11/17 真田八段戦

今週は金曜日に対局があり、それまではこれと言って予定もないので、書いてなかった最近の対局について振り返っておきます。

先々週の棋聖戦、真田八段との将棋は後手番でゴキゲン中飛車を採用。
先週の丸山戦と、2局続けて丸山ワクチンの将棋になったのには驚きました。
最近では比較的少ないので、対策が十分でなかったと反省しています。

38手目の棋譜コメントに「定跡を間違えた」というコメントが掲載されてしまい、これは事実なのですが改めて考えてみると、間違えたことが本当に悪かったのかどうかはよくわかりません。
どちらを選んでもけっこう難しいワカレのように思いました。

勝負どころは56手目の局面。

ここは▲3二成銀と逃げるぐらいなのかと思っていました。
対して△1四角と打ちたいところですが▲2五歩の手筋が好手になるので、どう指すか難しいところです。
△4七角と打っておくような手を考えていました。

ところが成銀を逃げない▲5三歩!が妙手。シビれました。
この図で単に▲5二金だと△5六飛が味の良い攻防手になるのですが、△4二角とわざと取らせてから▲5二金がうまい攻め方で、以下はきれいに負かされました。
65手目の▲4八飛は、典型的な「決め手」で、こういう手があっさり出てきてはいけません。

図では△2四角の利きが攻防なのですがいざ動くと片方にしか利かない、という仕組みでこれも「両取り逃げるべからず」の一種と言えるかもしれませんね。
自分の指し手でないのは残念ですが、アマチュアの方に参考になる手筋を、モバイル中継で観ていただけたのは良かったです。

・・いや、やっぱりそれは負け惜しみだな。

 

戻って直前の△4二同金では△6二金と逃げて、▲5二歩か▲5三歩か▲5四桂か▲4三とか▲4三成銀か、いろいろあるんですが相手の次の攻めを見て、そこで対応したほうが良かった気がします。

あとこの将棋は時間配分を誤ったのが大きな反省点で、これは先週の将棋にも言えることなので、改善しないといけないと思いました。
一局の将棋を指すといろいろと反省があるもので、しかもなかなか治らないわけですがそれも伸びしろと思って、次につなげていきたいです。

深谷名人戦

昨日は日帰りで、表題の大会にお招きいただいておりました。
朝7時に家を出て、夜は帰りが9時頃でしたのでなかなかハードな一日でしたが、おかげさまで楽しく過ごさせていただきました。
お世話になった皆様、どうもありがとうございました。

地域の将棋大会なので、地元の方が中心だろうと思っていたのですが、遠路はるばる参加されている強豪の方もけっこういてびっくり。
世話役の方々のご厚意で、賞品等とても豪華な大会のようでした。
いわゆる「観る将」が増えている昨今ですが、今回は指した感じ(棋力を問わず)地元の参加者もけっこう大会慣れしている方が多い印象で、これは地域性もあるのかなと思いました。

ちなみに優勝は有名強豪の田尻隆司さんでした。
田尻さんは大学時代に広島におられたので、僕は子どもの頃に二枚落ちで教わったことがあります。
もう30年も前のことなので、以来いまだにアマ棋界の一線で活躍されているのはすごいですね。
そんな縁もあって、優勝の賞状をお渡しするのは、ちょっと感慨深いものもありました。
世代を越える、世代をつなぐのは将棋の素晴らしい点のひとつです。

 

一昨日の土曜日に叡王戦の本戦が開幕。
この将棋は終盤で大きなドラマがあったようですね。
「15時開始の持ち時間3時間」という時間設定は、勝負どころをゴールデンタイムを持ってくるという点がまずひとつ。
あとは夕食休憩を挟むことで、近年のキラーコンテンツである「将棋メシ」にもフォーカスするという意味もあるのかもしれませんね。

