1/25 大平六段戦

明日対局なので、その前にこないだの将棋の振り返りを。

戦型は先手中飛車vs5筋を受けての居飛穴で、一直線穴熊の流行後は減ってきた印象のある形。
若い頃によく勉強した形で、ずっと指す機会がないままだったので今頃になって出会うとは、不思議な感じがしました。

4枚穴熊にがっちり組まれたあと、さわやかに仕掛けられて図の局面。

いま8六の角で9七の桂を食いちぎって、▲同香に△8七飛成と来た局面なんですがなぜかこの平凡な飛車成りをうっかり。
読み筋では先に△2四桂で、対して▲2五金と逃げるのではなく▲8三歩と飛車成りのほうを受けて難しい、と思っていました。
この局面は簡単に受かるつもりが、例えば▲2五歩のような手だと△5七桂の両取りが単純ながら厳しく、振り飛車勝てません。

そもそも考えてみると、この局面自体がいかにも穴熊ペースなんですよね。
駒損ながら飛車を成り込んで、攻め駒の補充が利く形で、右桂も使えそうで、振り飛車陣はキズが多い。
(6九飛・6六角・3六金・5六銀と急所の駒がそれぞれ負担になりそうな形)
この局面に進めたことに問題があったように思います。

ただここで気を取り直して、▲4五歩と突いてみたら案外難しかったのは幸運でした。
△5七桂なら▲4四歩から角筋を生かして端攻めに出て、なかなかの迫力でこれは(後手が)選べない変化。
実戦は△2四桂▲4六金△4五歩と進行、そこで▲4七金と辛抱して、自信はないもののまだまだ大変な局面とは言えそうです。

改めて振り返ってみて、やっぱりこのあたりは苦しかったとは思うのですが、相手も悲観していたぐらいなのでそこまでの差はなかったと見るべきなのでしょう。
このあとも粘り強く指して、最後は穴熊玉を寄せ切って勝つことができました。

 

最近は形勢判断や読みの部分に関しては、それなりに納得がいく将棋が指せるようになってきたのですが、いかんせんこういう単純な見落としが多く、そこが大きな課題です。
そして、なかなかこの課題は解決しません。

難しい問題ですが、慎重に読むこと、繰り返し読み直すことで、なんとか改善していけるようにと思っています。

明日も良い将棋が指せるよう、一生懸命頑張ります。

最近の中継

しばらく中継の話を書いていなかったので、先週行われた対局の結果など。

朝日杯は火曜と金曜にそれぞれ久保王将と広瀬八段が勝ち上がって、これでベスト4が出そろい。

久保ー三枚堂戦は玉頭での攻防が印象的な大熱戦でした。
片銀冠vs左美濃だと、3枚くっついているほうが普通は堅いわけですがああいう展開になると居飛車も大変です。
玉と反対側の駒は取らせて急所に手が行く、振り飛車の極意を見た気がしました。

広瀬八段は王位と棋王を連破。
1日でタイトルホルダーを2人破るというのはめったにないことで、すごいですね。
準決勝・決勝もそうなる可能性がありますが、果たして。
渡辺ー広瀬戦は最近の相居飛車の中でも最新形のひとつなので、今後も公式戦で現れると思います。
定跡通は要チェックの一局です。

 

木曜日は自分も対局で、帰宅中に観てみると、斎藤ー木下戦と南ー安用寺戦(いずれも竜王戦)が目を引きました。
前者は菅井流の出だしから木下七段がうまく駒をさばいて快勝。
連勝中で勢いのある若手棋士が、ベテラン棋士に力を見せられるというのは、将棋界では繰り返し見てきた光景のひとつ。
プロ全体のレベルの高さを証明する一面です。

後者は後手番の三間飛車に対して先手が5筋位取り。
この戦型が中継されるのは、かなり久々のこと、もしかしたら初めてということはないでしょうか。
位取りはすっかり見なくなった戦型でも、やっぱり有力なんですよね。

最近振り飛車の好局が多く、観ていて楽しいです。
今週他だと24日の深浦ー鈴木戦と、藤井ー黒沢戦は面白かった。
振り飛車御三家、という言葉を最近は聞かなくなりましたが、あの頃と同じでいまも僕は参考にしていますし、強くなりたいアマチュアの方にはぜひ、中継局を通じて自分のお手本を持ってほしいと思います。

 

王座戦は一次予選決勝と二次予選が並行して行われているところ。
火曜日の屋敷ー飯島戦は、自分の相手が決まる一戦なので注目していましたが序盤から終盤まで、とにかく難解な将棋でした。
久々にA級棋士と対戦できることになったので、いまから楽しみにしています。

藤井四段はここでも安定した指し回しで勝ち抜け。
夜戦に入っても全然集中力が切れない感じなのがすごいですね。
よく聞かれる質問「(藤井四段が)最短でタイトルを取るとしたら?」の答えは、現状だとこの王座戦になります。
道のりは遠いですけどね。

 

今日の王将戦第2局は四間飛車vs居飛穴。
金銀4枚にがっちり囲われてはいたけれど早くも穴熊玉に王手がかかり、こうなると振り飛車を持ちたいように思います。

女流名人戦第2局は駆け引きの末によくある石田流vs銀冠の対抗形に・・と思っていたら▲7六銀と意外な手が出ました。
やや珍しい指し方なので、準備があったのかどうか興味深いところです。

