帰京

最近は内容的には恥ずかしくない将棋が指せていたと思うのですが、昨日は目を覆うような惨敗でした。
「評価値は本質的ではない」とか「対局は深夜までかかることもあります」とか、何だか盛大なフラグを立ててしまったみたいで、恥ずかしいです。
書いたことに後悔はないんですが、タイミングの悪さは否めませんね。。。

ただこうやれば難しかった、という手すらなかったので、早く終わったのは反省すべきとしても、完敗は仕方なかったかもしれません。
将棋の反省はまた明日書きます。

夕方早々とホテルに帰ってきて、当然もう1泊取ってあるのをキャンセルして東京に帰ろうかなと思っていたら、急な連絡があり。
今日これから「ワイドスクランブル」(テレ朝)に出演することになりました。
11時過ぎからで、藤井四段の「経済効果」について特集するそうです。

何だかテレビに出るために早く帰ってきたみたいで恥ずかしいんですが、もちろんそういうわけではありません。
これも何かの縁と思うのと、棋士が良い形でメディアに出るのは望ましいことなので、お引き受けしました。
ということで良かったら、ご覧ください。

その後、お昼過ぎからはカロリーナ関連の取材を受けます。
(もともとはそこに帰京の足で行く予定でした・・汗)
こちらは「銀河将棋チャンネル」内での特集になります。
配信時期が決まったらまた改めて触れたいと思います。

 

昨日は棋聖戦第4局があり、羽生棋聖が勝って10連覇。
相変わらずの強さです。
最近はすこし対局が少なかった気がしますが、またひとつ淡々と実績を伸ばして、本当にすごいの一言です。

関西の若手が次々と挑戦していて、彼らも本当に強いのになかなかタイトルに手が届かないのは、つまりそれだけそびえたつ壁が高く厚いということなんでしょう。
次の王位戦、菅井七段の戦いぶりは注目です。

藤井四段の対局のほうは、終盤の△4一玉~△5一玉での「見切り」が解説の棋士たちを驚かせたとか。
その前に△7二飛とした手が危険な一着だったようですが、それも結果論かもしれませんし、結果から見ればやはりすごい終盤だったと言うべきなのでしょうね。

実は東京に帰る前にいったん連盟に戻って、すこしだけ遠目に感想戦を眺めてきました。
ナマで様子を観るのは初めてだったのですが、相変わらずかなりの数の報道陣の中、普通に終盤の難しい変化を検討している姿に改めて驚きました。
連勝が止まればいろいろ一段落かと思っていましたが、どうもとうぶんはブームが続きそうな感じです。

危機感

今日は順位戦の対局ですが、予約投稿します。

昨日に続いてまたテレビの話。
先日のNHKスペシャルを観て、以前から持っていた危機感を思い出しました。
AI(人工知能、コンピュータソフト)のことです。

僕はこんなことを書いているぐらいなので、AIが強くなるとか、AIに人間が負けるとか、そういうことにはあんまり危機感はありません。
ただ、AIによる「評価値」とかそのグラフとかが、あたかも「正しいもの」であるかのように取り上げられることには、強い違和感と、危機感があります。
それは、「一見正しそうで、かつ実際に近似的だけど、本質的には正しくないもの」だと僕は考えているからです。
そうきちんと理解した上での見方ならば、一面では有意義とも思うのですが、そうと知らずに、ただ真に受けてしまうのはどうかな、と思うのです。

「(現在の)ソフトと近い手が指せる」ことと、「良い手が指せる」ことは、(現在の)人間にはあたかも似て見えるかもしれませんが、本質的な意味で、決してそうではない。ということを、この機会に、知っておいてほしいと思いました。
(※ついでに言うと、「良い手が指せる」ことと「将棋が強い」ことも、似て非なることだと思いますが、それはまた別の話)

なぜ評価値が「本質的には正しくない」のか。
すごくざっくりひとことで言うと、将棋のあらゆる局面の評価値は、+1、-1、0の3通りしか存在し得ないからです。
(数字は9999でも1億でも何でもよい。要するに勝ちか、負けか、引き分け)
+300か、500か、1000かというのはあまりに本質からかけ離れていて、そもそも本来は数字の大小で表されるべきものではないのです。

しかしそうは言っても、とかそれはおかしいのでは、という疑問・反論・深堀りetc.もいろいろ予想できるので、このテーマについてもっと詳しく書きたいと前々から思っているのですが、どうにもうまく思考を形にできないでいます。

ただ、たまたまつい最近番組を観て、しかも今日の相手がちょうど千田君だったので、少しだけでもと思って、家を出てくる前に書いてきました。
ちなみに千田君はいろんなことを理解した上で、うまくソフトを使いこなしていると思います。
先駆者として、本当にたいしたものだと感心しています。

あと補足ですが、番組自体はとても良い内容でした。
番組への批判と誤解されてはいけないので、一言添えておきます。

 