以前から、対局時間はできるだけ観てくれるファンのために、柔軟に考えていくべきと思っていたので、歓迎すべき変化だと思います。
ひとつひとつは地味でも、将棋界もすこしづつ変えられるところ、変えるべきところは変えていく姿勢の表れだと思っています。
ただ指すほうにとっては慣れないことではあるので、コンディションの調整はそれだけ大事になりそうですね。

昨日、日曜日は倉敷藤花戦の第2局があり、里見さんの防衛。
相変わらず強いですね。

彼女が三段リーグと並行してタイトル戦を指すことも、残り少なくなってきました。
いま、どんな気持ちで将棋に向かっているのか、それは本人にしか分からない世界です。
だから何、ということは僕には言えないんですが、ただ事実として、ふと書き留めておきたくなりました。

今日はこれから練習将棋を指しに出かけてきます。

11/23 丸山九段戦

今日は朝が早いので、予約投稿です。
こないだの敗戦について。

42手目の感想戦コメントに書いてある図を作ってみました。

この変化は、この図の時点で読みを打ち切ってしまいました。
美濃囲いに王手がかかるのは良くないことが多く、相手の攻めが切れるわけでもないので、形勢が難しいということが分かりませんでした。
実際は△7一玉▲8二角△6二玉と逃げて難しいのですが、その発想がなかったです。

いっぽう本譜の50手目。

この図のほうが自玉が囲いから出ていっていないので、危険ではあっても攻めを受け止める楽しみがあるような気がしました。
あと、先の図に比べるとそもそも飛車取りをどうするか、という問題があります。

この局面で▲1五飛をうっかりした、というのは我ながら妙な感想なんですが、
(1)▲9三歩成△同香▲同香成△同玉▲9五飛△9四香
(2)▲4三飛成△同金▲3二角△5一飛
(3)▲9一角△同玉▲9三歩成△8一玉
と3つも怖い筋があるので、そのどれで来られるかと警戒していたらいちばん単純な手が抜け落ちてしまいました。

戻って昼休直前の▲6五飛で前例を離れたことは覚えていたので、その局面と、次の▲8五桂の局面でもっと時間を投入して読むべきでした。
ただ30分以上考えた末に良い考えが浮かぶことは少ないですし、時間配分は難しい問題です。

下の図のあとは急激に形勢が悪くなってしまい、結果的に持ち時間を大量に残してしまいました。
本局に関しては反省点がハッキリしているので、同じミスを繰り返さないように心がけたいと思います。

そういえばここ数局は、たまたま中継があったのと、内容が良くないこともあって図面を載せての振り返りができていませんでした。
残っている将棋も、いずれどこかの機会できちんと書いておきたいと思います。

残念ながら11月は2戦2敗でした。
新しい年に向けて、12月は巻き返せるように頑張ります。

竜王戦ほか

第4局、羽生棋聖が勝って「永世七冠」に王手。
ファンの反応を見る限り、神業のような終盤を称賛する声ばかりでした。
本当にすごい寄せでした。

本局は羽生先生にとっても久々なぐらいの、会心の一局だったのではないかと思います。
それがこの大一番で出たところに、すごさを感じます。

リーチのかかった第5局は、先手番で何を用意してくるか。
なんとなく、周囲の予想通りとはいかないような気がしてて、いまから楽しみです。
このカードの竜王戦は意外にも後手番のほうが勝率が高いので、どうなるかはまだ分かりませんが、世間の期待はぐっと高まったと言えそうです。

 

また昨日で第30期の昇級決定戦がすべて終了。
昇級者のメンバーを見るとやはり若い。
ひとめ、自分より年下のほうが多そうです。

ただ今期はそんな中でも比較的同世代が活躍した気がします。
何が言いたいかと言うと、自分ももっと頑張らなくては。ということです。

一時は棋戦相性も良く、2組まで上がったこともあるので現状(5組)は大いに不満です。
力をつけて、再び昇級できるようにと思っています。

 

