2/28 佐々木六段戦

棋王戦の2回戦でした。

いきなりですが図面です。僕が後手、運命の二択。

図で△2四玉ならば勝ちでした。
ただし以下▲1五香!という勝負手が怖いところです。次に(1)▲1四金と(2)▲3四金△同玉▲4四金△同玉▲1六桂という2つの詰みを狙っています。

しかし▲1五香に△3六歩!と切り返して勝ち筋になります。この歩は取ることができず、取れないと寄せがありません。

この順で勝ちなのは読めていたのですが、ちょっと怖いので実戦は△4二玉を選択。
これも▲6四桂が怖いけど、詰めろになってないから大丈夫?という謎の錯覚をしました。
▲6四桂はちょっとうっかりしやすい筋で、見落としたならまだわかります。
しかし、見えていたのに詰めろじゃないと思った、というのはちょっと理解しにくい思考です。自分のことながら、訳が分からない。

あと、書いたものを読み直してみて気づいたのですが、↑の(2)の順は△1五玉▲2四銀に△1六玉で打歩詰ですね。(△1四玉だと▲1五歩△同桂▲1三とで詰み)
やっぱり何も読めてなかったということみたいです。

ということで超大逆転負けを喫したわけですが、ここに至るまでは、お互いしぶとい将棋で、ほどほどにミスも出て、まあまあの将棋ではありました。
このぐらいの情念を持って指せれば、負けても悔いが残りにくいでしょう。
(ただしこの将棋は除く)
次はこれぐらいの内容の将棋を指して、結果も伴うようにしたいと思います。

1月は1回戦3局で、2勝1敗。
2月はその勝った2棋戦の2回戦をともに負け。
かくして3月・4月は春休みになりました。

2/15 田村七段戦

竜王戦の2回戦でした。

振り駒で後手番になり、三間飛車。そこから向飛車にシフトするという、自分ではこれまで指したことがないどころか、指そうかなと思ったことさえない指し方。
前局の負けで、何かを変えなくてはと漠然と思いながら指していたら、いつの間にかめったにお目にかかれないようなきれいなビッグ4に組まれてしまいました。
ボーっと指してんじゃねーよ、と思いました。もちろん、一生懸命やってるんですけどね。

もちろん作戦負けなんですが、どうせ良くなってもダメならこれぐらい出遅れるのもアリか、と思わなくもなかったり。さすがにそんなわけはないか。

さてここで▲2五同桂は△2四飛で、(1)▲3三桂成は△2六飛、(2)▲3四歩は△2五飛でどちらも大変です。
なので普通は▲3六飛ですが、3筋を清算して△4七角▲1六飛△5六歩のような感じでそれなりに嫌味はあります。
こういう将棋は最後は穴熊が勝つことが多いとはいえ、押さえ込みが決まることもあり、居飛穴も油断していると危険です。

しかしここで▲1六飛が意外な好手でした。
対して△2四飛が自然ですが、▲3四歩△同飛▲3五歩とここを押さえるのが急所。以下清算して▲3六歩△3四飛▲2二角で、これはさっぱりして勝てない形です。

実戦は▲1六飛に仕方なく△3五歩としたのですが、▲3二歩のと金攻めが来て、このあとはアヤがなくなりました。
結果的に勝負所のほとんどないままの敗戦でした。

何かを変えないといけないと、漠然とではなく、改めて強く思いました。

2/5 高橋九段戦

順位戦ラス前の対局です。

先手番で四間飛車を採用しました。約1年ぶりの登板だったようです。
そんなに間が空いている印象はなかったんですが、それだけ中飛車を多く指していたということですね。

この将棋は、中盤で大技を決めました。(43手目▲3三角成)
その局面は名人戦棋譜速報で見ていただくとして、図面はその後の終盤の場面。

夕休すこし前の局面なんですが、このあたりの心境としては、技が決まってはっきり優勢になったはずなのに、案外難しい。相手も長考していて、あきらめてくれている気配は全くない。当然、焦ります。
加えて、こんな大技を決めておいてそこから転落したら恥ずかしい。
言うまでもなく、対局中にそんなこと考えてちゃいけません。反省です。

で、そこへこの△5八角成。(5八の歩を取った)
これはひと目▲5九歩で何でもないので、警戒していませんでした。
代えて△2六桂や△2七桂などを読んでいました。

ところが▲5九歩に△同馬という手があるんですね。以下▲同金△同竜▲4九金△9九竜、香車を手順に取られるのは悔しい上に、再度▲5九歩と受ける一歩がない。
ただ、結論から言えばこの順を選ぶべきでした。以下は簡単ではないですが、形勢としては少しリードしていた可能性が高いです。

