久々に

将棋の中継の話題です。

昨日は新人王戦の3番勝負第1局、両者1分将棋になる熱戦の末に増田六段の先勝。
出だしは中原流相掛かりの比較的クラシックな形で、すこし進むと見慣れない戦いで形勢判断の難しい中盤戦。いかにも最近のトレンドという感じがしました。
昔指されていた形の見直し、は今後数年でいっそう進みそうです。
この中原流相掛かりはごく少数の棋士だけが得意にしていた印象で、中原先生の先見の明を感じます。

先週末の話題。
叡王戦は段位別予選が終わり、その翌日に本戦抽選会が行われるという日程だったようです。
本戦トーナメント表はこちら

今年もシード条件なしの完全抽選だったようで、他に例はないはずなので多少議論のあったところかと思いますが、これはこれで一つのやり方でしょうか。
組み合わせによってはCクラスの棋士に3つ勝てばタイトル戦のベスト16に入れる、と考えると低段の棋士にとってはかなり夢があります。
(たとえば今期だと佐々木大地五段が該当)

それと女流王将戦は挑戦者の先勝。生放送で行われたのですね。
こないだ豊島ー木村の十番勝負が終わったばかりで、今度は女流のほうで里見ー西山の八番勝負が始まります。
里見さんは全冠制覇まであと一歩の状況ですがライバル不在では将棋の内容が停滞してしまいかねないので、挑戦者が勝つことでタイトル戦も盛り上がると思います。

順位戦の話題はまた明日に。

新名人など

昨日はお隣の囲碁界で10代新名人誕生のビッグニュース。
将棋界とは名人位獲得までの仕組みが異なるので、かつて10代でタイトルを獲得した羽生竜王・屋敷棋聖に匹敵する記録かと思います。
藤井七段と言えどもこの記録を上回ることは簡単ではないと思うので、本当にすごいの一言です。

前名人の張栩さんは同世代で、だいぶ以前に著書「勝利は10%から積み上げる」には感銘を受けたこともあり、応援する気持ちもありましたが若いスターの誕生は業界にとっても喜ばしいことでしょう。
先日の上野女流棋聖の大活躍といい、もし囲碁ファンならいまは一番楽しい時期かなと思います。
今年の囲碁界の十大ニュースは10代が独占しそうな感じですね。

連盟HPからお知らせ2点。

10/9 竜王戦七番勝負開幕直前 特集記事掲載!
こういうお知らせは良いですね。
ぜひ、お読みいただければと思います。

「リコー将棋 AI棋譜記録システム」がグッドデザイン賞を受賞
こちら具体的な表彰の内容についてはよく知らないのですが、この賞の狙いとしては社会全体の発展を目的としているとのことで、とてもおめでたいニュースでしょう。
実験はおそらく着々と進んでいるはずで、成果の発表が待たれるところです。

ということで昨日もいろいろあったので、今日もここまでにします。

王将リーグなど

昨日は数日ぶりにリアルタイムで将棋観戦。
中継は2局だけで持ち時間も同じ(4時間)ということで、じっくり観ることができました。

豊島名人ー藤井七段戦、難解なねじり合いが延々と続いて形勢判断が難しく、これで均衡が取れているのはさすが、という大熱戦でした。
令和にふさわしい名局だったと思います。そして名人は強かった。

藤井七段は今後について質問された際に形勢判断の正確さを高めたい、という趣旨のことをよく話していると思いますが、こういう訳の分からない(ように見える)戦いの中でのことを指しているのだとすると、ちょっとレベルが高すぎてついていけない次元です。

近年特にこういう不定形の将棋が増えたことで、指し手の意味や形勢判断の理由を言語化することがいままでに比べてかなり難しくなってきたと感じています。
ただあくまで現在の人間のレベルでは適切に判断できていないとか、もしくは語彙が足りていないという可能性もあり、今後の進化にいまもっとも注目している部分です。

王将リーグは進行がけっこうバラバラなようで、竜王戦開幕前に4回戦の広瀬ー豊島戦を済ませたということのようですね。
そういえば以前も似たようなことはありましたか。
さすがの藤井七段もこのリーグで勝ちまくるのは容易でないはずですが、この先どうなるでしょうか。

