順位戦とか

一昨日はB2、昨日はC2の後半分とA級が1局。
今日もA級が1局あり、今週は順位戦の対局が多くついています。

B2は唯一全勝で首位の野月八段が、最終戦の不戦勝もあるのでかなり有利な状況。
この日も夕休前の快勝でした。

いっぽうで遅い終局の将棋も多く、中でも窪田ー畠山成戦は個性的で面白い将棋。
棋譜コメントから、中継記者の興奮まで伝わってくるような熱い戦いでした。
ほかに藤井ー飯島戦も最後までどちらが勝つか分からない将棋で面白かったです。
終盤はたぶん形勢が揺れていたのではないかと思いました。

C2は増田四段に初黒星、ただしまだ昇級自力。
全体的には新手筋、新構想が多く見られた一日だったような気がします。
中でも石田ー村田戦の▲3三桂成!という手はびっくりしました。
本当にあんな手が成立していたんでしょうか。
以下もえらくイケメンな勝ち方で、観ていてうらやましく思いました。

A級は佐藤九段が長手数の不詰みを読み切って勝ち。
穴熊の遠さを生かす指し方は最近のトレンドでこそないものの、やはり有効な戦術であることに変わりないのだなと思いました。
会長の激務の中、あの厳しいA級順位戦を白星先行は、本当にすごいの一言です。

さて早朝の更新なのは、これから羽田に向かうためです。
夫婦で1泊の小旅行に出かけてきます。

では。

本日とくダネ!に出演します

羽生先生への国民栄誉賞検討中とのニュースを受けて、急遽本日、かなり大きな特集を組んでいただくことになったそうです。
つい一昨日のこと、2017年の将棋界を振り返って「さすがにもう大きなニュースはないと思うのですが」と書いたら、とんでもないフラグでした。

既報の通り、囲碁の井山裕太さんへも同時に検討中、とのこと。
考えてみれば七冠「復帰」というのもちょっと考えられない偉業ですよね。
囲碁界からもゲストがいらっしゃる予定と聞いています。

何もなければ8時10分頃から9時頃までとのこと。
良かったらフジテレビをご覧ください。

ということでこれからお台場に向かいます。

祝賀会とか

昨日は日中は練習将棋、夜は森内先生の紫綬褒章をお祝いする会へ。
普段からバックギャモンの例会も行われている「ミケランジェロ」というお店に相当久々に行きました。
生ギャモンもけっこう久しぶりで、楽しいひとときでした。
主役が優勝は順当とはいえ、お見事、さすがです。

そういえば昨日書き落としてしまいましたが、今年は春に佐藤会長、秋に森内専務が紫綬褒章を受章されました。
年にお二方へというのは将棋界で初めてのことだと思いますので、これもまたビッグニュースでした。
今年の将棋界十大ニュース、のような企画があるかどうかは知らないのですが、もしあれば順位がどうなるのか大いに気になるところです。

ただ将棋界がブームに沸く中で、個人的にはこれといって何も為していない、残念な一年でもありました。
まあ、人生良い時もあれば悪いときもあります。
振り返るのは年内の対局がすべて終わってからにするとして、いまは次の対局に向けて頑張りたいと思います。

いまさらですが久々に、すこしだけコメント返しさせていただきました。
わざわざコメントまでいただける方は、本当にありがたいことといつも感謝しています。
あまりマメではないですが必ず目は通していますので、これからもよろしくお願い致します。

 

昨日の棋王戦敗者復活戦、黒沢五段が前局に続き殊勲の星。
内容的にも堂々たるものでした。

彼の振り飛車は個性的で面白いので、以前から注目していました。
挑決は変則二番勝負で、1局目は早くもあさってとのこと。
例年よりすこし早い日程のような気がします。

その挑決を争う永瀬七段は、昨日は朝日杯で勝ち抜け。
相変わらずよく受け続けるものですね。
将棋は努力と忍耐と根性が大事です。

今日はB2順位戦の日。
明日はA級が1局と、C2の残り半分に王位戦の枠抜けなどがあります。

では今日はこのあたりで。

2017年の将棋界

昨日は今年最後の書道部、からの忘年会でした。
酒量が増える季節ですが、いまのところ忘年会の予定は他になく、28日に対局もついたので、今年はそれほど多くなることはなさそうです。

すこし早いですがいい機会かなと思い、ニュースが多かったこの一年の将棋界を振り返ってみます。

まずは年明け早々に、昨年来からの問題で会長が辞任、自分も理事を解任され、将棋界は大混乱でした。
ファンの皆様にはご心配をおかけしました。

そんな中で2月に弟子のカロリーナが、正式に女流棋士としてデビューすることになりました。
本来であればこれもかなり大きなニュースですが、藤井新四段の活躍の陰に隠れそうだね、なんて話もしていました。
この時点ではまだ、その後の大フィーバーはまったく予想できませんでしたし、これほど明るい将棋界になっていようとは思いませんでした。

