順位戦閉幕など

一昨日のB1最終日をもって、今期順位戦が全クラス終了しました。
当日は解説で忙しかったので、他の対局は軽く進行を確認する程度で、昨日の午後、改めて全局目を通しました。

渡辺二冠の12戦全勝は圧巻でした。最終局も完勝で、ここを含め全体的にB1にしては早い進行が多かった印象です。
齋藤王座ー畠山七段の師弟戦は来期も行われることにが決まり、再び注目を集めそうですね。

全クラス通じて、最終日に昇級(名人挑戦)自力の棋士が全員白星を挙げました。放映でも軽く触れたのですが、これはかなり珍しいことと思います。
プレッシャーのかかる場面でどういう気持ちで臨むか、というのは棋士にとって大きなテーマでもあり、一般社会から見ても将棋界に学ぶところありそうです。

最近yahooで活躍中の遠山Pが、今期の順位戦を総括しています。
【将棋】順位戦終幕。躍進の20代、苦戦の30代、実力をみせた40代

いつも面白いですが今回のは特によくまとまっていますね。
分析がうまくいっているのが本人の好調の秘訣でもあるのでしょうか。
以前はそういうキャラじゃなかった気がするんですが(笑)

この記事にもある通りで30代の自分は苦戦が続いていますが、努力を続けていればこの先40代、50代になっても結果を残すことはできそう。という意味で励みにもなります。
ソフトの登場をはじめとする環境の変化によって、年齢による能力の低下はむしろカバーしやすくなっているということも感じますし。

ここから新しい表ができるまでの1ヶ月ほどは、棋士にとってはちょっとしたシーズンオフになります。
今年は特に他の対局がまったくないので(2年前もそうでした。昨年は違った)、自分の将棋をゆっくりと見つめ直す時期にしたいと思っています。

視聴御礼

昨日は長時間、また遅くまでご覧いただき、どうもありがとうございました。
話す仕事は久々だったのですが、おかげさまで楽しくできました。

途中で叡王戦の発表会があり、ちょうど手が進まない時間帯だったので助かりました。しかし、あれで良かったのだろうか(笑)

午後はずっと形勢判断も指し手も難しい時間帯が長く続きました。
本局のワカレは今後の研究課題になりそうです。

終局が0時直前、そこからエンディングで放映としては日をまたいで、まだ近くまで来る電車はある時間だったのですぐに連盟を出ました。
そうしたら木村九段の支援者の方々が。個人的には、たぶん初めて見る光景でした。
木村さん、A級昇級おめでとうございます。

1時すぎに帰宅、4時頃まで一通りの報道を見てから寝たら、今朝は起きたらお昼前でした。
まるで自分が順位戦を指した翌日のような感覚です。

昨日は他にもお知らせやニュースの多い一日でした。
そういった話題はまた明日以降に。

B2最終日、ニコ生

昨日は練習将棋のあと、夜は自宅で順位戦観戦。
2枠目は自力の千田六段が自力で獲得。七段昇段と合わせ、おめでとう。
GWの祝賀会はこのままいくと昇段が2人だけという状態でしたが、これで例年並みになった感じでしょうか(?)。

昇級争いをしていた2人は相次いで敗れ、途中は弟弟子2人のどちらかが昇級という状況になり、結果的に千田君は負けていても昇級という形でした。
前期昇級者が2人がそろって星2つ以上の差で上がったことは、C1の上位が理不尽にレベルが高いことを示している気がします。

全体としては遅い時間の終局が多く、それでいて逆転は少なく、球が重いこのクラスの特質がよく出た一日だった気がします。
22時台は終局ラッシュでどれを見て良いか目移りする中、中村修先生の玉さばきが特に目を引きました。

明けて今日はB1最終日、今期はA級プレーオフもないのでこれが全クラスを通じてのフィナーレです。
昇級の懸かった木村ー行方戦をニコ生で解説させていただくことになりました。
【将棋】第77期順位戦 B級1組 木村一基九段 vs 行方尚史八段
(解説は昼休明けからとのことです)