旅行中の中継局などについてはまた明日にして、最後にお知らせを一つ。
2019年10月6日の詰将棋

HPの「まいにち詰将棋」で自作が採用されました。
わりと易しいと思いますのでぜひ挑戦してみてください。

帰京

昨夜、予定通り帰京しました。
今回の旅は星野リゾートに泊まったり、我が家にしてはずいぶん贅沢したような気がします。
良いリフレッシュになったので心機一転、明日からまた頑張っていこうと思います。

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再婚してからは妻の運転で出かけることが多くなったのですが、今回は青森県の海岸沿いをたくさん走って、いろいろと感じるものがありました。
大間からむつ市を抜けて南へ下るとやがて東通村に出ます。ここはいわゆる原発の町です。
その南には六ケ所村があります。たぶんその名前はニュースで耳にしたことがある人が多いと思います。
実際は原子力の再処理工場だけではなく、風車や太陽光パネルなんかもたくさんあって、エネルギー事業に関するいろんな施設が集まっている町という感じでした。
そしてその南、空港のある三沢は基地の町です。人口4万足らずの小さなこの街には(人口とは別に)1万人ほどの米軍関係者が暮らしているそうです。

原発や基地というのはこのところ社会の関心事の一つだと思いますが、実際にその地を訪れるとまた印象も変わってきたり、いままでなかった視点が新たに加わったりします。
実際に自分の目で見て、何を感じるか、あるいは何も感じないか人それぞれだと思うのですが、僕自身は走っている間にいろんなことを考えて、知らなかったことや納得したことがいろいろとありました。

最近は何かを調べようとしたらかなりのことを自宅にいながらにして調べられて、しかもそれを簡単に発信できる時代です。
その結果、(社会の意見が二分されるような問題に関しては特に)いわゆるエコーチェンバーのような現象が起きやすくなっているのだと思います。
もし自分が本当に何かに関心を持ったのであれば、やはり実際にその場所を訪れるというのが考える上では欠かせないのではないかと改めて思いました。

その他にも星野リゾートの作りやおもてなしに感銘を受けたり(泊まるのは初めてでした)、いろいろと楽しい・美味しいだけでなく学びの多い旅になりました。
あと最近旅行に出かけると運動不足を痛感することが多いので、これは良い40代を迎えるためにこれから自分への課題にしようと思います。

ルール

つい先日、連盟HPにこんなお知らせが出ていました。
対局規定変更のお知らせ

入玉宣言法の整備などがその内容なのですが、変更点の中に、反則に関する事柄が含まれています。
(詳しく興味のある方はリンク先と、アマチュア棋戦の対局規定というページも参照してください)

ごく簡単に言うと、これまでプロ棋戦でも(ほとんどのアマ大会と同じで)反則に関しては投了優先だったのですが、今後は棋譜優先ということに変わりました。
ただ実際のところプロの対局において、この変更によって勝敗が入れ替わることはまずありません。
それなら変えなくて良かった気もするのですが、話し合いの結果大多数の棋士が変えるべきと判断したということのようです。
正直なところこれはかなり意外なことでした。

よく将棋大会の冒頭などに「日本将棋連盟の規定に準じて・・」という挨拶がありますが、実際には持将棋のルールのように、プロ公式戦のルールと、アマ大会とで若干異なるケースもあります。
なのでそれについては補足で説明して、あとは「審判を呼んでください」などと付け加える場合がほとんどだと思います。

もちろん例外が生じること自体はやむを得ないとは言え、例外がなるべく少ないに越したことはないと思います。
しかし今回の変更はそれとまったく逆なので、個人的な影響はないとはいえ、すこし残念な出来事でした。

あとこれは本題とは関係ないですが、指し直し関係のルールはけっこう難しい面もあって、たとえばこないだの文化検定でも入玉宣言法に関する問題で確信を持って正解を選べなかったので、この機会にもう一度きちんと対局規定を読み返しておこうと思いました。