何はともあれ、今日も一生懸命頑張ります。

棋士に関するQ&A

最近はよくテレビの話をブログに書いている気がします。
先日の「1周回って知らない話」(日テレ)の将棋特集は、増田四段vs藤井四段戦が、「新記録のかかった一番」になると決まる前から、取材していたのですね。
てっきりそうと決まってから、特集が組まれたのかと思っていました。
世間一般から見た将棋界のイメージなどが垣間見えて面白かったです。

その中で取り上げられたいくつかの「疑問」は、けっこう定番のものが多く、今後も取り上げられそうだなと思ったので、この機会にまとめておこうと思い立ちました。
上段が一般的な、あるいは実際に番組でも出た答え、それに加えて後段に自分なりの答えを入れてみました。
番組を観る方、作る方、その他、それぞれに何かのご参考になればと思います。

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Q.プロ棋士は何人ぐらいいるの?
A.四段以上の現役棋士は、現在約160人です。ちなみに「女流棋士」は制度が異なり、こちらは約60人います。

補足:ときどき「元プロ棋士」という表現を見かけますがこれは厳密には誤りで、「引退(退役)棋士」もあくまでも「プロ棋士」です。ただ上記のように現役の人数を答えることが多いので、そう書かれてしまうのもやむを得ないかもしれません。

Q.どうやったらプロ棋士になれる?
A.まず「奨励会」というプロ棋士の養成機関に入り、そこを卒業したら晴れて四段、プロ棋士となります。
半年に1度行われる「三段リーグ」の上位2人だけが卒業できるという仕組みになっています。
つまりプロ棋士は年間に4人しかなれません。

補足:と聞くと皆さん驚かれます。
制度はちょっと複雑な面もあります(上記にいくつかの例外があります)が、一言でいうと将棋が強い子どもたちが全国から集まってきて、その中で淘汰されていくという実力本位の仕組みです。

Q.棋士の収入源は?
A.(1)対局料(2)賞金(3)その他の収入

補足:と番組では紹介されていましたが賞金がもらえるのは基本的には各棋戦(大会)の優勝と準優勝だけなので、大半の棋士にとっては対局料とその他に分かれます。
引退棋士は公式戦を指さないので対局料収入はありませんが、棋士としては活動するので執筆や指導等で収入のある人もいます。
また「対局料」なので勝っても負けてもその1局でいただける金額は同じであることがほとんどですが、大半はトーナメント戦なので負けると次の対局がなくなる、ということで成績と対局料収入は直結しています。

Q.対局がない日は何をしている?
A.(1)一人で勉強or仲間で研究会(集まって練習対局)(2)指導、執筆、解説等の仕事(3)その他

補足:正直言って他の棋士が普段何をしているかは永遠の謎です。
番組では「意外と忙しいのだ」というコメントが入っていました。
主観的にはたしかに暇を持て余したことはないですが、忙しいと言われると、申し訳ない気持ちになることもあります。
AbemaTVでは「〇〇〇段の一日」を紹介するのが恒例になっているようで、人によって全然違うので面白いと思います。
自分の場合だと、最近は家にいることがとても多く、あと旅行に出かける機会も一般の方々と比べると多い気がします。

Q.対局はどれぐらいある?
A.平均で月に3局程度です。藤井四段のように勝ち続けるととても多くなります。

補足.つまり月に27日ぐらい自由な時間があるということで、自己管理の大切な仕事と言えます。

Q.対局はどのぐらいの時間がかかる?
A.早指しだと1局1時間ぐらいで終わる場合もありますが、多くの対局は朝から始まって早くて夕方、遅いと深夜までかかります。

補足:これはよくびっくりされる点の一つです。自分の場合、いままででもっとも遅い終局は千日手指し直しで3時半でした。(対局開始から17時間半後)

Q.対局中はずっと正座していないといけないんですか?
A.そういう決まりはありません。

補足:実際に深夜まで正座を通す方もいます(!)が、さすがに少数派です。
ただテレビ対局とかでは、大半の棋士が正座で通しているように思います。
つまり1時間程度は誰でもできるということで、座ることに慣れている人たちなのは間違いないでしょうね。

(追加)
Q.対局のときは着物を着るのですか?
A.服装に決まりはなく、男性の場合ほとんどの人はスーツです。
タイトル戦に出場するときは、和服を着るのが伝統です。
それ以外にも自分にとって特別な対局だったり、「本気」の象徴に和服を着る人もいます。
自分の場合、NHK杯や銀河戦の本戦に出場したときに、和服を着たことが何回かあります。

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他にもありそうなので、また折を見てアップデートします。
また、何かご質問があれば、可能な範囲ではお答えしようと思います。

今日は午後から大阪遠征です。

ここ数日、毎日暑いですね。
東京はちょっと出歩くのが大変になってきました。
用事のない日は外出は軽い買い物ぐらいにとどめて、ほぼ家で過ごしています。
夏バテしないように気をつけないといけません。

