戦慄の寄せ

昨日の竜王戦5組決勝、石田ー藤井戦の終盤はすごかった。
藤井君はたびたび信じられないような将棋を見せてくれますが、昨日のはもう、なんと表現して良いのやら。。。
▲7七歩に△同飛成でぴったり寄り、というのはもはや同じルールの将棋とは思えません。

・▲7七同桂には△7六桂、▲7七同金(本譜)には△8五桂で、いずれも詰めろが続く形。
・飛車を渡しても自玉はまだ詰まない。
とまあ、理屈で説明はつきますけど、これを前々から読んでいること、そしてこの手順が実戦で現れるということが驚きです。
もう何が出ても驚かないんじゃなかったっけ。いやはや。

今期竜王戦は4・5・6組の優勝者が全員前期順位戦C2からC1への昇級組ということになりましたが、たぶんこれは史上初でしょう。
(ちゃんと調べてないけど見た目にレアすぎる)
増田六段・藤井七段・都成五段の3人が、それだけよく勝っているということですが、ここまで偏るものなのかと。

この3人は竜王戦でこれから対戦するのはもちろんのこと、今期順位戦でも互いに対戦があるようですね。
特に都成君はリベンジに燃えていると思うので、決勝トーナメント1回戦と、順位戦の最終戦は楽しみです。
何が飛び出すか、戦型から要注目と思いますよ。

ところで昨日の将棋は、誰もが終盤に目を奪われるところですが序盤の感想戦コメントでも気になる記述がありました。(47手目)

「これ実戦例はないんですね。定跡のイメージがありました」(両者)

ようは「定跡」をどうとらえるか、ですがついにそういう時代になりましたかと。
プロの公式戦で実戦例があるかどうかは、あまり意識されなくなったということなのだと思います。
先日書いたこの連載記事の後半部分も、実はこういった背景を強く意識しています。

現在大流行している角換わり腰掛け銀の分野では、特にこのような傾向が顕著です。
藤井将棋を見ていると明らかに角換わりには適正が高い(将棋そのものに・・というツッコミはさておき)と思うので、この分野でいまのような状況になっていることもまた、彼の大活躍の一因になっていると思いますね。

でもそうと分かっていても若手はみんな最新流行形で挑むんですよね。
それが棋士の性というものだから仕方ない。
昨日の石田君も並々ならぬ研究を引っ提げて臨んでいたはずなので、やっぱりそれだけ藤井君がすごいということです。

今日は棋聖戦第1局、舞台は淡路島。
順当に角換わりに進んでいるようです。

7件のコメント

  1. 大一番で相手の得意に向かっていった石田先生は、自分の得意に誘った(?)佐々木勇気先生との対照の点でも、おもしろいと思いました。

    ところでぜんぜん関係ないですが、メディアで「イメージ写真」や「再現映像」などに使われる盤駒は、将棋ファンの目には、その場にそぐわないと映るような普及品が使われることが多いと感じていました。
    しかし日経記事の冒頭の写真は、少なくとも安物じゃなさそうで、気持ちが良いです(笑)。

    1. たしかに、言われてみるとそうですね。詳しくは分かりませんが、権利関係の問題があるのかもしれません(?)

      メディア各社が高級盤駒を常備していただいて、何かあるごとにきれいな写真を撮って下さるのが一番なのですが^^

  2. とても興味深く拝見しました。
    一つ質問ですが、藤井将棋と角換わりの相性がいいというのは具体的にはどういうところが良いのでしょうか。横歩取りや矢倉とはどう違うのでしょうか。

    1. そのご質問に短く答えることは難しいです。
      自分でも興味深いので、今後も折に触れ書いてみたいと思っています。

  3. よくわかりませんが、シットーィンの様な感覚なんでしょうか。角が変わる時点が、一手めと言うか基準点の様な感覚の様です。

  4. あと、創造性で言うと、結構詰将棋でもテクニカルなものが多いですよね。(銀合いとか、不成で、4✖️4、5✖️5の長手数)。羽生先生の飛車三枚あればいいとか、AIが、必勝になれば八方桂になればいいとかの創造性は未だ見せてませんが。

    1. そのゲームは初めて聞きました。ぐぐってみましたが、アドバンストチェスはもしかしたらこのゲームも参考にしているのかも?と思いました。
      将棋も初期配置にバリエーションをつけると定跡の知識が役に立たなくなって純粋な読みの勝負になりますね。もっともそれが面白いかどうかは不明ですが。

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