女流タイトル戦と、お知らせなど

先週は久々の藤井フィーバーといった様相でしたが、女流のほうでもマイナビ第5局と女流王位第1局、2つのタイトル戦が行われ、前者は西山さんが防衛、後者は里見さんが先勝。
挑戦者の加藤さんは、特に前者はフルセットの末の挑戦失敗で、残念な結果でした。

この2局はいずれも先手中飛車vs一直線穴熊で、振り飛車側が相穴熊を選ばず美濃囲いを選択したところが共通でした。
女流2トップが棋風の異なる振り飛車党なので、同じ戦型でも展開が異なり、特に振り飛車党にとっては参考になる内容だったかと思います。

女流王位戦のほうは、序盤の△7四歩(38手目)がポイントとなる一手で、そこから思いがけない感じで戦いが始まりました。
最近読んだ長谷部君の新刊では、代えて△6四歩が紹介されていました。
(厳密には▲5九飛→5八ですが)
あのあたりから早くも勝負所、とすると女流の将棋も本当に厳しくなったという印象です。
なお↑の本は地元・栃木への思いが切々と綴られていて、特に近隣のファンの方には必読です。深夜に読んだほうが良いそうです。

この土日は公式戦はなく、モバイル中継は今期清麗戦の振り返りが複数局配信されています。
本戦進出者の勝局まとめになっているようで、昨日は伊藤さん祭りで今日は岩根さん特集。
一部で解説を担当していますので、良かったらご覧ください。

それとHPのまいにち詰将棋のコーナーに自作が出題されています。
こちらもよろしければ解いてみてください。

新記録

すごい。

他に言葉が思い浮かびません。すごい。

昨日の将棋も、お互いにミスらしいミスは見当たらない、名局でした。
終盤は令和を象徴するように局面がねじれにねじれて、カオス。時間もない。
そんな中でも、藤井七段の指し手は正確でした。

五番勝負がとても楽しみです。

避密

密を回避する、略してひみつ。
いま唐突に思いついたんですが、この言葉、どうでしょうか。
と思ってググってみたら、普通に前例ありでした。まあ、誰でも思いつきますか。

昨日の棋聖戦準決勝、最終盤、藤井七段がはっきり勝ちになったところで、壁駒の7一香に触らずに▲8二飛成、からの壁駒の5二歩に触らずに▲4一角、には見ていて感動しました。頭が柔らかい。
対局のブランクがあっても棋力は落ちることはないようです。

局後の記者会見はリモートで行われたようで、どんな感じで準備したのか、どのくらい大変なのか分かりませんが、とてもありがたい配慮と思いました。
今後も日程の密は避けられませんが、物理的な密を避けていただけたらと願います。
昨日はお昼のNHKでも「久々の対局」というニュースが流れたほどで、注目度の高さを改めて実感しましたし、スターはすごいものだなと思いました。
明日の挑決は、どうなるでしょうか。

もう一局は永瀬二冠が勝ち上がり。
夕方頃は山崎ペースに見えていたのですが、兄弟子残念でした。
永瀬ー藤井戦は世間が実現を待ち望んでいたカードという感じがします。

この2人、練習ではかなりの盤数をこなしていながら「将棋以外の話をしたことはない」というのも、迫力のある話です。
そういえば僕も若手の頃永瀬四段・永瀬五段にはだいぶ教わりましたが、将棋以外のことはあまり聞いたことがなかった気がします。
キャリアを積み、5年、10年と時が経っても同じ生活を続けているのはすごいの一言です。

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昨夜は↑の終局を見届けてから、妻と久々に近所のお気に入りの店に飲みに行きました。
これからかなり大変なことになりそうだから、なるべく2人で外食しよう。と言い出したのはたしか2月の終わり頃でした。
その後3月はけっこう出かけましたが、緊急事態宣言以降は、夜は完全に家で食べるようになりました。
お昼はチャンスがあれば近所の店で食べたり買ってくるようにしていたのですが、ようやく飲みに出かけられるようになって、大げさに言えば感無量です。

東京アラートが出て、再び状況は良くないですが、これからもリスクをなるべく低く押さえながら、経済を回していく工夫をみんなで続けたいものです。
妻以外の人と飲みに行けるのはいつになるか、耐性の強い自分でも待ち遠しいですが、当面は警戒を続ける必要がありそうです。