状況を整理しておくと、木村さんが自力で勝てば即昇級決定。
行方さんが勝った場合は木村さんを順位で上回り、斎藤王座が敗れた場合に行方さんが昇級。行方勝ち・斎藤勝ちの場合は斎藤王座の昇級となります。

なお、今日の午後は叡王戦の発表会もあります。
【将棋】第4期叡王戦 七番勝負 発表会 [日程・対局会場・振り駒・スポンサー 他]
ぜひ合わせてご覧ください。
対局場はどこになりますかね。

順位戦の解説は初めてなので時間の流れがよくわかりませんが、たぶんとてもゆったりと時間が流れて、最後はたぶん日付をまたぐことになるでしょう。
ペース配分に気をつけながら、楽しく話してきたいと思います。

思い出の一手

昨日の中継、西川六段の△9四飛はカッコイイ一手でした。
ああいう手で居飛穴を倒せたら、振り飛車は楽しいですね。
そもそも振り飛車の将棋で玉側の端に飛車が飛び込んでくるというケースはめったにないと思うので、相当に珍しい新手筋ではないかと思います。

あれを見て思い出した、忘れられない場面があるのでご紹介します。

▲7六歩△8四歩▲5六歩という出だしから、力戦の相矢倉に進んだ中盤戦。
この指し方は最近あまり見なくなりましたが、有力な作戦です。

ここで△9四歩▲同歩△同飛!と突っ込んだのでびっくり。部分的にこう仕掛けた例はたぶん他にないんじゃないかと思います。

凡人は普通に飛車を取って下ろすか、あるいは△2八角とかでしょうか。
特に切羽詰まった局面でもないだけに、いきなり飛車から突っ込むなんて考えもしない人も多いでしょう。
ただ、矢倉の端は急所中の急所なので、指されてみるとたしかに厳しい攻めです。
コンピュータソフトも、この手自体はなかなか発見できない(?)ものの、指し手を進めると有力と判断するようです。

ちなみに、後手の棋士は佐藤康光現会長でした。
先手の棋士は「駒取り坊主」の異名で知られる長沼洋七段。突然の駒得に大喜びした・・かどうかは、覚えていません。

これに限らず、三段時代は数多く記録を取ったので、この時期は思い出に残る一手がたくさんあります。
また機会があればご紹介したいと思います。

最高記録とか

この週末と週明けは(土日につけたほうが学校に行けて良い気もするんですが)いずれも藤井七段の対局があり、金曜の竜王戦は勝ち、昨日月曜日の棋聖戦は負け。
注目されていた年度勝率の最高記録更新は難しくなりました。

藤井七段の打ち立てる様々な記録によって、過去の偉大な先人たちの記録もクローズアップされている昨今ですが、中でも中原十六世名人はやはりすごいですね。
並んだり、近いところまでは行くけれど越えない、という記録がいくつかあり、改めてその大変さが分かります。

自分の考えでは、ある程度近い棋力でやっていて起きうる最高の勝率は8割ぐらいに収まるはずで、これが9割に近づいてくるというのは、クラスが違うというか、本来の実力にふさわしくないステージで指しているのだと思います。
昨日の久保九段もそうだったように、トップ棋士相手だとさすがに負けることも多いですし、ここまでの勝率は続かないでしょう。
その意味では今期順位戦の頭ハネは痛いものの、勝率などの記録面では来期にチャンスが残ったという可能性もあるのかもしれません。

あと、直近の2局はいずれも終盤で微妙に形勢が揺れていたように見えました。
藤井君はとんでもなく強いですが、当然ながら完璧でもないはずで、もし今後(たとえば来期の順位戦とか)対戦することがあればそれだけは忘れないで臨まなきゃなと思います。

金曜日のマイナビ挑決は里見さんの快勝。
里見さんも手のつけられない勝ちっぷり、と思って過去の記録を見てみると、女流だと9割近い数字が残っているのですね。(26-3)
29連勝があるのに26-3に驚くのもおかしいのかな、と思いつつも驚きました。

自分は珍しく今日明日と2日続けて練習将棋の予定。
しばらく対局がないのでオフモードですが、将棋へのモチベーションは落とさないように気をつけて日々を過ごします。