名人戦

椿山荘での第1局は、現地に観戦に行くことも多かったのですがこの日は対局だったので、帰りの電車で棋譜と結果を見ました。
ものすごい終盤で、興奮しながらコメントを追いました。
リアルタイムで観られなくて残念に思いました。解説会に集まったファンの方々は幸運だったと思います。

そもそも1日目の昼間から決戦になっているので、2日目がずっと終盤戦なのは当たり前なのですが、この将棋が時間いっぱいまで、手数も100手近くまで行くとは思いませんでした。
ずっと均衡の取れた勝負になったのはさすが最高峰の戦いという感じがします。

図は63手目の局面(画像は名人戦棋譜速報より)でこの手が控室の検討を上回る一手だったとのこと。
たしかにこれで先手玉が寄らない(後手玉との兼ね合いで)というのは驚きです。

よく「対局者が一番よく読んでいる」という言葉が聞かれますがそうは言っても、こういう終盤の長い将棋は何度も指し直しができる控室の検討が圧倒的に有利で、散々調べた結果「ああ、やっぱりそう指した」となることも多いものなんですがこの局面に関しては違ったのですね。
羽生竜王の読みが控室や、もしかしたらコンピュータさえも上回ったのかもしれません。

終盤の長く続く将棋というのは突き詰めて考えた場合に後戻りが簡単でない場合が多く、本局で言うと仮に↑の局面が先手勝ちならば後手は少なくとも48手目△4九馬切りよりは前に戻らないといけない。
となるともう封じ手前後の指し手がどうだったか、となります。
終盤が強いとされるコンピュータも実際には正確な判断ができているわけではなく、確率的に局面を見ているだけなので終盤であっても形勢判断(評価値)を誤る場合があり、特に本局のような内容の将棋では顕著です。

この将棋は最高峰のレベルの高さを示しつつ、長く続く終盤を多くのファンに楽しんでもらい、さらに読みの深さや正確さでもコンピュータにまさっていた可能性もある。という点で二重、三重に人間の価値を強くアピールした名局だったのではないかと思いました。

ところでよく「何手先まで読めますか?」という答えに困る質問があるわけですが、本局の場合お二人が読んだ手数は実際どのぐらいなんでしょうね。
少なくとも数十手先の局面をああでもない、こうでもないとたくさん作っては消していたことは間違いないでしょう。
コンピュータも控室も、駒を動かして、その先を実際に目で見て、判断するわけでこれほどの膨大・難解な変化を頭の中だけで2日間処理し続けたことは驚嘆に値すると思いました。

そして敗れた佐藤名人はいつも通りその読みの一端をtwitterに披露していました。
なかなかできることではないと思います。

新時代のタイトル戦、第2局は恒例の全国一斉大盤解説会もあります。
次局も熱戦に期待しましょう。

辛勝

昨日の対局は、後手番で相手の注文を受けた立ち上がりの末に、結局は角交換振り飛車の戦型に。
中盤さばき合いの場面で致命的な見落としがあり、はっきり不利になったのですがそこからワンチャンスをモノにして、最後は幸運な勝利でした。

2月のNHK杯予選の対局(〇〇×)を除くと、1月末から5連敗中で、長い持ち時間の対局では実に3か月ぶりの白星ということになります。
さすがにホッとしました。

感想戦は短めで、23時頃の帰宅。
その後、普段なら対局の日はなかなか寝付けないのですがよほど疲れていたのか、風呂から出たあと缶ビールを空ける間もなく、倒れこむように寝てしまいました。

負けが込んでいていつも以上にプレッシャーがあったのかもしれません。
昨日も書きましたが、今期はこれから巻き返していければと思っています。

名人戦開幕

今日からいよいよ名人戦が開幕。
今年はすっかり桜が緑に変わってからのスタートになりましたね。

対局開始から1時間、戦型は横歩取りに進みました。
2年前に続いて、この戦型がシリーズの行方を左右しそうな感じがします。

いま18手目△6二玉と指したところなんですがこの手はつい数日前、▲村山ー△羽生戦で解説を務めたときに目にしたばかりです。
直近の前例のひとつには朝日杯での▲藤井聡太ー△佐藤天彦戦もありました。
両対局者の興味の向く先がピタリと一致した、という感じです。