実戦は夕休を挟んでしっかり読んでつもりで▲4八金引。これが痛恨の悪手。
すかさず△4七桂と打たれて、いっぺんに負けになってしまいました。
しかもどの変化も妙にピッタリ負けで、呆れました。

たとえば66手目棋譜コメントに書かれている変化は、△1九竜以下1八に何を打っても△1五歩でダメです。
69手目▲3八同金は△2九飛~△2五飛成でアヤがなくなります。
実戦の順もけっこう難しい詰みですが、どの変化もきちんと詰んでいます。

ミスが出るのは仕方ないとしても、この負け方はかなり深刻だと思いました。
弱いことは恥ずかしい、という張栩さんの言葉を思い出しました。

1/29 西尾六段戦

大阪王将杯の1回戦でした。
結果的に1月は竜王戦、棋王戦、王将戦と3棋戦で1回戦を指しました。
どの将棋もそこそこの内容ではありましたが、本局は、残念ながら完敗でした。

西尾さんには昨年末に先手中飛車で負けていたので、本局は三間飛車。
相手の作戦は流行の座布団金で、こちらが左金を守備につけたことで持久戦の流れになりました。
あまり前例のない展開ですが今後は定跡の整備が進むのかもしれません。

それにしてもこうした展開を、平成が終わろうかという時代になって普通に指しているのは、自分のことながら驚きですね。
振り飛車は角交換が当たり前の時代を経て、再びこういう長い駒組みが続く時代へと回帰するのかもしれません。

ここから▲6八角~▲7五歩と飛先交換を目指したのですが、これはセンスのない手でおそらく▲2七銀~▲3八金を優先すべきでした。
説明が難しい(だから指せなかった)わけですが、そのほうが駒組みのバランスが良かったと思います。
ここからすこし模様を悪くしました。
以下しばらく小競り合いが続いて次の図。

56手目の局面ながら、いまだに歩以外の駒の交換はなし。
ここから▲5八飛△5二飛▲6七金△6八角成▲同金△2五桂▲2六銀△2四歩と進んで不利になりました。
最後の△2五桂が好タイミングで、警戒はしていたのですがこのタイミングをうっかりしてしまいました。

戻って図では▲2六銀と守っておくべきだったと思います。
ただすこし形がゆがんでしまうので指しにくかった意味があります。
前の局面でとりあえず銀冠にしておけば、そういう心配はありませんでした。

こういう急戦なのか持久戦なのかよくわからない将棋は今後増えていくと思うので、そういう見慣れない将棋でも、ある程度の水準の指し手を続けられるよう精進したいと思いました。

1/23 泉八段戦

棋王戦の1回戦でした。
年末年始は、下位の棋士にとっては予選の始まる季節でもあります。

後手番で四間飛車を採用。
対して泉八段の作戦は、棒銀+箱入り娘、という見たこともないような指し方でした。
考えてみると対応が難しく、最近流行の座布団金とかもそうですが、ひと口に急戦といっても本当にいろんな指し方があるものだなと思いました。
ベテランの先生との対戦では、こういう自分の知らない指し方に出会えることも、楽しみの一つです。

この将棋は中盤、 我ながらうまくさばくことができました。

図の局面に至るまで、右辺を攻められながら4三の銀を良いタイミングで5四~6五と進出、左桂は香と交換で8四に設置。
これで玉頭攻めの態勢は整っています。
加えて飛車はうまく自陣に格納、あとはもう一手決め手が出ればという場面。

ここで△3七飛と打った手が好手。
以下は▲4四成桂△同金▲同角△3六飛成▲6二角成に手抜きで△7六銀と詰めろをかけて勝ちが決まりました。

図で△3九飛が普通ですが、それは▲7五角で飛び上がることになります。
また△3八飛はいったん▲2七銀と引かれます。この銀を取るだけなら簡単なのですが、「△3六飛成」と取ることで玉頭に利かすことが大切です。

図の局面はプロ同士の将棋としてはすこし形勢に差がついていますが、駒の損得はほぼなく、お互いの囲いもしっかりしているので、ミスが出るとすぐに難しくなる場面でもありました。
こういうところでしっかり着地を決めることが大切で、アマチュアの方の参考になる将棋が指せたという意味でも満足のいく一局になりました。