第3局×2

今日は王将戦第3局の2日目と、女流名人戦の第3局。
この重なり方は先週の第2局と、まったく同じのようですね。
タイトル戦の誘致が多く、土日が足りなくなる季節のひとつです。

王将戦はあまりに早い進行にびっくり。
いくらなんでも無理攻めだろう・・というのが多くのプロの第一感だと思うのですが(自分もそうなので)、他の選択肢よりは明らかに良いと見切っての踏み込みなのでしょうね。

封じ手の局面、形勢は久保王将が良いと思いますがそれはプロ同士の話で、これがアマチュアならば「駒損しても飛車を成れ」というぐらいなので、いい勝負に見えなくもない感じです。
そういう意味では2日目はトッププロの芸、玉さばきやギリギリの見切りが出るかどうか。
というところが注目でしょう。

あと、この将棋はそもそも序盤の立ち上がりから、いろいろと驚く手が多かったです。
もっとも相振りの序盤というのは指す人によってかなり感性が変わってくるので、(仕掛けの場面と違って)選ばれる手が全然違ってもそこは不思議はありません。
ただし、こんなに進行が早いのは驚きで、これもまた現代将棋の一面でしょうか。

女流名人戦は大方の予想通り、スラスラと相振りに進んでいます。
王将戦のほうは7番勝負の1-1なので序盤~中盤の入り口といったところですが、こちらは5番勝負の2-0なので早くもカド番。
挑戦者の踏ん張りに期待したいですね。

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2/17の朝日杯は、観戦チケットがすごい勢いで売り切れたとか。
発売開始と同時にアクセスが殺到したようで、さすがにそこまでとは思わなかったのでびっくりしました。
いろんな意味で、これまでの将棋界の感覚とは変わってきていますね。

これはもちろん良いこととも思う半面、世間というのは何かと極端なので、今後は長年のファンとの距離感をどうするか。ということも大事になりそうな気もします。
たとえば相撲界なんかに学べることは多いのではないかと思いますね。
(協会の運営は謎だらけですが・・)

今期の朝日杯はもしかしたら、「観る将棋ファン」という言葉が、本当の意味で市民権を得た最初の例になるのかもしれません。
これまでの「観る将」はあくまでも自分が指すより棋士そのものや、棋士が将棋を指すところを観るのが好き。という印象で、こと棋士のことに関しては棋士以上に詳しい人も多いイメージでした。

ただ誤解を恐れずに言うと、自分が野球や相撲を観に行くときは、試合に目が向いていない時間も多いですし、プレイヤーに対する知識もそこまで深いわけではありません。
そしてそういうファンは会場に一定数いるはずです。

それと同じで、今回は特に、将棋に詳しくないお客さんが多いのかな。という印象をなんとなく持っています。
(だからそれだけ殺到したのではないかと)
将棋(あるいは棋士)を知っている人とそうでない人を区別する理由はないと思いますが、将棋を本当にまったく知らない人が将棋を観る。という姿はなかなかいままでの感覚では理解できないところもあると思うので、発想の転換が必要になるのではないかなと思う出来事でした。

そんなこんなで、2/17は本当に楽しみですね。

順位戦など

一昨日のラス前、まずC2は藤井四段がただ一人全勝を守り、1期抜けを決めました。
中学生初の五段昇段ということで、またも大きな注目を集めたようです。

以前書いたように(昇段規定の話)なぜ昇級決定日即日昇段に変わったのか僕には不明ですが、「中学生五段」はこの規定のおかげで実現した記録とも言えそうです。
こういうところも、スターの天運かもしれませんね。

今回の将棋はかなり大きな作戦負けで、たぶん順位戦では初めて不利になったのではと思いますが、流れが変わってからはさすがの安定した指し回しでした。
多くの棋士やファンも言及していた通り、最後の△5七角はかっこいい決め手でしたね。

それにしても、浅い時間ならまだしも深夜まで順位戦を指したあとの、別室で報道陣に囲まれながらの感想戦は、精神的にも体力的にも相当にきついでしょうね。
プロだから仕方ないこととは言え、スターを前にした梶浦君の心境は、察するに余りあります。

 

来期は同じクラスになるわけですが、C1は人数が多いことに加えて抽選のルールもあり、対戦する可能性はわりと低いです。
ただ同じクラスにいると、近くで対局している姿を見る機会は何度かあると思うので(実はまだ一回だけなのです)、それはすこし楽しみです。
たぶん、映像で観るのとはまた違った感覚を受けると思いますので。

