サクラサク

東京は昨日、開花宣言、昨年や例年より10日ぐらい早いとのこと。
今年は早そうとは思っていたら、予想通りでしたね。
名人戦の開幕の頃にはすっかり散ってしまいそうです。

部屋の目の前の桜も満開で、朝カーテンを開けると、やっぱりとてもいい気分になります。
しばらくはこれだけで、楽しく過ごせそうな気がしますね。

昨日は用事を終えた夕方、四ツ谷~市ヶ谷~九段下とすこし散歩してから帰りました。
千鳥ヶ淵はかなりの人出でした。
今週中に一度ぐらいはゆっくり花見に出かけたいなと思っていますが、叶うかどうか。

 

今日は詰将棋解答選手権、藤井君への注目が過熱したためか、名古屋に特別会場を設けるのですね。
この大会に出られる方は(作者も含めて)一様に尊敬しています。

AI時代の社会の変化がいろいろな分野で取りざたされる中で、もうずっと前からコンピュータに凌駕されているはずの詰将棋という世界がいま、こうして注目されるというのはなかなかに示唆的で興味深いと感じています。
詰将棋は人間のあらゆる営為の中でも、特に知的でかつ非生産的なものの代表ではないでしょうか。
一生楽しめる趣味としてこんなに奥深い世界は、なかなかないでしょうね。

日を同じくして、関西ではプロ棋界初の試み、団体戦が行われます。
こちらに出場される棋士の方々は本当にうらやましい。
盛り上がって今後も規模を拡大しながら続いていくことを願っています。

NHK杯は決勝が終わり、今日は女流棋士による来期の出場者決定戦。
これも春の風物詩として定着してきた感がありますね。

 

昨日の「東西の違い」の話、実は他にもいろいろあって、どこかで話したり書いたりする機会はないかなと前から思ってました。
たとえば、秒読みのやり方も微妙に違います。

東京では「30秒、残り5分です」などと読みます。
(1分未満切り捨てのルールでは、残り10分からは秒読みを頼めるというのが原則。
30秒、40秒、50秒と来て、55秒、で指せば残り時間を消費せずにすむ)

これが関西だと「残り5分です、30秒」と順番が逆になります。
僕は18歳のとき大学進学で東京に出てくるまでは広島から大阪に通っていたので、関西の奨励会員としても何度か記録を取っていて、東京に来たらなぜか逆なのでとても不思議に思いました。
いまは慣れましたが、なぜ違いがあるのか理由はいまだに謎です。

 

では今日はこのあたりで。

席次の話と、東西の違い

すこし前に、藤井君が六段に昇段したことで上座の対局が増えそう、という記事がありました。
それはちょっと妙なトーンの記事ではあったのですが、将棋界において席次というのはたしかに大事な伝統で、基本的には今後五段以下の棋士と指すときは彼が上座を占めることになります。

もし七段になれば当然六段の先輩(自分もだ)と対戦するときは上座になりますし、タイトルを取ればほとんどの棋士を相手に上座を占めることになるわけです。
それがルールですし、自然なことです。

いっぽうで対局前に上座の譲り合いというか、下座の奪い合い(?)をしている光景を見かけることもわりとよくあります。
それを日本的な美しさ、謙譲の美徳と受け取るかどうかは意見の分かれるところかと思うのですが、コアなファンの方はけっこうお好きな印象です。

席次はまず段位が上の棋士が上座で、同じ段の場合は棋士番号の若いほう(つまりプロ入りが早いほう)が上座、というのが原則的なルールになっています。
その他にクラスや順位や年齢等の要素で微妙な関係の場合もあるので、上記のような譲り合いが起きるのはほとんどが同じ段位の棋士が対戦するケースに限られます。
他に段位に差があっても、たとえば師弟や兄弟弟子等の事情があるケースもあります。

ただ、そういう特殊な状況でないのに、段位が上の棋士が下座で待つ光景は、個人的にはあまり好きではありません。
そもそも基本的にはすべてルール通りで良いと思っているので。
ただ対局に臨む気持ちは人それぞれなので、この方との対戦で上座はちょっと、と思うことがあるのは、理解できるところでもあります。

 

ところでこれに関連して、あまり知られていない話。

対局室フロアの入り口部分に、部屋ごとに名札が貼られてその日の対局が一覧になっているのは、ある程度詳しいファンの方ならよくご存じと思います。
(興味のある方は「対局室 ボード」などで検索してみましょう)

