銀河戦 斎藤四段戦

しばらく前に放送がありました。
終盤で評価値に理論上最大の乱高下があり、解説や視聴者の方々の混乱を招いた(?)かもしれないので、簡単に解説しておきます。
なお棋譜はこちら(囲碁将棋チャンネル)でご覧になれます。

68手目の局面。
この局面自体は10手ぐらい前からの読み筋の一つで、こうなれば自玉が詰まないので勝ち、が第一感でした。
浅い読みでしたが、早指しなので多少はやむを得ないところです。

実戦は▲4四歩と角道を止めた手に対し、△8九竜から詰まして勝ち。
詰めろ逃れの詰めろ「風」の手は、実際には詰めろを防いでいなかった、という結末でした。

対局中は▲6三金(銀ではなく)と王手される手を予想していました。
以下△5一玉▲5二金△同玉▲6三歩成△4一玉▲5二銀△3一玉▲3二金△同玉▲4三成銀△3一玉

一見足りないんですが、ここから▲4一銀成△同玉▲5二と△3一玉▲4二と△同角という手順で角の利きをそらされ、▲7九銀と外されてしまいます。どうも負けそうです。
いまさら他の手もなさそうなところで考慮時間を使ったのはこの変化に気づくのが遅れたことが原因で、代えて△5四歩でも▲6三金と打ち込まれて勝てないので、△7九飛成はやむを得ず飛び込んだという感じでした。

そして終局後に聞かされたところによると、先の手順中▲5二銀の王手に代えて▲4二銀がより良いとのこと。

△4二同玉に▲5三と△3一玉▲3二金△同玉▲4三成銀△3一玉▲4二と、と進んでほとんど同じですが、5三の歩が消えている分だけ、この手順のほうがより厳しいという理屈です。
ということは初めに戻って、▲6三金でも銀でも関係なく負け、が正しい結論でした。

評価値があんなことになってるとは指してる本人はつゆ知らず、こういうことが起きるのを面白いと思ってもらえるか、とんでもない大逆転と受け取られるのかは難しいところです。
ただ、将棋は最後まで分からない、というのは伝わったかもしれません。

棋理としては48手目△6四銀が猛攻を誘発した悪手で、穴熊に対して強気すぎたということになりますが、厚みを増して良い手になるケースもあるので難しい判断でした。

次の阿部九段戦は初回放送が6月8日の予定です。

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