また九州の豪雨で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
地元の広島も報道されていたので心配しており、母に連絡してみたところ実家は無事だったようです。
最近大きな地震が続いたこともありましたし、自然は本当に怖いですね。
世の中が平和で、落ち着いて生活できてこその将棋なので、と思うようになってから、災害のニュースには特に敏感になった気がします。

 

昨日の竜王戦は、混戦の末佐々木五段の勝ち。
早い仕掛けのあとは茫洋とした展開が続いて、特に終盤が難解な将棋でした。
最近いわゆる「評価値」が取りざたされることが多いわけですが、こういう展開で時間も少なくなってくると、評価値はあんまり意味がないのではとよく思います。
でもその一方で、そういうときこそ形勢判断が大事なのだろうか?とも思ったり。

「評価(値)=形勢判断」と、「探索=読み」が、将棋の指し手を決定する上での二大要素、かつ不可分なのは人間もCOMもある程度同じだと思うのですが、「どう不可分か」という点がずいぶん違うという印象を持っています。
このあたりのことをもっとうまく説明したいのですが、残念ながら文章力が不足しており・・・

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最近アイデアとして世の中に出したい、知ってほしいと思っていることがいくつもあり、
(具体的には↑のようなCOM関連、それから教育関連、それと単純に技術的なこととかも)
実はときどき文章を書いてみたりもしているのですが、なかなか思うように形になりません。
これは自分の思っている理想と、自分の能力が乖離しすぎていることが原因で、平たく言うと文章がヘタだということです。
考えたことを書きだしてみると、全然書き出せてないんですよね。我ながら実に不思議です。

何かうまい方法はないものか・・と思うとだいたい新たな本を読んでみるという展開が多く、ちょっとした一人千日手模様です。
自己分析としては、アウトプットとインプットのバランスが悪いです。

これまでの35年あまり、自分ができそうなことは努力して、できそうにないことは避けてきました。
やりたいことより、いまやるべきと思うこと、やるべきと思うことより、やればすぐできそうなこと。
そうやって物事を選んできた気がします。
でも、せっかくやりたいと思ったことなら、実現したいという願望も、常に持ち続けていた気がします。
なんとかしたいと思うんですけどね。なかなか思うようにはいきません。

 

そんなわけで、まとまりのないまま今日はこのあたりで。

とりあえず詰将棋解こう。

最近の将棋とか

自分の対局は残念な結果でしたが、今週は特に熱戦が多く、観戦していて楽しい1週間でした。
中でも大きなところで、王位戦第1局は振り飛車の名局だったと思います。

あまり例のない出だしから長い長い駒組みが続き、基本的には居飛車が(一歩得でもあり)模様の良い将棋だったと思うのですが、駒がぶつかってから、ごちゃごちゃと戦っているうちになんとかしてしまいました。
まさに「ねじり合い」という言葉がふさわしい内容で、もちろん現代将棋のエキスもふんだんに入っている中で、大山先生的というか、昭和の香りのする力強い指し回しでした。
羽生先生を相手に、タイトル戦の初陣でこの戦いぶりは驚嘆の一言です。

順位戦はA級が2局とB2、C2が行われました。
名人戦棋譜速報
佐藤会長は特別としても、他にも力戦、乱戦が多く、これが最近の傾向かなという印象です。

目を引いた手筋をひとつご紹介。
C2の三枚堂四段ー小林九段戦より。

ここで▲9八香があまり見ない一着。
振り飛車の将棋で玉から遠いところではたまに見かけるぐらいの珍しい意味づけで、単に▲6六角だと△同角▲同歩△8八角が両取り、しかし▲9八香△9九角成▲6六角△同馬(△9八馬は▲3四歩)▲同歩なら大丈夫という仕組みと思われます。
いままでにない力戦だからこそ、こうやっていままでにない手筋が発掘されるのかもしれません。
特に桂香の手筋は、まだまだ知られていない(体系化されていない)手がたくさんありそうな気がしています。

こちらの図は、最近放映された将棋で、同じく香の手筋。
(※銀河戦は、テレビ棋戦なので放映で観ていただきたいところですが、放映終了後は囲碁将棋chのサイトでも棋譜が公開されています。)

この△1七香はよく見かける手筋で、▲同香は△2九金で詰み、▲同玉は△1九竜で寄り。
しかしここで▲1八香!が粘りある一着でした。
1七の逃げ道をふさがず、合駒もせず、1九を受けるにはこの手しかない、ということで論理的な手筋です。
創作次の一手では見たことあったような気がしますが、実際に現れるのは珍しいです。

香は、じゃなかった今日は土曜日ですが竜王戦の決勝トーナメントが指されています。
藤井四段の連勝を止めた佐々木五段がどこまで勝つか、というのが新たな注目ポイントでしょうね。
また藤井四段も連勝は止まったものの先日の順位戦にもたくさんの報道陣が集まっていたようで、引き続き注目は続きそうです。