東京の場合、特別対局室から順に席次の高い棋士が占めていき、原則的にこのボードで右側に貼られている棋士が上座です。
つまり席次が上の棋士が右側に来るように、手合課の職員が配置しているのです。

ところがこれが関西だと逆になります。
つまり左側の棋士が上座です。
エスカレーターじゃないんだから、と関西に対局で行くたびに思っています。

そもそも別に表示してもらわなくても、棋士はお互いの関係でどちらに座るか自分で分かるので、このままで特に問題はないということなんでしょう。
気づいてはいるけど特に気に留めない、という棋士がたぶん大半で、そもそも気づいていない棋士もいるかもしれません。
自分の知っている範囲で少なくとも20年は変わっていない習慣で、いつからそうなっているのか、なかなかに不思議で面白いです。

ちょっとしたトリビアだと思うので、連盟HPのコラムに転載しておいてもらえないかなあ。

対局の結果など

昨日の対局は、後手番で角交換振り飛車。
終盤にチャンスが来たように感じたのですが、実際のところどうだったか。
いつもより長めに感想戦をやったものの、はっきりとは分かりませんでした。
実戦は相手の指し回しが正確で一歩及ばず、残念な敗戦になりました。

今月は3戦3敗で厳しい結果でしたが、自分の実力から考えてありえない指し手や形勢判断のミスはなかったように思うので、仕方ありません。
敗戦が続いていることによる負の連鎖や悪影響を最小限に抑えられるようにして、来年度の巻き返しをはかりたいと思っています。

 

名人戦は羽生竜王が挑戦者に決まりました。
この一年間、ずっと奇跡のシナリオを見せられ続けている気がいます。
タイトル100期目のチャレンジ、どんな戦いになるのでしょうか。

それと昨日の藤井六段はまた強すぎて、軽く戦慄しました。
これはいったい、誰が止めるんでしょうか。。。。
この王座戦で参加1年目の棋戦は最後とのことでしたが、このまま行くと本当にタイトル取りかねませんね。

 

今日は久々に仕事と名のつく予定のある日で、(棋士にとっては)朝早いですがもう出かける時間です。
対局翌日になってしまったのは偶然なんですが、この半年ほど連盟内の仕事はすっかり干され気味なので、外の方からお仕事をいただけるのはありがたい限りです。

将棋界が空前の好景気に湧くいま、さすがに自分もそろそろ本格的に棋士の生活に戻りたいと思っていますが、来年度はどうなることか。
最近は中期的なスパンでの身の振り方について悩むことも多く、30代後半、なかなか難しい年代ですね。

「一日一日を生き生きと生きる」ことが大切で、そのためにできることを自分で考えて実行していきたいものです。
では、お仕事行ってきます。

寒の戻り

昨日は急に寒くなり、雨も降るしで門出にはなかなか大変な一日でしたが、ともあれ作業は無事に終わりました。
弟子にはこれからも将棋を生活の中心に据えて、頑張ってもらいたいと願っています。

今日は春分の祝日ですが関東は雪になるようなところもあるとか。
こういうのを寒の戻りと言うんでしょうけど、さすがに戻りすぎですよね。
ただ三寒四温という言葉もありますし、まあこれも日本の良さと思うことにしましょう。

僕がいま住んでいるところには昨年の5月末に引っ越してきたのですが、たまたま目の前に桜が3本あって、以来ずっと楽しみにしていました。
数日前に咲き始めて、いま、2~3分といったところ。
今年はすこし早そうな感じですね。
週末から週明けにかけて天気が回復すれば、例年よりすこし早めの花見ができそうです。

 

棋王戦は永瀬七段が勝ってフルセット、最終局へ。
信じられないような大逆転が見られそうなところを踏みとどまったのは第1局と同じ展開で、2・3局はお互いの完勝だったことを考えるとここまでまったくの五分、という感じがします。

棋王戦は今期に限らず、タイトル戦の中でも先手勝率が高いイメージがあり、最終局は振り駒も大事かもしれません。
今年度最後の大一番はどんな結末になるでしょうか。

それにしても挑戦者の昼食の注文には驚きました。
あれ本当に全部食べたんですかねえ。

今日はA級プレーオフの最終局(?)、名人挑戦者がついに決まるという一日です。