1/18 佐藤五段戦

竜王戦のランキング戦1回戦でした。

先手番でエースの中飛車を採用。
序盤はどことなく、硬くなっているのを感じました。

前局の順位戦を負けて、年をまたいで公式戦3連敗、その前含めて2勝6敗とかなり負けが込んでおり、本局には背水の陣という気持ちで臨んだからでしょう。
結果としてはなんとか勝つことができて、ホッとしました。

図は中盤すぎ、長考が続く重い時間帯を過ぎて、戦いが激しくなった場面。

すこし前からの読み筋で、実戦はここから▲5五同飛!△同歩▲4四歩△同銀▲9六桂!と進んで有利になりました。
最後の▲9六桂は珍しい筋で、これで角が詰んでいます。

ただ実は△5五同歩に代えて△4六歩!と切り返されていたらこちらが不利になるところでした。
△4六歩に▲同角だと角が詰まなくなる(△9五角と逃げられる)し、▲同銀は△3六桂の王手を利かされます。

この手には飛車を切る直前に気づいたのですが、すこし前の長考で決めていたので、これで負けたら仕方ないと決断しました。
結果的にはこの開き直りが功を奏したわけで、勝負のアヤというのは気づきにくいところに隠れているものだと改めて思いました。

終盤の場面、ここで▲2三香と攻める手を発見して、ようやく勝ちが見えてきました。どちらで取っても王手で竜を脱出することができます。

粘りを振り切っての勝利は充実感がありました。

1/8 塚田九段戦

新年最初の対局は順位戦からでした。
棋譜は名人戦棋譜速報でご覧いただけます。

後手番でゴキゲン中飛車を採用。
序盤で△5一角と引いた手(26手目)がけっこう斬新で、公式戦では部分的な新手ではないかと思います。
平成新手白書を多少、意識しました。

本局ではうまくいかなかったですが、その後、塚田ー佐々木慎戦(モバイル中継局)で似た局面が現れ、△4二角という改良案が指されていました。
今後も指される可能性のある手だと思います。

中盤の折衝でミスが出てしまい、夕休前後でははっきり苦しくなり図の局面。

ここで△6二飛と自陣に打ったのが勝負手でした。
角・金いずれを取っても、2二の飛車を抜けばお釣りがきます。
以下▲1二飛成△4二角▲2一竜、と平凡にやられて形勢は依然として悪いのですが、怪しいムードは出てきています。

ところがせっかく粘りを見せたはずなのに、大事な終盤でやらかしてしまいました。
最終手▲8四香はうっかりです。こんな次の一手をまともに食らうプロはいません。
代えて単に▲6一竜なら△同銀で、7二に逃げ道が開くから大丈夫なんですが。

気づいたのは▲9五同香の局面で、その手前で気づいていれば△6六歩(84手目)と取り込むところではとりあえず△8四銀と埋める一手でした。
形勢は相変わらず自信ないですが、その先かなり粘れたでしょう。

序盤・中盤と印象に残る手が指せたのに、終盤で将棋を壊してしまい残念な一局でした。

現在地たぶんローマ

順調ならばちょうど今頃は、ローマの空港近くで一泊しているはずです。
そこでうまく眠れれば、あっという間に時差ボケも解消なんですが。
これけっこう大事なんですよねー。
朝が来たらいよいよモンテネグロに向けて出発です。

大きな大会に参加するのにどうしても大変なのがこのフライト、特に乗り継ぎで、体力と費用と日数を要しますがこれはやむを得ません。
幸いいままでは大きなトラブルに見舞われたことはないので(成田と羽田を間違えたぐらいでw)、今回も何事もないことを願っています。

今回の大会、日本からは景山さん・望月さん・矢澤さんのトッププロ3人と、若手強豪で現盤聖の上田さんが参加で、通常のチャンピオンシップに加えて、この4人と一緒にチームを組んで国別対抗戦にも出場します。
これはかなりすごいメンバーで、将棋に例えると、豊島二冠・渡辺二冠・広瀬竜王・高見叡王・片上七段でチームを組んだような感じです。
他にも強いチームが参加しているかもしれませんが、世界最強クラスに近いチームなのは間違いないところで、このメンバーと一緒に戦えるのはとても楽しみです。

