熱局プレイバック

本日対局につき、予約投稿です。
良いタイミングなので、ちょうど今日あたり発売の将棋世界での恒例企画、自分の投票を書いておきます。
以前書いたように、熱戦がとても多く、どれにするか悩みました。
結果がどうなったのか、興味津々です。

 

【1位】叡王戦準決勝 羽生ー佐藤天戦
ニコ生で観戦したが、あんなに残念そうな羽生さんはあまり記憶になく、印象に残った。
結果として、AIと名人の対戦が実現して、羽生さんとの対戦は実現しなかった。その意味で棋史に残るべき舞台と結果だったと言える。
将棋の内容も長手数のせめぎあいでとても見ごたえがあった。

【2位】NHK杯準決勝 佐藤康ー佐藤天戦
3手目の角頭歩突きに始まり、意表の着手が多い大熱戦だった。観ていたファンを大興奮させたと思う。
勝ち切った佐藤九段もすごいし、敗れた佐藤名人の、手段を尽くした粘りも本当にすごかった。
それにしても、佐藤会長が準決勝で佐藤名人を破り、さらに決勝でも佐藤六段を破って優勝とは、あまりにできすぎた偶然。

【3位】順位戦B1 糸谷ー久保戦
糸谷玉のたぐいまれな生命力が、今期も多くの熱戦を生み出してくれた。
早い段階で戦いが始まりながら、終局時には見違えるような玉形になっているのは彼らしい。
王座戦の準決勝・挑決と迷ったが、埋もれさせるにはもったいない大熱戦として、3位にこの1局を推す。

 

皆さんの感想は、いかがでしょうか?
他の棋士とも、比べてみてください。

2017年度に入ってからも、すでに棋聖戦本戦などで、多くの大熱戦が展開されています。
引き続きどうぞ、将棋観戦をお楽しみください。

今日・明日は名人戦第3局。
今日の中継はそのほかに、王位リーグと、竜王戦6組準決勝では藤井四段が登場です。

それではまた

明日対局

王将戦で相手は遠山五段。
たまたま間隔が空いて、一か月半ぶりの対局になりました。
盤面に向き合う生活に戻ってしばらく経ちますが、実戦からは遠ざかっているので不安もあります。
面白い将棋を観るのは自分の喜びなので、自分でも面白い将棋を指して観てもらえるよう、頑張ります。

最近の日常についてすこしだけ。
2月末の総会の後、3月の前半はお世話になった方への御礼や、4年分の資料の整理、それに対局も2局あったので、割合あっという間に過ぎました。
後半は、できる限り何もしないことに決めて、いままでにないぐらい、のんびりした日々を過ごしました。
ついこないだのことが嘘のような、穏やかな毎日でした。

4月に入ってからは、若手棋士だった自分に戻るつもりで、毎朝のブログを日課にすることで対局が始まる10時には頭が働いているように、努力してみました。
自分が思った通りにできたかというと、50点ぐらいでしょうか。
1か月で劇的に変わるということもありませんし、そもそもそういう年齢でもないですが、良い習慣になりつつあると思うので、これからもできるだけ続けていきたいと思っています。

今月は対局もなく、仕事もなく、ゆえに収入もなく、他に予定らしい予定もほとんどなく、大半の時間を家で過ごしたのですが、その割にやることはいくらでもあって、ちょっと不思議な気分でした。
将棋に向き合っていると、時間はいくらあっても足りません。
同じことを勉強していても(たとえば詰将棋を解くとか)以前より時間がかかる気がするので、なおさらです。
こんな贅沢な時間の使い方が許されて、将棋指しで良かったとつくづく思います。

ただ、やっぱり若い頃と比べると、集中力が続く時間は減っている気がします。
落ちてしまった筋肉を戻すには、時間も労力もかかりそうです。
ただ、人生経験も将棋に役立つと僕は思っているので、それをこれからの結果で示せるようにしたいですね。

