NHK杯、出張御礼など

先週金曜日は竜王戦本戦・A級順位戦と東西で大きな対局がありましたが、いずれも比較的早い終局でした。
最近大熱戦が多いですが、時にはこういう日もありますね。

昨日はNHK杯の藤井ー今泉戦が注目でした。放映観られなくて残念。
最年長四段の奮闘は世間に大きな勇気を与えたようで、報道でも大きく取り上げられていました。
将棋ファンのみならず一般社会に大きな感動を呼ぶ棋士というのは、やっぱりすごいなと思います。

若い頃にとてもお世話になった今泉さんの活躍は、自分にとっても感慨深いものがあります。
瀬川さんの「泣き虫しょったんの奇跡」映画化も大きな話題となっていますし、次は「介護士からプロ棋士へ」の番でしょうか?

いつか公式戦で対戦して恩返し(?)の機会があればいいなと思っています。

 

今回の秋田出張は「第35回東北将棋大会並びに第13回大仙市民将棋大会」の審判長でした。
計算すると僕が生まれた直後から始まった大会と、棋士になれた直後から始まった大会ということで、ちょっとしたご縁も感じます。

大盛況で、会場を見たところ大会参加者は100名ほど。
人口10万人に満たない街で、毎年これだけの数の人々が集まる大会が開かれている(しかも東北には各地域にそういう大会がたくさんある)というのはすごいことで、運営の方々や、市の関係者の長年のご尽力に感謝を申し上げます。

帰り際、会場の裏手にこんな石碑を発見。全国的にもかなり珍しいのではないでしょうか。

花火で有名な大曲は、駅前にも大きな花火が飾ってあって、夜は駅舎がライトアップされるようです。
予備知識があったわけではなく、たまたま散歩したら発見できたので幸運でした。

花火柄のネクタイを買って、観光案内で見つけたパンフレットを持って新幹線に乗りました。
次はここに行こうと思います。

今回も多くの方々にお世話になりました。
本当にどうもありがとうございました。

 

 

5/8 南九段戦

難しい将棋で、振り返るのが遅くなってしまいました。
先日終盤を改めて調べてみたのですが、結局難しくて自分の力では結論が分からない部分が残りました。
勝つチャンスがあったので負けたのはとても残念ですが、これも良い薬と思うことにします。

対局翌日に書いた「はっきり良くなったと感じた場面」のうちのひとつは、仕掛けのところだったのですが振り返ってみるとそれは自分の大局観がおかしかったようで、修正が必要と感じました。
南先生のほうは適確な判断をされていて、さすがでした。

その後紆余曲折を経て、難解ながらここで良い手を指せば勝てそう、という局面に。

ここで残り36分から半分の18分を割いて▲9四桂の捨駒。
この手はたぶん正解で、△同銀なら▲8四香~▲7四馬と攻めて良し。

実戦は△9二玉と逃げたのですがそこでいったん▲6六馬と逃げて、△6五香に▲6三金と攻めれば勝ちでした。

駒をたくさん渡す順は自玉が危ないので盲点でしたが、気づいてしまえば簡単な手だったので気づけず残念。
以下は△6三同馬▲同歩成△6六香▲7二と、と進むぐらいですがその局面は後手玉は必至、先手玉は△9九金▲同銀△同歩成▲8八玉のときに6六の香が邪魔で詰みません。

実戦はこの順を逃し、△9二玉に▲9三香(△同玉なら王手で馬を逃げる狙い)と捨てたのが悪手。
以下は△同桂▲5一飛△8一香▲5三飛成△6五桂・・で混戦に。

しばらく進んで最終盤が次の図。
ここに至るまでの変化が膨大で、最善がいまだによくわかりません。
強いコンピュータ同士だと、お互いしぶとく耐えて長く続きそうな感じもします。


この△5七銀は読めていませんでした。やはり駒を渡す手は見えにくいのでしょうか。

ここで残り6分から再び半分の3分を割いて▲8八銀引の活用。敗着。
△6六銀成▲同金△6八角成▲同銀△8九角で、詰み筋に入りました。
正解が読めなかったのは仕方ないとしても、この順ははっきり負けなので、なんとか回避すべきでした。