もっとも黒船が来ようと、雹が降ろうとヤリが降ろうと、自分がやるべきことは同じです。
一生懸命良い将棋を指して、精いっぱい先輩の意地を見せられるようにしたいですね。
もちろんその前に、今期の順位、なのは言うまでもないところ。

C2昇級争い、藤井四段以外の上位陣はかなり星を落とし、2敗上位に自力が回ってきました。
そのことからも改めて1期抜けとか、1番残しての昇級決定とかが難しいことが分かると思います。
最終戦だけは一斉対局で、3月15日。

 

A級はいつもながらすごい終盤戦が多かった。
健康診断の前夜なので本当は早く寝るべきだったのですが、結局最後まで観ることに。
最後の三浦ー豊島戦はまさに劇的な結末で、感動を覚えました。

この結果、名人挑戦争いは最大6人ものプレーオフになる可能性を残し、降級も1人が決まったのみ。
3月2日の最終戦、「一番長い日」は大変な注目になりそうです。

対局中に他に特に注目していたのが、渡辺ー久保戦。
久保王将の攻めが細い感じに見えたのですが、なんだかんだと手を作り、結局玉頭方面だけで戦い続けたまま振り飛車側の勝利。
どうしてこうなるの、と思ったのは僕だけではないと思います。

 

今日・明日の土日は王将戦第3局、舞台は栃木県大田原市。
ここはタイトル戦誘致のさきがけのような街の一つで、これで13年連続の開催。
久保王将と豊島八段は順位戦の激闘(しかも大阪)から休む間もなく翌日の移動・前夜祭で今日対局ですから相当なハードスケジュールですね。

戦型はまたも相振りで、1局は出るのかなと思っていましたが連投はかなり意外でした。
先手番の振り飛車を攻略するのは容易ならず、との判断なのでしょうか。

明日はNHK杯も三浦ー豊島戦なのですね。
トップ棋士はこうやって対局日に放映が重なることはけっこう多い印象で、対戦カードも不思議と続くんですよね。
一昨日の激闘を思い出しながら、観戦しましょう。

健康診断

今日は健康診断で、朝が早いので予約投稿を入れておきます。
順調だとこの記事がアップされる頃には、無事に終わっているはずです。

毎日楽しいことも、そうでないこともいろいろあれど、健康にまさる幸せはありません。
ということで今日はとても大切な一日です。
雪がちょっと心配なので、何事もないことを願っています。

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さてそういうわけで、昨日の注目対局はまだ終わらないうちに書いているので、今日は以前から取り上げようと思っていた記事をいくつかまとめてご紹介します。

子供に将棋を教える時、まず初めに教えるべきこととは?【将棋の教え方】(連盟HP・将棋コラム)
僕の同世代には、自分自身で子ども教室を手掛けている、あるいは将棋連盟の教室の講師を務めている棋士が特に多いのですが、中でも藤倉さんは先駆者で、第一人者と言うべき棋士の一人です。
どれぐらいの分量になるのかまだ分かりませんが、連載ということで、これから楽しみにしています。

棋士の考える「将棋入門」
こちらは遠山編集長のブログ。
ここに書かれているようなことは、僕も(たぶん他の多くの棋士も)よく考えていることでもあります。
こちらも連載になるみたいなんですが、時期が重なったのは偶然なのかどうか?
いずれにせよこれから楽しみです。

早稲田式将棋塾
昨日見つけたブログで、面白かったので全部まとめて読みました(ナナメ読みですが)。
物事の捉え方とか、考え方とかが良いなあと思いました。
東村山市で、将棋教室を開いているそうです。

徳ちゃんのオンライン将棋教室
このサイトの存在は以前から知ってたんですが、タイ在住でそちらでも将棋教室をやっているのですね。
それはすごい。

元奨励会員が、ネットも活用しながら将棋指導をしている例が、最近増えているように感じています。
将棋自体が流行していることに加えて、情報が伝わりやすくなって、目に留まるようになったことも大きいでしょう。
彼らは将棋の実力はもちろん申し分ないですし、自力で教室を立ち上げるということはそれだけの熱意があるということで、教えようという気持ちや能力は、プロ以上だと思います。