春には現役の名人がソフトに負けるという出来事があり、社会一般からも大きな注目を集めました。
ネガティブなとらえられ方をせず、自然な形でその時を迎えられたことは、将棋界にとっても、社会にとっても、良かったのではないかと思います。

藤井四段の新記録に加藤先生の引退も重なった、6月後半から7月にかけてがフィーバーのピークでした。
あの頃はテレビ欄が将棋で埋まっていたりして、あらゆるメディアが将棋を我先にと取り上げて、なんだか別世界の喧騒を見ているようでした。
囲碁将棋チャンネル、ニコ生に加えてAbemaTVの参入があり、この頃から対局の生放送がすごい勢いで増えていきました。
自分自身が家にいる時間が長くなったこともあり、これほど将棋を家で観て過ごした年は、過去になかったと思います。

夏から秋にかけては、菅井王位と中村王座、2人の新しいタイトルホルダーが続けて誕生しました。
当然ながらこれもビッグニュースです。
2人とも親しく付き合いのある後輩でもあるので、就位式にもお邪魔させていただきました。
それぞれに心のこもった、素敵な挨拶をしていて印象に残りました。

加藤先生の芸能界での大活躍は、これまた別世界の出来事を見ているようです。
40歳上ですから、自分はまだ半分の年齢にも達していません。
とにかくあのバイタリティには驚嘆するばかりです。

そして先日は羽生永世竜王、永世七冠誕生のビッグニュース。
そういえば藤井四段のときもそうでしたが、このときも号外が出ました。
将棋のニュースで号外が出たのは、少なくとも僕が棋士になってからはなかったと思います。
それが同じ年に2度も起きるとは、本当に驚きです。

さすがにもう大きなニュースはないと思うのですが、ついこないだも蛸島先生の引退表明がありましたし、もしかしたらまだ何かあるかもしれません。
思い返してみても、これほどの年は今後そうそうないんじゃないかと思いますが、世間に注目されるという意味ではこれが当たり前、というぐらいになると良いですね。
来年の将棋界もますます明るくなることを願いつつ、年内の残る対局も頑張ります。

将棋世界

新年号発売中です。

今月のメインは角換わり特集でしょうね。
谷川先生のインタビュー記事は内容的にも厚みがありますし、何より歴史を作って来られた重みがあります。
僕も若い頃ずいぶん勉強したことを思い出しました。

角換わりは10代の頃から30すぎまで、ずっと指し続けてきたのですが最近は指していません。
本当はいまでも指したいし、たぶん指せると思うのですが指し手の説明がつかないなと感じることが多いのがその理由です。
今回の特集も、かなりの分量を割いて説明されていますが、ほとんどのアマチュアの方にとってはやっぱり難しいでしょう。

ただ、これからもプロの将棋は難しくなる一方だと思いますし、いままでも(相対的に)そうだったはずなので、そこをうまく解説できるように努力したいですし、いずれまた自分でも指すようになるとは思います。
千田六段や増田四段の説明は、うまく急所をとらえていて解説者視点でも、参考になりました。

 

ただ彼らは、人間の棋譜は並べないそうで、これからそういう発言をする棋士が増えてくるのかと思うと、正直言ってちょっと心配です。
何せ我々は、その自分たちの棋譜を売って(スポンサードしてもらって、観てもらって)生きているわけなので。
自分たちの世界の大切な商品ですから、棋士ひとりひとりが、その価値を高める発言を心掛けるべきと個人的には思います。

いっぽうで、強くなりたいという純粋な気持ちは大切だと思いますし、棋力を高めるためにプロの将棋の必要性が相対的に下がっている、という事実も直視しないといけません。
僕はこのことには単なる強さとか勝ち負け以上に悩んでいて、プロがコンピュータ将棋を最終目標にしてどうするの?という気持ちはこうなったいまでも非常に強くあります。
プロの将棋を勉強することは、少なくともいまの自分レベルでは(つまりアマチュアの方々にとってももちろん)有用な方法と信じています。

 

弟弟子の西田四段の青流戦優勝インタビュー、「将棋を辞める心配をしなくていいのがうれしいです」の一言は、刺さるものがありました。
そういえばかつて自分も、まったく同じ気持ちだったことがありました。
あの頃はなんでもない局面で長考することが楽しかったです。

いつしかプロとしてキャリアを重ねるうちに、良くも悪くもプロとしての自分に慣れが出てきます。
初心忘るるべからず、とあの一文を読んで思いました。