図で▲8九香なら、チャンスがあったようです。
ただこの先も長いので、残り時間を考えると勝つのは難しくなっていたかもしれません。

将棋はやはり終盤が大事です。早く正確な読みと、時間配分も大切。
改めて痛感した1局でした。

引き続き一局一局頑張っていきたいと思います。

秋田出張

今日はこれから秋田県大仙市(花火で有名な大曲)に行ってきます。
LPSAの中倉彰子さんとご一緒だそうで、もしかしたらこれは自分にとっても初めてのことかもしれません。

最近はすこしLPSAとの交流は増えている印象で、昨日も書道部に渡部さんと島井さんが来てくれたし、渡部さんは今度東竜門のイベントにも出演されるのですね。
一時期を思えば隔世の感があります。

朝早いですがもう出る時間なので、今日はこれだけで。
明日は対局の振り返りで予約投稿を入れてあります。

昨日は中継多数、豪華な一日でした。
その話はまた帰ってきてから。

書道部

昨日は対局のあと、連盟書道部へ。
14時対局開始で、25分30秒だとだいたい1時間~半ほどで終わるので、午後~夕方にやっている書道部に行くにはいわゆる「味が良い」展開と言えます。
15年ぐらいやってますが、このパターンはたぶん初めてだったかな。

最近久々と言って良いぐらい盛況になりつつあり、喜ばしいことです。
長く続けてきた甲斐があったかなと思いますね。
部長(という名の世話役)は10年ぐらいやって後輩の門倉君にバトンタッチしましたが、その後もずっと参加していて、いまやほぼ常に最年長です。
特に若い棋士はイベント出演の機会も多く、いっぽうで揮毫は慣れてないはずなので、練習してレパートリーを増やしておいたほうが良いでしょう。

自分が棋士になった頃と比べると、最近は本当にイベントが増えて、この夏も盛りだくさんです。
若手棋士主体のものもいろいろとありますので、皆さん応援・ご来場のほどよろしくお願いします。

終わって連盟近くの陳記改め焼肉亭で打ち上げ。
中華から焼肉とはあまりに華麗な転身です。
焼肉屋は周辺にないので、将棋関係者が集まりそうな気がします。

そういえば後輩の棋士たちと飲むのは久々で、楽しいひとときでした。
高見叡王のタイトル獲得と誕生日もお祝いして、「今日の叡王」とか言いながら写真を撮らせてもらいました。秘蔵します。

 

東大卒棋士のAI勝負脳
日経bizgateというビジネスサイトへの寄稿は連載7回まで来ました。
昨日初めて、ある同世代の棋士から「読んでるよ、面白いね」と声をかけてもらったのですがこういう一言は、とても嬉しいものなのですね。
我がことになって初めて心から実感したので、自分も心がけようと思いました。

ウェブ媒体が活字の割合の多くを占めるようになって世の中が変わったことと言えば、「共通の話題」に乏しくなったことではないかと思っています。
あと、(きちんと)読まれているのかどうか、というのはすごく分かりにくくなったのではないかと。

連載だけでなくブログや、解説出演等のことも含めて、感想などお寄せいただいたり、あるいは直接ご自身で発信していただけると嬉しく思います。

 

今日は首都大学東京の授業担当最終回。
指導対局をして、その後レポートを書いてもらいます。

実は今年はいままでで一番学生の棋力が高いと感じています。
スタートは同じ(基本的には未習熟者)なので、教える側の技術が安定してきたことと、あとは中村王座の1手詰の本が発売になって課題図書に指定したことが大きかったのかなと思います。

この本は非常に良い出来なので、ぜひオススメしますし、僕もさっそく中学校の指導にも活用しています。
特に「駒となかよくなる」というフレーズには大変感銘を受けました。

では今日はこのあたりで。

本日対局

今日は連盟HPには出ていませんが銀河戦予選の対局があります。
対戦相手や結果も出ませんので後日、時期が来たら改めて書くようにします。

昨年は中盤で信じられないような悪手を指して負けてしまいました。
今年はそういうことのないようにしたいものです。
午後からの対局なので、午前中は家で棋譜並べなどして過ごそうと思います。

それにしても毎日暑い。いよいよ夏本番です。
発表されている最高気温よりも体感ではもうすこし高い感じがしますね。
体調に気をつけて、水分補給を心掛けて暑い夏を乗り切りましょう。