短手数?

昨日の叡王戦第5局、相掛かりからお互いに飛先を突破するという珍しい将棋になり、結果は永瀬叡王の勝ち。
逆転勝ちとの声が多く、自分では見ていてそれほどでもない感じがしたのですが、後でソフトの評価値を知って納得しました。
不定形の将棋で、一手で大きく形勢が揺れる内容ではあったので、大逆転という感じではなかったような気がします。

中継ブログには手数一覧と棒グラフが出ていました。
第4局までの戦い
さすがにこんな表は初めて見るような。
113手ということで、第1局の千日手局に並ぶ短さでしたが、それでも合計手数はこれで1000手を越えました。
では一つのタイトル戦における合計手数の最長記録は?調べるのが大変そうですが。。。

それにしても、ここまでの流れからしたら本局は混戦必至?と思われたところからの、永瀬叡王のスパートは見事でした。

それと本局、なんと木原直哉君が観戦記を書くそうです。
驚いたね。

今日は竜王戦決勝トーナメントに藤井棋聖が登場。
丸山九段の角換わり棒銀は、この一番への秘策に見えます。
同じ光景を同じ竜王戦で見たことがありました。
藤井「七段」昇段の一番でした。

それと今日は他に郷田九段ー藤井九段戦もあり、両藤井そろい踏みで注目の一日です。

近況とか。

今日の東京は朝からイヤな感じの空模様です。
今年はなかなか梅雨が明けませんが、連休が明けるといよいよ、といった感じなんでしょうか。

思えば、コロナがなければいまはオリンピックムード一色だったはず。
この暑い東京でオリンピックなんてできるのだろうか?と心配していたら毎日この涼しさ、皮肉なものだと思います。
(今の)テクノロジーではさすがに空をコントロールすることはできません。

先の見えない世の中ですが、来年は本当に開催するんでしょうか。

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近況、将棋はなかなか勝てなくて苦しんでいますが、ひっそりと勉強は続けています。あと、将棋以外のことも、それなりに頑張っています。

今年は社会情勢の影響を受けて、「一日一日を活き活きを生きる」という日々の目標は下方修正して、元気でいられればそれでいいやと思っていました。
が、それだと気力が湧いてこないので、やはり日々心身を充実させること、そして毎日を豊かなものにしようと、最近になって気持ちを新たにしました。
それですぐ何かが変わるわけではなくとも、目の前がすこし違って見えるようになりました。
具体的に書くことはしませんが、日々小さなことでも数値目標を持って、頑張っていきたいと思います。

今朝は各社一斉に藤井新棋聖のインタビューが報じられているようです。後でじっくり目を通してみたいと思います。

終わらない物語

昨日の叡王戦、第3局はなんとまたしても持将棋でした。
ひとつのタイトル戦で2度の持将棋は史上初とのこと。まあ、そりゃそうでしょう。
同じ対戦で2局連続の持将棋も、たぶん空前絶後なのではないでしょうか。

第2局同様に、これも1局とカウントして勝敗が増えないままで夜からの第4局。
横歩取りから早々に戦いになったこの将棋が、持将棋決着の2局以上の超長手数になるとか、誰も予想できなかったでしょう。

終局は日付が変わる直前でした。最後のほうは、(と言っても1時間以上はあった気が)何かいままで経験したことがないような類の感動を覚えました。


この将棋は出だしの展開を考えると、持ち時間が1時間でなければ、あるいは第1~3局の流れがなければ、たぶん半分くらいでは終わっていたような気もします。
いろいろな要因が重なり合っての奇跡的な「盤上の物語」が紡がれたのだと思いました。

同じ対戦で3局連続の200手越えも(第5局で越えなければ)空前絶後の記録になるのではないでしょうか。
ただ将棋を観ているだけで歴史の証人になれる、そんな時代になりました。

また本局は、1分将棋で席を立てないことへの、問題提起になるかもしれません。
2局合わせていったいどれだけの手数・時間を秒読みで過ごしたのか、対局者は仕方ないにしても、記録係には心からの労いを差し上げたいです。

タイトル戦としてはこれで計5局指して1勝1敗のタイスコアになりました。
これまで4-0が2年続きましたが、今期はひとまず第7局(=8局目)まで確定です。
次局以降もどんな将棋になり、いつ終わるか(それとも終わらないか)も含めて、大注目です。

ダブルヘッダー

今日は叡王戦第3・4局、舞台は名古屋。
タイトル戦が持ち時間1時間で指されるのは史上初です。
また1日に2局指されるのも、倉敷藤花戦がフルセットになった場合を例外とすると、おそらく初めてでしょうか。

第2局の持将棋については、1局とカウントして今日は(第2局の指し直しではなく)第3局からスタートする、ということに決まったみたいですね。
今期の叡王戦は第1局でも千日手があったので、今日の見どころの一つは、第3局と第4局が普通に2局で終わるかどうか、という点になりそうです。

指し直しになった場合、2局目(第4局)に関してはその場の状況で判断することもありそうですが、1局目(第3局)のほうが千日手や持将棋になった場合のことは、事前に準備されているのかどうか。
本来は50局に1局くらいしか起きないレアケースなので続くことは考えにくいものなのですが、果たして。

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藤井棋聖は今日が18歳の誕生日だそうで、昨日のJT杯は「棋聖としての初対局、17歳としての最終対局」として注目されていました。
昨日も完勝でした。本当に強いです。

一昨日か昨日にかけては多くの新聞で一面や社説を飾り、NHKでも大きな特集を飾り、民放の報道番組でもあちこちで取り上げられ、どうやらしばらくこのフィーバーは続きそうな感じですね。

偉業と、これから

棋聖戦第4局、またしても期待に違わぬ名局でした。
17歳でのタイトル獲得は信じられない偉業ですが、将棋の内容から考えると意外な結果とは言えません。

昨日の将棋は、終盤の△8六桂が妙手でした。渡辺さんも、気がついてなかったみたいです。
終盤の読みのスピード、視野の広さ、判断力、などが本当に素晴らしいです。

関西将棋会館には35社、71人が集まっていたそうです。
記者会見で語られた「盤上の物語」という言葉は彼らしい、美しい言葉だと思いました。
特別な人の、特別な日の、特別な一局に僕も心から感動しました。

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かつて藤井少年について豊島竜王名人の語った「これまでの人間では考えられない棋力に到達する可能性が高い」という言葉を、最近よく思い出します。
思ったよりも早く、その日はやってくるみたいです。

また、今後は将棋以外の分野でも、それと同じことが起きる可能性は極めて高いと思います。
藤井棋聖がそうであるように、世界中で数多くの10代の少年が、子供という枠を飛び越えていままで誰も為し得なかったようなことを達成したり、世界をあっと驚かせるようなことを実現させたり、といった未来が、容易に想像できます。

それを祝福し、包摂し、活かせるような社会がこれから来てくれると良いなと思います。
そうしたいろんな分野の、情報革命・AI革命の中で新たに生まれてきた天才たちのさきがけとして、彼の偉業も語り継がれるようになるのではないかと思います。

将棋界は彼の出現によって新たな時代に入りました。
彼が強いと同時に華がある、というのは将棋界にとって本当に幸運なことだと思います。
これからも楽しませてくれると思いますし、楽しんでいきたいです。