僕自身は、もちろん勝ちたい気持ちはあるんですが、できれば初めての方とたくさん対戦できると良いなと思っています。
世界大会とはいえ、普通に日本人同士で当たることもあるし、他にも見知った強豪と当たることは多いので。
あと参加できるだけでまずは勝ってる、みたいな感覚は常にあって、快く送り出してくれる妻には感謝しています。
体調に気をつけて、楽しんできたいと思います。

明日からも予約投稿で、この数か月ほどの公式戦の振り返りを入れてあります。

モンテネグロ

今日はこれからヨーロッパに向けて出発します。
モンテネグロという国で行われる、バックギャモンの大会に参加するためです。

さてモンテネグロ、と聞いてどこにあるどんな国か、知っている人は少ないと思います。少なくとも僕は、聞いたことはあるかもぐらいのレベルでした。
もし知っていれば、たぶんかなり世界地理が得意な方でしょう。
渡航に当たって僕がwikiとかで調べた予備知識はこんなところ。

・国名は「黒い山」という意味がある。
・旧ユーゴスラビア連邦の一つ。2006年にセルビア・モンテネグロ共和国から分離独立した。
・と聞くと身構えてしまうけど、治安はとても良いらしい。
・セルビア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、アルバニアと国境を接する。
・アドリア海を挟んでイタリアの向かい側である。
・とても風光明媚な国らしい。
・しかし観光情報とかはあまり出てこない。
・独自通貨を持たない。
・EUには加盟していない。
・EUに加盟せずにユーロを使用している唯一の国である。
・福島県と同じぐらの大きさの国である。
・日本人は十数人ほどしか住んでない。

もし他にご存じのことがあれば、あるいは行ったことがあるという方がいれば教えていただければ。
自分の身の周りでは、行ったことがあるという人は見当たりませんでした。

ギャモンを趣味にして、一番良かったことはこうして旅行に出かけられること、加えて趣味を通じて面白い友人関係ができることです。
将棋に比べると多少お金はかかりますが、幸せな時間は何物にも代えがたいものがあります。

帰国は16日(火)の予定です。
では。

NHKとか

昨日のタイムショックをご視聴いただいた方々、どうもありがとうございました。
録画していただいて、まだ見てないという方も(特にこのブログの読者だと)いて下さるかもしれないので、ネタバレはしないでおきます。

また機会があれば出たいですが、お声がかかるかどうか。
将棋がはやっているおかげで、棋士に注目が集まった結果として、たまにこうして呼んでいただいているのだと思うので、本当にありがたい限りです。

話は変わって、今期のNHK杯に出場できることが決まりました。
トーナメント表はこちら

調べてみると平成17年、18年、20年、23年に続き8年ぶり5回目の出場になるようです。
プロになって最初の4年のうち3回出られたけど以降はさっぱり、だったみたいで、またチャンスをいただけることは嬉しい限りです。
それと、白瀧さんのところで眠ったままになっている和服に袖を通せることになって良かったです。

NHK予選の表は例年だと連盟HPにも(決勝戦の放映終了後)3月中には出ていた気がするんですが、なぜかいまだに公開されていないようです。
昨日は中継のことを書きましたがHPのことも、いろいろと最近不可解なことが多くて気になっています。(結局ネット関係のことは全部つながっている)
事情は分からないのですが、気長にお待ちください。

最近読んで目を引いたブログ。
詰将棋カラオケ(ミライの棋譜ノート)

カラオケの点数について分析した棋士はたぶん初めてでしょうね。
これもまた平成の新手(ry

96点を取って100点まで〇〇が足りなかった、というのはよく分からないけどとんでもなくレベルの高い話、ということだけは分かります。
将棋界は本当に隠れた才能の宝庫ですね。
番組は令和最初の年末に観るつもりだったんですが、TSに視聴期限があるみたいなので早めに観なくては。