リモート会議

昨日は定例の報告会がオンラインで行われるという初めての試みがあったので、僕も出席しました。
リモート会議、これはたしかに便利ですね。
グーグルがシェア獲得に躍起なのも分かる気がしました。

音や回線の問題は当然ありますし、よく言われるように「周りの反応が分からない」のはたしかにデメリットかなとは思いますが、なんといっても自宅でできるのはありがたいです。
みんなが同時に発言しないよう気をつけるのは当然なので、ヤジとかはほぼ絶対ありえない、など隠れたメリットもありそうです。
資料のシェアとかが容易なのもありがたいです。印刷の無駄もないですし。

これは多少の想像を含みつつも、間違いなく社会の潮流になると思うのですが、今後必要なプレゼン力は場の空気を読む力ではなく、理や利で相手を説得する力に変わっていきそうです。良いことだと思います。
同時になるべく短くまとめる力もますます重要になりそうです。

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6月に入り、連盟ではリモートワークは継続するとのことで喜ばしく思っていますが、他の企業ではどうなんでしょうね。
報道を見る感じでは、極端に戻っているというほどではなく、出社を7~8割押さえていたのを半分くらいにしているところが多いように見えます。
もともと不要なのであれば移動の時間と労力とお金をかけないに越したことはないし、どうしても必要ならば行くしかないわけで、みんなが自分で考えて行動して、自由に選べるような社会になるのが理想だと思います。

将棋界では今日から長距離移動を伴う対局が再開され、さっそく棋聖戦準決勝など注目局、大一番が目白押しです。
藤井君が大勢に囲まれることなく、結果に関わらず大きく報道されると良いなと願っています。
延期になっていたタイトル戦の日程もすべて発表され、順位戦の開幕も控え、ひときわ楽しみな6月ですね。

youtuber

3つ前のエントリでも書いた通り、最近にわかに棋士youtuberが増えてきました。
こうした流れは、2年くらい前からは、ある程度は予想していました。
その端緒が同期の伊藤真吾君とは、ちょっと予想できなかったですけれども。
直近の傾向としては、もともと露出の多い人が知名度を生かして新規参入しているという感じで、このところのstay home生活で、一気に流れが加速したということでしょう。

あくまで自分の理解ですが、youtuberは先行者利益が少ない世界(プラットフォームと真逆)だと思うので、特定のジャンルで相乗効果を越える数の参入が起きたとき、先人はなかなか大変そうです。
内容がバラバラならば差別化もしやすそうですが、棋士が将棋の枠を越えるのはなかなか大変なので(歌って踊れる香川女流はすごい)、今後どういう方向に進むのか、みんな人気を博しつつも悩んでそうな気がします。

棋士は個人事業主なので、タレント的な面も多少求められるのは自然なことでしょうか。
ただセルフプロデュース能力がある人は(たぶん)限られていて、たとえば10年以上web上にあれこれ書いているような自分でも、これはなかなか難しいなと見ていて感じています。
「自分メディアはこう作る」のyoutube版ノウハウが必要な時代かもしれません。

あと一般的な動画配信というのは世界中に向けて発信して、不特定多数に見てもらうというものだと理解していますが、案外そうではない活用法も、あるのではないかと最近見ていて思います。
一時期のSNSがそうであった(いまもそうかもしれない)ように「そこを見ている人」というコミュニティを作ることで、リアルの集まりを補完するようなイメージです。

と、抽象的に書くと分かりにくいですが、たとえば将棋教室の授業(講義)部分はyoutubeで流して各自好きなタイミングで予習復習、で集まったときに実技指導、といった形がその一例。
その動画自体が、そのコミュニティの宣伝になる、といった効果も期待できます。
こういう使い方はわりと棋士向きのような気がするので、今後増えるのではないかと予想しておきます。

自分自身は、書く・話すとか、あるいは理解してもらえるように努める、といった部分にはハードルを感じないのですが、それを広める、とか世間一般に人気が出るようにする、とかにはすごく高いハードルを感じてしまうので、そういったことができる人たちは尊敬しますし、頑張ってほしいなと思います。

たぶん令和の時代は可処分時間との戦いなので、こういうちょっとした文章でも、最後まで読んで下さる方には感謝、感謝です。