羽生竜王にとって100期目のタイトルが懸かったシリーズということで、特に注目が集まっていますが個人的にはむしろ佐藤名人の自然体が目を引きます。
この1年間、主催紙上はじめ名人のインタビュー記事を数多く目にして、どれも非常に興味深く読んでいました。
盤上での表現が非常に楽しみです。

 

藤井六段は昨日の竜王戦でも勝ち、これで七段昇段まであとひとつ。
今年に入った時点で、僕もあと10勝ぐらいだったはずなんですけどね。まさか追い抜かれるとは。
もっとも朝日杯優勝ですから、七段はもはや自然ですけど。
昨日の将棋は最後の詰みが簡単なのだけど見えづらい、という筋できっちり寄せ切ったのはいつものことながらさすがでした。

ところで今期の竜王戦、3組の表を見てふと気づいたのですが、ベスト4のメンバーが前期の4組とまったく同じです。
竜王戦は勢いがつきやすく、連続昇級とか連続優勝ぐらいはたくさん例がある(ちなみに同一カードでの2期連続決勝戦もある)のですがさすがに4人となるとかなりの椿事と思います。
名前の並び順までまったく同じ。こんな偶然があるとは。

誰か気づいた人がいるかもしれないけど、目の届く範囲では誰も言ってなかったので、書いておきたくなりました。

またマイナビ第1局は加藤女王の勝ち。
奨励会で初段と三段というのはそれなりに大きな差なんですがタイトル戦の舞台ではむしろ加藤さんのほうが内容・結果とも押している感じです。
人間同士の勝負なのでそういうこともあるでしょう。
見ていて懐かしくなる戦型の好局でした。

最後に連盟HPからお知らせ。
小学館「サライ」に将棋大特集が掲載

旅と将棋は感覚的にも相性の良いコラボのひとつと思います。
また最近は雑誌の付録とかで将棋セットがついている、というケースをよく見かけますね。
とても嬉しい傾向です。

コラボ

昨日は昼間は書道部、夜は豪快に肉を食べる会。食べ過ぎた。
将棋のプロ棋士のほかはプロのマジシャン、プロの画家、プロの忍者(の末裔)と多彩な顔ぶれで、楽しいひとときでした。

マジックを見せていただく機会はけっこう久しぶりだったのですが、やっぱりプロはすごいものですね。
我が家の机にはいまお土産(?)のトランプが置かれています。

そんなわけで注目の(?)ニコ生詰将棋カラオケはまだ観れていません。
TS(タイムシフト)で観ようと思っていますが、いつになることやら。

twitterで情報を得た限りではプロの凄さが伝わる面白い企画になったようで。
そもそもこの仕事受けた時点ですごい・・ですよね。
弟弟子の糸谷君は昨日も大活躍だったそうです。何をやらせてもすごいなあ。

来月は将棋×パフェのコラボイベントをやるらしいですよ。
って何言ってるか分からないと思いますが(笑)興味のある方は検索してみてください。

まさかカラオケに将棋とのコラボ要素があるとは思いませんでしたし(カラオケボックスで将棋を指す、とかなら聞いたことありますけどね)、パフェ、ってどうやってコラボするんでしょう。
まだまだ鉱脈はそこかしこにあるのかもしれないな、と最近視野が広くなった気がします。

それと最近妹弟子の山口女流は「将棋用語を絵で描いてみる」というチャレンジを続けているようで、応援しています。
絵本みたいな感じで出版されないかなあ。
この将棋ブームなら行けると思いますけどね。
多才な弟弟子・妹弟子に恵まれて、見ていて本当に楽しいですね。

 

今日はマイナビ女子オープンの第1局、舞台は恒例の陣屋。
かなり懐かしい戦型になりました。

竜王戦の2局は片方が角換わりからの右玉でこれもわりと懐かしい感じのする駒組み手順。
もう1局は角頭歩戦法の超乱戦。

昨日もオーソドックスな中飛車にかなり珍しい形の対抗形、相居飛車の超急戦に超持久戦、といろいろありました。

カラオケでいえば懐メロからアニソンまで、流行のヒット曲もあれば知る人ぞ知るマイナーな名曲もある、という感じでしょうか。
例えに無理があったらすみません(笑)