今朝は読売新聞の社説と、朝日新聞の天声人語で、藤井四段が取り上げられていました。
確実に、将棋界に良い風が吹いていると感じます。
数年前からずっとそうです。
立場が変わっても、同じ船に乗った一員であることには、何の変わりもありません。
これからも、将棋界に貢献できるように、頑張っていきたいと思います。

GW

ゴールデンウイーク前半戦ですね。
今年は1・2日を含めれば9連休の暦ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
(棋士にはあんまり関係ありませんが笑)
たとえば今日明日は超会議など、将棋関係のイベントもたくさんありますので、チェックしてみてください。

将棋連盟ライブ中継も、今日は世田谷花みず木オープンという、非公式戦の対局を中継しています。
もう今年で10回になるのですね。
島先生が中心となって開催しておられるはずですが、イベントを続ける大変さは自分もそれなりに分かるので、10回という数字は、すごいの一言です。
世田谷は明日もシモキタ名人戦がありますし、何かと街を挙げて将棋を応援して下さっていて、ありがたいことです。

 

昨日の中継は、大阪では竜王戦3組決勝の大一番がありました。
組決勝ですので、読売新聞の観戦記もあります。
4月にランキング戦の決勝が指されたのは、自分の記憶ではここ数年なかったように思うので、今年はすこし進行が早いのかもしれません。
そもそも今年は4月に対局が比較的多い印象です。
体感的なものなので、本当かどうかは分かりませんが。

東京では竜王戦6組準決勝と、王座戦本戦。
昼間にカロリーナに会いに行った足で、久々に中継室に寄ってコメントしたのですが、自分の大局観は正しかったのかどうか?
いろいろな棋士がときどきコメント・解説していますので、その感覚の違いなんかも、楽しんでいただければと思います。

 

田村ー渡辺戦の中盤戦で、△5四銀と出た手は斬新でした。
竜王のブログにはさらりと「無理気味でした」と書いてありましたが、どうなんですかね。
6二金・5四銀という形そのものは昔からあるとはいえ、頻繁に登場するようになってからはまだ日が浅いので、まだ評価が定まっていないようなところがあります。

飛車の位置も8一~8四までいろいろあって、それぞれ最善の仕掛け方が変わってくる可能性も高そうです。
「何の代償もなく▲6四角と取られてはいけない。しかし飛車が8四にいて、手持ちに歩があるときは△5四銀と出てあえて▲6四角と取らせる手も有力」
というような形で、基礎知識が徐々に共有・醸成されていくのかもしれません。

本局は相掛かりの出だしでしたが、部分的な形は左美濃急戦に似ていました。
ちなみにもう1局も、中盤の局面だけ見たときは矢倉かと思ったら、相掛かりでした。
このように、戦型同士が緩やかにお互いに関係しているのが、いまの相居飛車の面白く複雑なところだと思います。

 

盤外の話題。
関西囲碁将棋記者クラブ賞
最近よく師匠が受賞されていますね。ありがとうございます。
それと、おめでとうございます。

一門の祝賀会は5月5日です。

選挙、ほか盤外の話題

既報の通り、昨日は将棋連盟の役員選挙が行われました。
自分は事前に投票は済ませていたので連盟には行かずに、結果も報道で知りました。

以前に書いたように、内輪でやっている投票の結果が報道されることには、違和感や複雑な気持ちもありますが、こうしていち早く知れることは、ありがたいですね。
今回は特に、社会の注目も集めていたので扱いが大きかったという面もあると思います。

ところで、自分から見て今回の立候補者は信頼している先輩ばかりでしたが、当然選挙なので投票した人もいれば、そうでない人もいるわけです。
全員がそうで、かつ、数十年にわたって続く人間関係ばかりなので、納得感もある半面、当人にしてみればそんなに気持ちの良いものでもありません。
また、国政とかであれば大いにお互いの議論を戦わせるべきですが、我が団体の場合はむしろ、誰がやってもある程度は同じであるべき、同じ方向に舵取りするべきという側面もあります。

