朝日杯

藤井七段、またしても衝撃的な優勝、そして衝撃的な強さでした。
いやはや、すごいの一言です。
そして、すごい、の他に言葉がありません。
人は本当にすごいものを目の当たりにすると語彙が貧困になるそうです。

例によって(?)振り駒は2局とも後手番を引き、しかし2局ともおそらく序盤から不利な局面はなく、トップ棋士相手に完勝。
いったいどうやったらこんなに強くなれるのか、ちょっと分かりませんね。

しかも2局とも藤井七段得意の角換わりにはならず。
行方八段の矢倉はともかく、渡辺棋王の先手雁木は明らかに練りに練った変化球で、相当な準備があったはずなのですが。

昨年は準決勝が羽生竜王との公式戦初手合でした。
また決勝は広瀬現竜王との初手合でした。
そして今年の決勝は渡辺棋王との初手合でした。
朝日杯は完全に歴史の舞台になってますね。

それにしてもすごい。以上です。

負け

後手番になり、居飛穴に対し向飛車にシフトして急戦を狙う作戦。
仕掛けのところで妥協した指し方をしてしまい、作戦負けになり、その後粘ったものの順当に押し切られて完敗。
早指しの田村さんにしては、かなり慎重な指し方をされました。

このところ結果が出ないというだけでなく、どうにも内容がついて来なくて苦しいですし、振り飛車に申し訳ない気持ちです。
自分の限界をもうすこし遠くへ押しやれるように、努力を続けたいと思います。

次は来週NHK杯予選がありますが、日程等は書かないでおきます。
その次が月末に棋王戦です。
なんとか巻き返せるように頑張ります。

発売

本日、いよいよ「平成新手白書」発売日です。
よろしくお願いします。
お世話になっている知人から久々に「買いました」「読んでます」とメールいただいたりもして、朝から幸せな気分です。

かなり力を入れて書いたので、反響をとても楽しみにしています。
感想や質問など、コメント欄やリプ等でお寄せいただければ幸いです。

最近の中継の話題。
一昨日の王将戦、藤井ー池永戦は見ごたえのある終盤戦でした。
藤井君の先手角換わりが続けて敗れるとは、さすが若手棋士は皆研究熱心だなあ。と思っていたら最後にドラマがありました。
トン死、と言ってしまえばそれまでですがレベルの高い攻防だったからこそ起きた結末だったと思います。

昨日のマイナビでは、礒谷さんが里見さんをあわやというところまで追い詰めましたが、壁は厚かったですね。
クラスに差があっても、プロの将棋というのは紙一重だし、また、そうでなくてはいけないと改めて思いました。

今日はB1順位戦の最終日などがあり、モバイル中継は5棋戦7局。
また忙しい一日になりそうです。

最近は中継を観ていて「これ、本↑に書いたなあ」とか、「あの形にこういう見解があって、ここをこう工夫したんだなあ」と考えることが増えました。
自分で書いたものを繰り返し読んだおかげで、理解が深まったという面もあって、良い企画をいただいたと本当に感謝しています。

銀河戦 八代六段戦

先月末に放映された一局を簡単に振り返っておきます。

戦型は先手番で早石田。
かつては初手▲7六歩に△3四歩なら▲7五歩で石田流、△8四歩なら▲5六歩で中飛車という振り飛車党が多かったですが、最近は2手目△8四歩の割合が多くなったため石田流を見る機会はすこし減りました。
以下はあまり前例のない乱戦になり、観ている方にとっては面白い内容になったのではないかと思います。

図の局面が勝負所でした。

しばらく前から考えていた局面で、ここで▲4六歩と桂取りに突くつもりが、△5五角と打つ手があって利かないのが誤算でした。
ここで考慮時間を投入したのですが、良い手が指せず。おそらく▲4八金と辛抱する手が一番良かったような気がします。
ただ、桂を取りに行けないようでは勝ちにくい展開になっていて、そうであればこの局面にしてはいけませんでした。

実戦は▲6四角とひねった場所に打ったのですがこれは悪手で、△6六歩▲同歩△6五歩▲8二角成△6六歩、と鋭く攻め込まれて敗勢になりました。
早指しの中で八代六段の指し手や時間の使い方には安定感があり、自分のほうもそこそこ力は出せたものの完敗の一局でした。

本局は結果は残念でしたが、また良い将棋を観ていただけるよう頑張ります。