どちらもお昼すぎには勝負所を迎えると思うので、注目しましょう。

 

今週は本当に寒かったですね。
東京は48年ぶりの低温記録、とのことでつまり僕が生きてきて今年が一番寒いと。いやはや。
テレビでさいたま市-9.8度、とやってるのを見たときにはさすがに目を疑いました。
雪の被害は(東京は)たいしたことがなかったようで幸いでした。

モバイル中継の棋譜コメントにもよく天気の記述は出てくるので、「お気をつけください」とか書いてあるのを家で見て、改めて実感したりも。
たしかに凍った道は危ないです。滑らないように気をつけましょう。
昨日の大阪の将棋会館は珍しいぐらい棋士が少なかったようで、それもきっと寒さの影響でしょうね。

来月は富山と栃木に続けて出張予定が入っているので、その時期に寒波が来ませんように・・といまから祈っています。

 

ここ数日も大きな対局が多くありましたが、将棋そのものの話はまた明日にしてお知らせをいくつか。

まずはこちら、ずっと願っていたことが、ついに実現したようで。
中継アプリに新機能搭載

自動継続が可能になるのと、過去の棋譜がすべて残るようになることの2点です。
iOSはあさってから、Androidも春頃には実現するとのこと。
これからもユーザーがもっともっと増えるように、頑張ってほしいと思います。

将棋の森信雄七段に宝塚市特別賞
師匠おめでとうございます。

宝塚は歌劇団が有名ですが、野球やサッカー、囲碁など各界のスターを輩出されてるんですね。
井山さんの師匠がいらっしゃるのは、存じ上げませんでした。

名人戦の開催地が決定したとのこと。
朝日新聞
毎日新聞

小松市はおそらく初開催でしょうか。
数か月前にお邪魔したのですが、あの頃地元の方々はきっと待ち遠しい気持ちでいらっしゃったんですね。

あとはお寺が2つ入っているのが目を引きます。
特に興福寺は将棋の駒が出土したことでも有名で、名人戦にはふさわしい舞台と言えるのではないでしょうか。

 

今日から王将戦第2局、舞台は佐賀県。
たしかここも、タイトル戦は初めての開催だったように思います。
最近新しい開催地(宿)が多いことも、きっと将棋人気の表れなのでしょうね。

2日目の明日は女流名人戦の第2局もあり、男女のタイトル戦で豪華な週末です。

では今日はこのあたりで。

勝ち

昨日の対局は、終始苦しかったものの最終盤でワンチャンスをモノにすることができて、辛勝でした。

序盤はきれいな四枚穴熊に組まれてしまい、中盤では駒損の猛攻を軽視し、終盤ではちょっと緩めた感じの攻め筋を見落とし・・といわゆる「序盤、中盤、終盤、スキだらけ」な内容だった気がするのですが、最後まであきらめずに指せたのは良かったです。
ただ感想戦で聞くと、相手もけっこう悲観していた様子で、意外でした。
局面の見方は案外合わないものだし、形勢がすこし良さそうなのも、それはそれで苦しいものなんですよね。

盤上での反省点は多い内容でしたが、気にしていた時間配分はまあまあだったので、その点は良かったです。
14時台に秒読みが始まったり、自分が秒読み(残り10分)で相手が残り2時間半、という状況はたぶん棋士になって初めてで、今後もそれほどないと思うので良い経験になりました。
不思議と時間切迫による焦りはなく、気持ちの面では落ち着いて指すことができました。

 

昨日は隣が宮田敦史ー伊藤真吾戦で、自分と同学年の棋士が、同じ部屋にそろう珍しい日でした。
他に関西所属の村田智弘君(同学年はこれで全員)も大阪で対局中で、ちょっとした偶然と言えるでしょう。

三段リーグが長く重なっている面々と同じ部屋で対局すると、ふと昔のことを思い出したりもします。
長らく振り飛車党だったいとしんが初手に▲2六歩と突いていて、その隣で僕が先手中飛車をやっているのは、なんだか不思議な感じがしました。

次の対局も頑張ります。

本日対局

いつも通り、予約投稿です。

今日は王将戦で大平六段と。
相手は早指しなので、3時間の持ち時間がかなり短く感じてしまうかもしれません。
ペースを崩さないように気をつけて、良い将棋が指せるよう頑張ります。

叡王戦、金井六段がタイトル戦初登場ですか。
正直言って今回の快進撃には驚かされました。
四段昇段のときや順位戦昇級のときを思い出してみても、波に乗せたら誰にも止められない勢いと、天性の勝負強さを感じます。

金井君は僕がまだ学生の頃(彼が、ではない)、一人暮らしの狭いアパートに将棋を指しに来てくれていたこともあるぐらいで、東京所属の後輩の中では、一番付き合いの長い棋士の一人です。
良い個性を多く持っているので、ニコ生というメディアを通じて彼に注目が集まるのは楽しみです。

当然のことながら、タイトル戦に出られる棋士はごく一部、一握り、わずかです。
自分もその一人になりたい。
そういう気持ちを常に持って、対局に臨みたいと思います。