勝ち

昨日は朝、最寄り駅に着いたら電車が止まっていて、駅に入れない!という過去に経験のないトラブルに遭遇。
タクシーもバスもつかまらず、しばらく代替手段を探しましたが、受けなし。時に、対局開始まで1時間。
さすがに慌てましたが、幸いにして電車が動き出してくれて、事なきを得ました。

長い棋士生活の中で、無遅刻・無欠勤はこれからも続けたいと思っているので、本当に良かったです。
若い頃と比べると連盟から遠いところに住んでいるので、もうすこし早く家を出ないといけないなと反省しました。
対局にはなんとしても行かないといけないのだから、いざとなれば家に戻ってチャリで出直す、という気持ちでいなくてはいけません。

対局のほうは、先週に続いて後手番での藤井システム。からの居飛車模様。
最近は戦型の垣根がどんどんなくなっていますが、この転身はけっこう古くから指されています。
改めて、藤井システムという戦法の先見性を実感しました。

全体的にうまく指すことができて、最近の中でも特に内容が良い部類の将棋が指せたと思います◎
中継で良い将棋をお見せすることができて嬉しいです。
あと、後手番の連敗が続いており、気にしていたので止めることができてホッとしました。

王位戦は周りよりひと足早い消化で、初のリーグ入りまであと2勝です。
次の対局も頑張ります。

王座戦とか

昨日のブログ記事で冒頭、誤った内容を書いてしまいました。
当該箇所は数時間後に削除しました。
まったくの勘違いで、大変失礼致しました。

日付戻って一昨日の王座戦第3局は、中村王座が後手番でひとつ返し、いよいよ面白くなりました。
序盤の早い進行には王座の深い研究と、並々ならぬ決意を感じました。
深い研究があれば当然なのかもしれませんが、決断力がすごいです。
それでいて最後は1分将棋の詰む・詰まないというギリギリの勝負になるのだから、本当にシビれるものがありますね。

この日は他の中継局もどれも見ごたえのある面白い内容で、中でも王将リーグ、糸谷八段の玉サバキは見事でした。
最近不定形の将棋が増えているので、期せずして彼の将棋が時代に合いつつあると思うんですが、どうでしょうか。

また昨日の王座戦(来期の一次予選)で里見さんが勝ち、女流棋士の同一年度公式戦5勝目は新記録とのこと。
ただ参加棋戦数が増えているので過去との比較はあまり意味がないと思いますし、これは今後も伸びる記録でしょうね。
一年単位で勝ち越す、つまり参加棋戦数以上の勝ち星をあげるようであれば、それなりのインパクトかなという気がします。

過去の女流棋士vs棋士の勝率は2割弱が相場だったのですが、これが3~4割になれば見る目もまた変わってくると思います。
その意味で今年度はここまで全体で5割、こちらのほうがより画期的な出来事です。
今日も女流棋士の対局が中継で2局+銀河戦の放映で1局、どうなるでしょうか。

またマイナビの本戦トーナメントが始まっています。
昨日の礒谷アマは強い内容でした。
加藤さん・武富さんは惜しいところで逆転負け。
相手はいずれもタイトル挑戦経験のある実力者で、こういうカードを見ていると、いよいよ上位と下位の差はそれほどなくなっているという感じがしますね。
結果もさることながら、将棋の内容を見ての感想です。

では今日はこのあたりで。

7/12 高野四段戦

銀河戦は決勝戦が終わり、月が変わって昨日から新たな本戦トーナメントの放映が始まっています。

例年通りこのタイミングで予選の表も公開になりましたので、今期予選の対局を振り返っておきます。
自分は7月12日、高野四段との対戦でした。

後手番で角交換振り飛車の戦型に。
序盤で6筋の歩を切られるとやや作戦負けになりやすいというのが定説ですが、やってみると難しいところもあると感じました。

図は△4二銀(3三から)に▲6六銀と出てきた局面。
玉頭の圧力が気になるところですが、△6五歩▲同銀△同桂▲同銀は歩切れが痛くはっきり不利。
だからと言って指をくわえて待っているわけにはいかない局面です。
▲7七桂~▲8六歩~▲4六角~▲6五歩のように攻められるともたない形で、しかも後手は指したい手が少ないので。

ここから△3六歩▲同歩△6五歩と、短時間で決断できたのが勝因になりました。
今度は▲同銀△同桂▲同銀なら△5五角があります。
ただし先に▲3七角の王手を利かすような手もあるので、この順を選ばれるのも怖いところでした。

実戦は自然に▲7七銀と逃げたので△6四角▲3七角△5三銀と進んで、景色が良くなりました。

一歩損なので極端に良いということもないのでしょうが、玉頭の勢力は何よりも大切です。
こういう大局観、感性をいつも大事にして、指したいものです。

銀河戦予選は25分30秒という早指しなので、このあとも決断の良い指し手を心がけて、この将棋は終始うまく指すことができました◎
本戦でも良い将棋を観ていただけるよう、頑張ります。

1300勝とか

昨日はこんなニュースがあり、報道でもいろいろ取り上げられていました。
谷川浩司九段、通算1300勝を達成!(連盟HP)

「テレビ棋戦で」と明記されたのは地味ながら新手でしょうか。
まあ、書かなくてもそれしかないんですけど。
最近は年に1~2回は、こういう事例が生じている気がしますが今後はどう対応していくのでしょうか。

谷川先生の将棋は、もちろん自分も修業時代にたくさん並べて勉強したもので、印象に残る名局、名勝負もたくさんあります。
ただそれ以上に、近年の将棋を並べていて、20代前後の有望な若手をバッサリ斬って落とす姿は本当にすごいと心底驚嘆するばかりです。

会長職との両立は大変だった、というのはもちろん世間で言われる通りとは思うものの、では会長を退いたからと言って急に強くなるかというとそんなに簡単なものではないはずで。
自分もプロとして年数を重ねたことで、本当にすごいのだということがようやく分かってきた気がします。

谷川先生には一度だけ、公式戦で対戦していただいたことがあります。
自分にとっては悔いが残っている将棋のひとつです。
また機会を作れるように、これから頑張っていきたいと思っています。

今日は注目の王座戦第3局。
ほか、トップ棋士が多数対局している豪華な一日になりました。

ちょっと朝から所用をいくつかこなしていて慌ただしかったのですが、午後はゆっくり観戦しようと思います。
ということでブログも短めで、今日のところはこれで。