6/7 八代六段戦

前局のあと、ギャモンの大会でシカゴに出かけていて、帰国後の対局でした。
自分にとっては「ヒューリック杯」になって初めての棋聖戦だったのですが、本局は非常にまずい将棋になってしまいました。

振り駒で後手番になり、2手目△3二飛を採用。
初めて見たときは本当に驚いたものですが、最近は驚いてもらえないし、むしろある程度以上に対策ができてしまっている印象も受けます。
公式戦で初めて現れてから10年以上、男女合わせて170局以上の実戦例があるようで、時の流れの速さには驚かされます。

さてこの将棋は筋違い角一発で参ってしまいました。

▲3四角と歩を取る手が受からないこと自体は仕方ないのですが、その後▲3六歩~▲3五歩~▲3四歩を目指すのではなく(それもあるけど)、▲1五歩~▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2四歩の筋を狙うのが、振り飛車にとって手ごわい指し方になっています。

という知識はもちろんあったのですが、およそ考えられる限り最悪に近い条件の局面を作り出してしまいました。
ちょっと、いやかなりお粗末な序盤でした。

反省して、次は気をつけようと思います。

5/16 石井五段戦

3か月ほど前の将棋になります。
直前の竜王戦では難しい将棋を負けてしまっていたのですが、この将棋はうまく指すことができて満足の一局でした。

本局は先手番で中飛車を採用。
最近はプロ棋界全体で2手目は△8四歩が多くなっている印象で、このところ▲7六歩△8四歩▲5六歩という出だしをよく指している気がします。

その後、後手番超速からの銀対抗、というよくある戦型に。
30手目の局面は、先日の王位戦第3局と同じでした。
今後も指される形かもしれません。
5筋交換後に駒組みが進むので、独特の緊張感があります。

この将棋は、序盤をうまく指すことができました。
居飛車から仕掛けられた局面では、相手の陣形がまだ整っていないので、形勢をリードするチャンスが来ています。

熟考36分、ここで▲5二歩と垂らしました。
相手を動かして技をかける、振り飛車らしい発想でなかなかの手だったように思います。

中央の銀は、△6六銀▲同歩△同角と来てもそこで▲7七角とぶつけてさばけば良いという感覚です。
他には自然な▲7五歩や、▲9六歩・▲9八香なども有力で迷いましたが、もし▲5二歩が残ればほぼ確実にと金になるので価値の高い一手です。
▲5五同銀△同角と進めるのは一手もったいないし、6七の歩は消えて良い駒、という感覚は参考になるのではと思います。

実戦は以下、△5二同金▲7五歩△8八歩▲7四歩△8九歩成▲7六飛△6四桂▲7七飛△8六飛にいったん▲7五飛!が好手で優勢になりました。
先に駒損しても飛車をさばき、玉形の差を生かして攻め合いで勝つ。
というのは古来よりある振り飛車vs急戦の将棋の極意です。

さばけるか、押さえ込まれるかというのは常に紙一重なものですが、この将棋はうまくさばくことができました。

 

七段初勝利

昨日の対局は、先手番で中飛車を採用、序盤から馬を作られる将棋に。
ちょっと作りは良くなかったのかもしれません。
ただ振り飛車を多く指すようになってから、こういう指し方もあるのかな、と思えることが増えてきて、視野が広がってきた気もします。

形勢としてはやや苦しめの時間帯が長かったですが、一方でずっと難しいとも感じていました。
特に最終盤は本当に難解で、強敵相手にそこを競り勝てたのは大いに自信になりました。
モバイル中継もあったので、まだの方にはぜひご覧いただきたいと思います。

棋王戦本戦は3度目の挑戦で初勝利、また、七段昇段後ちょうど一カ月が経ち、ようやく初勝利を挙げることができました。
ここ2戦とは別人のような内容でした。
安定感がないのは課題ですが、良い将棋が指せて、勝てたことは素直に嬉しいです。

また、本戦なので観戦記がついており、地元紙の中国新聞にもおそらく掲載してもらえるものと思います。
それが何より嬉しいことです。
これをモチベーションにして、次も頑張ります。

 

今日は夕方から帰省予定、明日は毎年恒例の村山聖杯怪童戦です。
昇段が間に合い、直前に大きな白星で、今年は良い夏になりました。

しばらく東京を離れるので、明日から数日間は公式戦の振り返りを予約投稿で入れておきます。

では今日はこのあたりで。

王将戦、竜王戦

昨日は王将戦で羽生ー佐藤のゴールデンカードがあり、意表の相振り!で面白い将棋でした。

いまから15年ぐらい前、僕が三段でよく記録を取っていた頃、トップ棋士同士のカードで相振りになることはけっこうありました。
おそらく過去の将棋の歴史の中で、相振りが最もよく指された時期だったのではないかと思います。
今年はじめの王将戦では豊島挑戦者の連採もありましたし、非定跡形特有の見どころがあると思うので、また多く見られるようにならないかなと個人的には思っています。

昨日の将棋は、序盤は佐藤会長らしい感じで先手ペースかなと思って見ていましたが、いつものことながら羽生竜王は強かったですね。

ところで王将戦二次予選の表を見ると、1ブロックの逆山は深浦ー広瀬戦で、勝ったほうがリーグ入りを懸けて羽生竜王と対戦。これって竜王戦と同じ構図ですね。

また2ブロックは中村太ー斎藤戦の勝者がリーグ入り。
これは王座戦五番勝負と同じカードです。
王将戦はタイトルホルダーのシードが厚い棋戦とはいえ、偶然というのは時に重なるものなのですね。

 

竜王戦関連で、こんな記事が出ていました。
竜王戦 福知山市、初の取組み

クラウドファンディング、という言葉が聞かれるようになってしばらく経ちますが、将棋界ではあまり例がないでしょうか。
現地に行かれる予定の方も、そうでない方も、ひとつよろしくお願いします。
なお、第4局とのことなので開催は確定しています。

ところで、福知山城って明智光秀がゆかりなんですか。知りませんでした。
西日本出身ながら北部はまだ行ったことのない土地が多く、いずれ訪れてみたい場所のひとつです。

ちなみに週明けは、(予告通り?)倉敷・岡山に立ち寄ろうと思っています。
その話はまた後日、対局や仕事が終わってから。