抽選など

昨日は叡王戦本戦の抽選会が行われる、というのは知っていたのですが、これシード権なしの完全抽選だったのですね。
これは意外、というか将棋界的にあまりない仕組みなので、新鮮でした。
たぶんタイトルホルダーが分かれるようになってるのが普通と思うのですが、見事なまでに固まりました。

いわゆる「byeを引き当てる」という考え方ってあまり将棋界にないんですよね。
タイトルホルダー同士の勝者が五段の若手と当たるんだなあとか、1回戦から斎藤君と藤井君で逆byeなんだなあとか、思わず目が行ってしまいました。
結果的に前期ベスト4は全員byeを引いたということで、良かったんじゃないでしょうか(?)

ところでこういう時代ですから、そろそろ全体の流れとして、抽選のルールを公開していったほうが良い気がするんですが、どうなんですかね。
棋士自身は別に気にしても仕方ないので、正直言って知らないこともけっこう多いですし。

なぜ藤井聡太はフィクションを超えたのか?
【叡王戦24棋士 白鳥士郎 特別インタビュー vol.01】
抽選会の日程に合わせた関連企画のようですが24人にインタビュー、ってマジですか。
脳内に盤面がないかもしれない?という話はたしかにびっくりでした。

 

昨日は竜王戦第1局の他に、順位戦(C2)、棋王戦、王将戦、棋聖戦、朝日杯、と6棋戦も中継されていて、バラエティに富んだ一日でした。
弟弟子の西田君が全勝対決を制し、昇級の期待がかかります。

棋王戦は前期に続いて黒沢五段がベスト4進出ですか。
A級棋士を破ってですから殊勲です。
自分も続けるかなあ。続きたいなあ。

竜王戦は超スローペースの進行になりました。
最近では珍しいと思いますが2日制らしくてとても良いですね。
能舞台ということもあって、とてもおごそかな、厳粛な感じがします。
局面は角換わりのまさに最先端で、本局がそのまま定跡になっていくのかもしれません。

今日もA級順位戦をはじめ、中継は全部で7局、非常に豪華な一日です。

新人王戦など

収録は無事終わりました。
朝から夕方まで、ほぼずっと立ち仕事だったのでさすがに疲れました。
仕事でこういうのは久々で、新鮮な感じでした。
放映は年明け頃になる見込みなので、年末頃に改めてお知らせしたいと思います。

注目の新人王戦は、藤井七段の完勝。
まだ16歳ですが、七段vs三段ですから貫禄勝ち、と言って良いのでしょうね。
終盤の△4六香がうまい勝ち方で、参考になりました。

 

また一昨日の中継3局がどれも面白い内容で、まだの方は一見の価値大です。
広瀬ー糸谷戦(王将リーグ)、あの指し回しで勝てるのか・・・と驚嘆。
飛角交換で難しいなんてことがあるんですかね。でもソフトも互角と判断するようで。
やっぱり時代が糸谷君に追いついてきてるんじゃないかと思います。

竜王戦は遠山編集長が高見叡王を圧倒。
タイトルホルダー相手にあんなに攻めまくって勝てるものでしょうか。

高見叡王戦(ファニースペース)
>桂をポンポン跳ねて急戦を仕掛けました。

この一局が、棋界に影響を与える可能性はかなり高いのではないかと思います。
矢倉左美濃急戦も、新鋭の阿部光瑠五段(当時)が、永世名人の森内九段に勝った一番で注目されたことが大きかったのを思い出します。

もう一局の牧野ー佐々木戦では、こんな局面が出現して、

これが数手後には、

こうなりました。

まるで一斉に卵がかえって飛び立っていったみたいです。もちろん結果は先手勝ち。
さすがにこんなの見たことないし、今後もまずお目にかかれないと思います。

 

今日から竜王戦第1局、舞台は昨年に続き、渋谷の能楽堂。
羽生竜王のタイトル100期がかかっていることもあり、昨日の前夜祭は大きく報じられていましたね。
戦型は角換わりに進んでいるようです。

ところで、この事実には気が付きませんでした。
3年前、羽生善治名人(当時)に屈した3人の若手棋士(将棋ウェーブログ)
これはたしかになんとも偶然の符合、奇遇ですね。

いやがおうにも結果に注目が集まる舞台なのは言うまでもないところですが、棋士としては、将棋の内容に注目してしっかり観戦していきたいと思います。

収録など

ギャモンの話題、お祝いのメッセージやコメント、リプなどいただいた皆様にはどうもありがとうございました。
個別にお返事したつもりですが、漏れてしまっている場合は何卒ご容赦ください。

仕事でも趣味でも何でも、一生懸命やってこそ楽しいものです。
これからも将棋もギャモンも、一生懸命に楽しんでいきたいと思います。

今日は朝から収録の仕事があり、ブログはごく軽めにします。
内容については書いて良いか分からないので、放映日等含めて確認が取れ次第、告知したいと思います。

 

