先週の順位戦は、後手番で相掛かり。
終盤が難しく、面白い変化の多い内容でした。
発端は92手目の局面で、先手玉への詰めろが続けば勝ち、続かなければ負けというのが普通ですがそう簡単な話でもなく。
93手目は▲6六角の詰めろ逃れの詰めろが誰しも第一感ですが、そこで△5五角!と打つ妙手があって勝ち、というのが従前からの読み筋でした。
▲同角は△5六桂で詰みとして、この手自体が詰めろになっているかが見た目より難しいんですが、(たとえば▲4三銀とかやったとして)△7七桂成から追いかけ回して詰みます。
こんな手が落ちていたら普通は勝ちとしたものですが、実戦の▲6六銀がしぶとい受けでした。今度は△5五角だと▲6五銀と桂のほうを取られてしまいます。
ただ、▲6六銀に対しては△4八金!と捨てる妙手があり、それなら勝ち筋だったようです。
僕はその手自体は見えたものの、▲同金△5九角▲5八玉で詰まないので断念しました。以下△7九飛成と攻めて、先手玉は受けなしですが・・
自玉が▲4一飛成△同玉▲5二角△3一玉▲4二銀△同玉▲4三金△3一玉▲4一角成で詰みと錯覚してしまいました。実際は2度目の△3一玉に代えて△5一玉で詰みません。これを読み切れたら美しい着地でした。
実戦で選んだ△8八飛成(94手目)は負けに転落する悪手でしたが、対局中はそうとは気づいておらず、本譜は直後の▲5二成桂(97手目)が結果的に敗着となり、以下は長手数ながら詰み筋に入りました。
97手目は▲4三角!なら本譜の詰み筋を防ぎつつの詰めろで、こちらの負けだったようです。これも、気づいていませんでした。
(※↑の変化と同様に▲6五銀を警戒していました)
本譜の詰み筋は長いですが、△5九金(104手目)がポイントとなる一手でこれさえ見えればあとは難しくない・・はずでしたが、
その後の▲4八桂(119手目)が実戦ではなかなかお目にかかれなそうな捨合でした。遠い7七への利きをなくすために一枚捨てて馬を近づけるとかレアケースすぎます。
本譜が詰んだのは完全な偶然で、運が良かったです。
もし気づいていればすこし前の△4六桂(114手目)では、△4七銀成▲同玉△4六銀▲同玉△3四桂▲3五玉△2四金という筋のほうがマギレがなく、明快な詰みでした。
もっともこの順も最後の△2四金で△4四金だと▲2五玉、△4四銀だと▲3四玉で詰まないので際どいことには変わりなく、読み切れませんでした。
本譜もそうですが、こんな感じで先手玉が右上のほうに来るので、4三に角がいると最後詰まなくなる、というのが97手目の変化の意味です。
いろいろと作ったような変化が多い終盤戦でした。
戻って中盤は基本的にすこし苦しい将棋だったようでしたが、あまりそうとは感じておらず、ずっと難しいと思っていたのが結果的に幸いしたかもしれません。
いろいろと幸運が重なったおかげで、ずっと勝てなかった千葉さんに15年ぶりぐらいに勝てました。人間関係が長く続いていく将棋界ならではの出来事だと思います。
ミスもたくさんありましたが終盤の熱戦を競り勝てたのは嬉しいことなので、すこし詳しく書き残しておくことにしました。