なのでこの制度でやっていく以上、棋士は選んだ人を信頼して、経営を任せるという気持ちがとにかく大事です。
将棋連盟という組織の、大きな課題と思います。
特に経験のある元理事が、経験ゆえに足を引っ張ることのないようにしたいものです。
状況は日々変化しますからね。
あとは、早く後輩の立候補者が出てきてくれればと思っています。
自分のことを思い出してみても、大変だろうとは思いますが、30代以下が一人もいないのは、ちょっと寂しい感じです。

報道のほうはやはりというべきか、タイトル経験者の扱いは大きかったですね。
東京は3人のタイトル経験者と2人のタイトル戦経験者で、全体でも5人が九段、1人が八段、それに女流タイトル多数の清水さんですから、近年でも特に実績のあるメンバーになったという印象です。

 

佐藤会長に紫綬褒章のニュース。
棋士はファンに夢を与える存在でなくては。本当に、その通りですね。
おめでとうございます。

NHKワールド・ラジオ日本でカロリーナのインタビュー
こんなに多言語展開しているとは驚きました。
今日は連盟に仕事に来ているようなので、これから久々に顔を見てきます。

びっくりした手

藤井四段、また勝ちましたね。
昨日の将棋は、得意の早い桂跳ねを、平藤七段があえて誘ったように見えました。
中盤まではやや苦戦に見えましたが、どうだったんでしょう。
彼の将棋は、一局を通しての安定感がすごいと感じます。

昨日は観戦していて、驚いた好手の多い一日だったので、いくつかご紹介したいと思います。

まず、昼間は女流王位戦第1局。(新聞三社連合・神戸新聞)

この局面で▲6三歩が、「と金の遅早」の応用で好手。
と、後からなら言えるものの、前からの読み筋にはかなり入りにくい手だと思いました。
▲6二歩成~▲5二と、までの間に、有効な手が難しいのですね。
藤井四段も強いですが、里見さんも相変わらずの強さです。

夕方は、青嶋五段ー佐藤名人(王座戦・日経新聞)から。

この△4八歩も、実はかなり驚きました。
というのも、次に△4九歩成としても、まだZの形なので。
さっきの▲6三歩(▲6二歩成~▲5二と、として初めて意味がある手)と同じで、もう一手指してもまだ何でもない、という手は、プロは習性で軽視してしまうところがあります。
代えて△3六桂か、もしくは△5五(もしくは6四)角打のような手が凡人の発想でしょう。

ここがちょうど夕休だったので自分もすこし考えて、次の手は▲3三銀と予想しました。
(ちなみに次の狙いは▲4四銀成ではなく、▲3二金の詰めろ。実際、有力手だったとは思います)

ところが実戦は▲4二銀!
こんな鮮烈な手は久々に見ました。
かつての広瀬ー村山戦(C1)とか、広瀬ー羽生戦(王位挑決)とかを、思い出しましたね。
青嶋五段の将棋はいろいろな戦型、いろいろな指し手が出てきて面白く、以前から注目しています。
当たり前ですが、注目の若手は藤井四段以外にもたくさんいます。

そして夜戦に入り、豊島八段ー藤井九段(竜王戦・読売新聞)から。

次は△7九金と食いつく数の攻めが狙いで、▲9八金と逃げる手には△8九金と追いかける手があります。
(▲同玉なら△7九竜で詰み)
ところがここで▲9八香!が新手筋。
この手はたまに、玉を9九に引いて、「ナナメ駒がないと詰まないよ」という形を作るために出てくることがあります。(ご記憶あれ)
しかし、▲9九金と逃げるための香の移動は、見覚えがありません。
そもそも8九に金がいることが珍しいからでしょう。
いつかまた出てくるときのために、覚えておかないといけませんね。

取り上げませんでしたが山崎ー澤田戦(王位リーグ)も200手を超える大熱戦で、昨日は一日中将棋観戦を楽しめました。

今日は既報の通り連盟の役員選挙がある関係で、対局は女流棋戦が1局のみです。
自分はもう投票は済ませたので、今日は行きません。
その話は、またのちほど。