連休中はギャモンで忙しかったので、ブログは対局振り返りを予約投稿で入れて、中継だけは行き帰りの電車でチェックしていました。
白瀧あゆみ杯の決勝が大熱戦で、面白い将棋でした。

また叡王戦は段位別予選の通過者が決まり、明日が本戦の抽選会とのこと。
最後の2局は、どちらも個性のよく出た内容だったと思いました。
棋風、持ち味が発揮される将棋というのは、やはり観ていて面白いと思います。

今日は新人王戦第1局が大きな一番ですね。

では、お仕事行ってきます。

王位になりました

将棋ではなく、趣味であるバックギャモンの話題です。
2005年の第12期王位戦以来、13年ぶり2度目の優勝、タイトル獲得となりました。

昨年4月にブログをリニューアルしてからは、ギャモンの話題は以前ほどには書かないでいたのですが実はちょうど同時期に再開していて、以来ずっと熱心にやっていました。
ごく最初のうちはカンが戻らないと感じた時期もありましたがやがて慣れてきて、いまはむしろ若い頃に比べると明らかにパフォーマンスは上がっています。
これは良いソフトが登場して活用法がはっきりしてきたこと、その結果さまざまなセオリーが明確になってきていること、周囲のレベルが上がって自分も引き上げてもらっていること、等が大きいです。

15年前にいまの実力であればおそらくかなり勝てたと思いますが、いまは当時はいなかった新しい、強いプレイヤーがたくさんいるのでそうはいきません。
この1年半は名人・盤聖のリーグ戦のほかにこの王位戦や大阪・青森の地方大会、ネットの賽王戦、海外大会も含め日程的に可能な限りの大会に参戦していて(GWは残念ながら難しい)、これまでは入賞にからまないどころか上位進出もほとんどないという状態でした。
それだけに今回の優勝は、喜びも一入です。
もちろん今後も可能な限り大会には参加し続けるつもりです。
ひとつ結果が出たことで、また次につながればと思っています。

3日間の大会期間中を通じてずっと出目が良く、特に最終日の準決勝・決勝はこの出目なら誰がやっても勝てそうな感じでした。
幸運と、日頃から遊んで下さっている方々と、そしてスタッフの皆様に感謝しています。
どうもありがとうございました。

 

なお、今大会はダブルエリミネーション(=2敗失格)の予選+8人でのグランドファイナルという方式でした。
もしかしたら将棋大会の参考になるかもしれないので、簡単に方式を記しておきます。

・33人参加、2人が逆byeですが簡単のため32人参加として記す
(1)1回戦敗者の16人でトーナメントを行い、グランドファイナルの1枠を争う
(2)2回戦敗者の8人で1枠を争う
(3)3回戦敗者の4人で1枠を争う
(4)3回戦勝者の4人がそれぞれ1枠を獲得する
(5)3回戦勝者の4人でさらに追加の1枠を争い、優勝者(=2枠獲得)はグランドファイナルのベスト4から出場する

人数が40名、50名と増えると多少ややこしくなりますが、基本的にはこの仕組みで2敗失格の予選+本戦を組めるようです。
無敗者を優遇しつつ、一つの白星の価値が均等に近いところが優れた点なのだと思われます。

 

このトーナメントを7連勝して優勝することができました。
グランドファイナルの準決勝は僕にギャモンを教えてくれた望月プロ、決勝は僕を海外大会に連れて行ってくれたしもへいさんでした。

本当に、本当に嬉しいです。

9/4 西田四段戦

弟弟子との初手合でした。
西田君得意の初手▲7八飛に、居飛車側から角道を止めて穴熊を目指す指し方で対抗。
すこし損しているような感もありつつ、これはこれで難しい将棋です。
似た将棋としては、前期A級最終局の久保ー深浦戦などがあります。(その将棋は居飛穴にはならなかったですが)

仕掛けたあたりは双方、それなりに主張のある形。

と思ったのですが、ここから振り飛車らしくうまくさばかれてしまいました。
昨日の将棋ではないけれど、ちょっと作りが悪かったのかもしれません。

進んでこの局面。ここで△6二銀とかわしておけば大変でした。
この手には気づいていたのに、指せなかったのはかなり残念。
4~5筋でずっと小競り合いが続いているところですがこのあたりのやり取りはかなり難しく、あまり早く▲5三桂成としてしまうと△5七桂とか△4二飛などの手段が生じるので、なんとも言えないところです。

本譜は△7三歩と受けてしまい、▲5三桂成△同金▲3四飛ではっきり悪くなりました。
対局翌日に「それほど大きな悪手はなかった」と書いているのですが、しばらく経ってから振り返ってみて、この順でけっこう難しいのではと思ったのは、早指しとはいえいくらなんでも判断に問題がありすぎたと大いに反省しています。

勝負所にもうすこし敏感にならないといけないと思いました。