる期待値の一覧表。
バックギャモンの場合、変数は自分がそのマッチを勝つために必要な点数と、相手がそのマッチを勝つために必要な点数のふたつ。
カーリングの場合は残りのエンド数と、彼我の点差と、そのゲーム開始時における手番の3つと考えられる。

カーリングのように一度に複数点の可能性がある競技の場合、リスクを冒しても高得点を狙うのか、堅実に小さい値動きのゲームを目指すべきか、という選択がしばしば生じます。
もちろんリスクが小さくリターンが大きい、なら簡単な選択ですが実際にはそうはいかないので。
そのときにマッチイクイティを参考にして戦略を立てるのは間違いなく有用と思われますが、現在はこれまでの経験や、その場の流れなどを意識して意思決定しているのだと思います。
しかし将来的にはその判断のひとつひとつを詳細に分析することによって、この場合のより良い戦略はこう、と解明される日が来るはずです。

バックギャモンのプレイヤーがソフトの活用によって実力を高めたのと同じように、カーリングの選手たちも戦略を立ててくれるAIの助言によってより良いプレーができるようになる可能性は極めて高いです。
もちろんスポーツの場合は実際に戦略通りにプレーできる身体能力と、メンタルが重要なのは言うまでもないことで、つまり戦略の助言を受けた上で、実際にそれを理解しその通りに正確にストーンを運べるか、という競技に変容していくと思いますね。

スポーツ×データ、といえば僕は野村監督と、あとはマネーボールという映画が思い浮かびます。
その時代から見たらいまはデータの収集・分析・活用に関して、質量とも比べものにならないはずなので、スポーツの世界に科学が本格的に入り込んでくるのはまだこれからなのではないかと思っています。
特にこのカーリングという競技は研究対象として非常に興味深いでしょうね。

数年後にこの世界がどういう状況になっているかは非常に楽しみで、そのときにまたこのエントリが読み直されたらなと思って書いてみました。

(※)マッチイクイティをもとにした戦略については、難しくなるので興味のある方は実際にバックギャモンをプレーして研究してみてください。
ちなみに、かくいう僕はこのテーブルはほとんど覚えていません。記憶力悪いし、あくまで趣味なのでw

 

1件のコメント

  1. 平昌オリンピックの女子カーリングの3位決定戦で、第10エンドの英国の最終ショットについて、じりつ君の見解を読みました。質問です。英国は最終ショットで日本のストーンに一切当てることなく、黄色の赤色部分のガードストーンの横をすり抜け、自ストーンを赤エリアの中にナンバーワン又はナンバーツーストーンとして、2点を取りに行く作戦が英国にとってベストだった様に思います。適用エリアは非常に広いので比較的簡単なショットと思います。見解を教えてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です