角換わり考

昨日のA級順位戦は、角換わり腰掛け銀の定跡形で、後手番の三浦九段の勝ち。
前名人はやや苦しい星取りに。

午後、観戦していてこんなことを思いました。

思えば25年ぐらいずっと指していた角換わりという戦法を、ここ数年指していない身からすると、いろいろと不思議なことが起きている世界ではあるのですがこれはその中でも一番の驚きかもしれません。

以前の相居飛車では、午前中に猛スピードで進んでそこから先手が攻め続ける、という戦型はあっても(代表例は角換わり腰掛け銀の旧型同型や矢倉の「91手定跡」など)その逆はなかった気がします。
もし新手白書で居飛車編の続編が出るとしたら、この点は押さえておく必要がありそうです。

昨日の将棋は開始早々、11時ぐらいにはもう明らかに後手攻勢の流れになっていて、そこから延々と後手の攻め/先手の受けという展開が12時間以上続いた末にそのまま後手が押し切った、という内容だったと思います。
おそらく先手にも代案はいろいろあったはず、という点はさておき、数年前までの「攻勢」や「玉の堅さ」のような目に見える「勝ちやすさ」を求める風潮からは様変わりしていることが、この一局だけでも分かります。

ある意味人間的な評価であるところの「勝ちやすそう」「勝ちづらそう」という漠然とした指標よりも、より具体的な「評価値」が重視される、という点がおそらく影響しているのではないかと思います。
そしてこういう展開になったとしてもわずかな先手の利が活かせる、と考えるプレイヤーは角換わりを志向し続け、そうでないプレイヤーは相掛かりの多用や矢倉への回帰傾向が見られる、というのがこのところの流れかなと思います。

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今日はインフルエンザの予防接種を受けてきたので、すこし更新が遅くなりました。
油断してはいけませんがひとまずこれでひと安心、タイミングがあって良かったです。

では今日はこのへんで。

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