昨日は藤井四段の王位戦も中継がありました。
相変わらず強い。スキのない将棋でした。

見ていて思うに、彼はやっぱり比較的受け将棋で、落ち着いた、大人びた将棋ですね。
いままでいろんな藤井評を見てきましたが、その中で、佐々木勇気六段が別冊宝島で述べていた「古風で渋い受け将棋」という表現が、いまのところ一番しっくりくる気がします。

一昨日放映の銀河戦では初めて先手番で負けたそうですが、もはや勝っても負けても関係なく注目を集めている感があります。
この状態がどこまで続くでしょうか。

 

佐藤天彦名人、「GQ MEN OF THE YEAR 2017」のブーム賞を受賞
(連盟HP)

記事にあるリンクに飛ぶと、佐藤名人の動画が出てくるのですがこれは一見の価値ありです。
というかこれ、すごい賞ですね。完全に将棋界の枠を超えてますし、過去に似た例すらも思いつきません。

ただ、今年はこういうことがいろいろありました。
何度書いたか分かりませんが、将棋界にとっては本当に良い年でしたね。

対局の日の朝のこと

対局の日の朝は、だいたい同じ行動を取ることがほとんどですが、昨日はちょっとだけ変わったことがありました。

まず、小銭入れを忘れて家を出ました。
過去、長財布やスマホを忘れたまま連盟に着いたことはある(対局には必要ないので特に問題ない)のですが、小銭入れには家の鍵が入っているので、忘れたことはありませんでした。
昨日は祝日だったので家に奥さんがいて、家を出るときに自分で鍵をかける必要がなかったために、起きた出来事でした。

駅に行く途中で気がついて、その時点ではまだ時間には余裕があったので取りに帰り、ここで十数分ロスしました。
その結果、千駄ヶ谷駅に着いたのは9時半ぐらいになりました。
(普段だと9時15分ぐらい)

いつも通りならそこからコンビニに寄って対局中の飲み物を買います。
最近はローソンで野菜生活(カゴメ)の豆乳スムージーを買うのが定番です。
ただギリギリに連盟に着くのは好ましくないので、昨日はまっすぐ連盟に向かうことにしました。

僕は以前から、9時50分頃には両者着席して対局準備を始めたほうが良いと思っています。
駒を並べて振り駒して、すこし待って10時に対局開始、となるためにはそのぐらいがちょうど良いからです。
最近は手荷物検査などもあるので、遅くとも9時40分ぐらいには対局場に到着するべきだと思います。
そうでない棋士も多くて、特にルール違反とかではないのですが、そうしたほうが気持ちよく対局できると思うので。

ということでいつもの飲み物が用意できなかったので、午前中の注文のときに、係の人にコンビニで買い物をお願いしました。
基本的に必要なものは自分で用意するので、買い物をお願いすること自体もかなり珍しいです。

そうしたら、いつも買うのとは違う豆乳スムージーがやってきました。
(ちなみにローソンのオリジナルブランドでした)
買うものを決めていると、目に入ることさえないので、「豆乳スムージー」と言ってもけっこういろいろ置いてあることは、よく知りませんでした。
こんなことでもなければ、この先もずっと知らないままだったかもしれません。

ということで、祝日対局でなければ買うはずのなかった飲み物で、対局に臨むことになりました。
「風が吹けば桶屋が儲かる」の例のつもりでここまで書いたつもりなんですが、合ってますかね?

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肝心の対局は残念ながら良いところなく負けてしまいました。
やはりトップ棋士は読みが正確で、力の差を感じました。

自分の出来が特別悪かった、というわけではないと思うので、気を取り直して次また頑張ります。

 

竜王戦は超スローペースですね。
近年のタイトル戦、特に渡辺竜王の対局では異例ではないでしょうか。

ただ封じ手の▲2四歩はいかにも渡辺竜王らしい感じがしました。
羽生棋聖は後手番らしくついていく姿勢のように思えます。

盤外に目を向けると今日はニコ生、Abemaの解説陣がひときわ豪華で、こんなところにも本局がいかに大一番が、見て取れる気がします。
これから午後の戦いをじっくり観戦しようと思います。