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ところで、現在ほとんどの将棋教室は(筆者の想像もありますが)、ある程度画一的な料金設定とサービス体系になっていると思います。
そこに参入者が増えれば、おそらく当面は需要の掘り起こしが進んで受講者が増え、そのあとには競争が起こり、サービスの質が向上し、、、と良い流れになっていくのではと期待しています。
いまはまだニッチな世界であるがゆえに、細かいニーズは拾いきれてないと思うのですよね。
(たとえば将棋の家庭教師はあんまり聞いたことがない)

努力している方々への、敬意と応援を込めてのエントリです。

ラス前

今日は順位戦A級とC2のラス前。
C2は半分だけで残りは来週ですが、成績上位者の対局はほぼ今日に集中しているようです。
ラス前でA級と他のクラスが同じ日に指されるのはかなり珍しいはずなので、何かよほどの日程的な事情があるんですかね。(分かりません)

A級は豊島八段は勝てば名人挑戦が決まる可能性があり、いっぽう降級のほうも3名決まる可能性があるようです。
それでなくてもどの対局も注目なのは言うまでもないところですが、できれば「一番長い日」にひとつでも多く楽しみが残ってほしいというのは、一般的な期待でしょう。

C2も藤井四段の昇級(・昇段)が決まるかもしれないということで、ラス前としては過去にないほどの注目度です。
記者の方は体が2つほしい状態になっていると、こないだ誰かに聞きました。
各社で将棋担当の方が増員されたら良いですね。(勝手なこと言ってスミマセン)

今日は用事がないので、夜までじっくり観戦予定です。
東京は今夜から雪の予報のようで、連盟道場での大盤解説会もきっと盛り上がると思いますが、ご来場の際はくれぐれも足元にご注意ください。
そうでない方は、名人戦棋譜速報や中継番組でお楽しみください。

 

朝日杯、2月17日の準決勝・決勝、有楽町対局のチケットがもうすぐ(あと数分)発売になるようです。
将棋ではかなり高額の部類で、いっぽうで注目度もすごいので、どうなるのでしょうか。

いまは歌舞伎とか相撲とか宝塚とか能とか、比べる対象として何が適切なのか分かりませんが舞台上を観に行く際のチケットは、ほとんどが将棋と比べるとずいぶん値段に差があります。
将棋界もこれから他の世界に近づいていくのかもしれません。(分かりません)

 

BLOGOSにこの朝日杯対局への展望が出ていました。
羽生竜王「初モノ」との勝率は驚異の83%!藤井四段は14人目の勝者になれるのか
一般メディアですが、将棋メディアかと思うぐらいによくデータを調べ上げています。

本題とそれた部分なんですが村田智弘君が二度、飛車落ちで指してもらっている、という話が目を引きました。
実は彼が小学生名人になったとき、準決勝で負けたのが僕です。
つくづく、惜しいことをしたものですねえ。

それはともかく、これほど世間から注目を集める対局は、めったにあるものではないです。
どんな将棋になるのか、いまから大変興味深いです。

負け

昨日の対局は、ゴキゲン中飛車で、相手の丸山ワクチン。
この戦型はここ数か月だけでもう3回目で、もう負けられないと気合を入れ直すも、完敗でした。
それほど悪い手をやった感触はなかったので、後手番の難しさが出てしまった感じです。

今期の竜王戦は特にモチベーションを高くして臨んでいたので、非常に残念。本当に無念。
気を取り直して、また次の対局を頑張ります。

 

叡王戦はまたも若手が勝ち上がり、これ以上ないぐらいのフレッシュな七番勝負になりました。
六段同士のタイトル戦、ということでも話題になっていますが、過去にはこんな例もあるのですね。

調べてみると、1990年度の冬のことでいまから27年前。
このお二人は同じ時期にC1の順位戦でも対戦しています。
順位戦でCクラス同士のタイトル戦も初めてかな、と思ったのですがそうではなかったようです。

現在の制度ではタイトル戦に出ると昇段しますし、獲得すると七段なので、↑のようなことはまず起こりません。
今回の場合そもそも、タイトル戦未経験者同士のタイトル戦というのが、異例中の異例です。普通どっちかは防衛戦なので。
これは初回ならではのことで、おそらく今後もまず起こらないでしょう。
そういう意味で、本当に歴史的な番勝負になりました。

あともうひとつ気づいたのがこれ。

twitterに書いてみて、どこからも指摘がなかったので、たぶん初めてで間違いないでしょう。
これは今後も起きることと思いますが、初めて、ということでやはりこれも将棋界の変化を示す例とは言えると思います。

こういう良い変化の波に、自分の乗りたいですね。
小粒でも粘り強い世代の、意地を見せたいと思うのです。