棋聖戦第1局

昨日はリアルタイムで観戦していました。
本当に素晴らしい将棋でした。
挑戦者決定戦に続き、またしても藤井七段の名局だったと思います。

いろいろありましたが中盤でフワッと一マス上がった▲4六角は名手でした。
それと▲7五香△同銀▲1三角成、このなんとも言えない難しいタイミングには驚きました。たぶん最善だったんでしょうね。
渡辺さんのブログにもこの場面が取り上げられていました。
最後さらっと「藤井七段は①△13歩の変化も読み切りでした」と記されていましたが、この感想も迫力ありすぎです。

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初タイトル戦というのは旅館やホテルでの対局、加えて前夜祭や取材などで誰もが慣れない思いをするそうですが、今回はコロナ禍の影響で将棋会館での対局が多く、この点も藤井七段にとってやりやすい面はあるかもしれません。
さらに渡辺棋聖の過密日程、世間の空気、あらゆる面で挑戦者に風が吹いている気がします。

いっぽう僕のお気に入りの、将棋界の名言に「私は下馬評を裏切るだろう」というのがあります。
第2局以降も本当に楽しみです。

今日は女流王位戦第2局、そして明日はいよいよ名人戦開幕。
さすがに月火水木とタイトル戦が行われるのは史上初でしょうか。

女流タイトル戦と、お知らせなど

先週は久々の藤井フィーバーといった様相でしたが、女流のほうでもマイナビ第5局と女流王位第1局、2つのタイトル戦が行われ、前者は西山さんが防衛、後者は里見さんが先勝。
挑戦者の加藤さんは、特に前者はフルセットの末の挑戦失敗で、残念な結果でした。

この2局はいずれも先手中飛車vs一直線穴熊で、振り飛車側が相穴熊を選ばず美濃囲いを選択したところが共通でした。
女流2トップが棋風の異なる振り飛車党なので、同じ戦型でも展開が異なり、特に振り飛車党にとっては参考になる内容だったかと思います。

女流王位戦のほうは、序盤の△7四歩(38手目)がポイントとなる一手で、そこから思いがけない感じで戦いが始まりました。
最近読んだ長谷部君の新刊では、代えて△6四歩が紹介されていました。
(厳密には▲5九飛→5八ですが)
あのあたりから早くも勝負所、とすると女流の将棋も本当に厳しくなったという印象です。
なお↑の本は地元・栃木への思いが切々と綴られていて、特に近隣のファンの方には必読です。深夜に読んだほうが良いそうです。

この土日は公式戦はなく、モバイル中継は今期清麗戦の振り返りが複数局配信されています。
本戦進出者の勝局まとめになっているようで、昨日は伊藤さん祭りで今日は岩根さん特集。
一部で解説を担当していますので、良かったらご覧ください。

それとHPのまいにち詰将棋のコーナーに自作が出題されています。
こちらもよろしければ解いてみてください。

新記録

すごい。

他に言葉が思い浮かびません。すごい。

昨日の将棋も、お互いにミスらしいミスは見当たらない、名局でした。
終盤は令和を象徴するように局面がねじれにねじれて、カオス。時間もない。
そんな中でも、藤井七段の指し手は正確でした。

五番勝負がとても楽しみです。

避密

密を回避する、略してひみつ。
いま唐突に思いついたんですが、この言葉、どうでしょうか。
と思ってググってみたら、普通に前例ありでした。まあ、誰でも思いつきますか。

昨日の棋聖戦準決勝、最終盤、藤井七段がはっきり勝ちになったところで、壁駒の7一香に触らずに▲8二飛成、からの壁駒の5二歩に触らずに▲4一角、には見ていて感動しました。頭が柔らかい。
対局のブランクがあっても棋力は落ちることはないようです。

局後の記者会見はリモートで行われたようで、どんな感じで準備したのか、どのくらい大変なのか分かりませんが、とてもありがたい配慮と思いました。
今後も日程の密は避けられませんが、物理的な密を避けていただけたらと願います。
昨日はお昼のNHKでも「久々の対局」というニュースが流れたほどで、注目度の高さを改めて実感しましたし、スターはすごいものだなと思いました。
明日の挑決は、どうなるでしょうか。

もう一局は永瀬二冠が勝ち上がり。
夕方頃は山崎ペースに見えていたのですが、兄弟子残念でした。
永瀬ー藤井戦は世間が実現を待ち望んでいたカードという感じがします。

この2人、練習ではかなりの盤数をこなしていながら「将棋以外の話をしたことはない」というのも、迫力のある話です。
そういえば僕も若手の頃永瀬四段・永瀬五段にはだいぶ教わりましたが、将棋以外のことはあまり聞いたことがなかった気がします。
キャリアを積み、5年、10年と時が経っても同じ生活を続けているのはすごいの一言です。

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昨夜は↑の終局を見届けてから、妻と久々に近所のお気に入りの店に飲みに行きました。
これからかなり大変なことになりそうだから、なるべく2人で外食しよう。と言い出したのはたしか2月の終わり頃でした。
その後3月はけっこう出かけましたが、緊急事態宣言以降は、夜は完全に家で食べるようになりました。
お昼はチャンスがあれば近所の店で食べたり買ってくるようにしていたのですが、ようやく飲みに出かけられるようになって、大げさに言えば感無量です。

東京アラートが出て、再び状況は良くないですが、これからもリスクをなるべく低く押さえながら、経済を回していく工夫をみんなで続けたいものです。
妻以外の人と飲みに行けるのはいつになるか、耐性の強い自分でも待ち遠しいですが、当面は警戒を続ける必要がありそうです。

リモート会議

昨日は定例の報告会がオンラインで行われるという初めての試みがあったので、僕も出席しました。
リモート会議、これはたしかに便利ですね。
グーグルがシェア獲得に躍起なのも分かる気がしました。

音や回線の問題は当然ありますし、よく言われるように「周りの反応が分からない」のはたしかにデメリットかなとは思いますが、なんといっても自宅でできるのはありがたいです。
みんなが同時に発言しないよう気をつけるのは当然なので、ヤジとかはほぼ絶対ありえない、など隠れたメリットもありそうです。
資料のシェアとかが容易なのもありがたいです。印刷の無駄もないですし。

これは多少の想像を含みつつも、間違いなく社会の潮流になると思うのですが、今後必要なプレゼン力は場の空気を読む力ではなく、理や利で相手を説得する力に変わっていきそうです。良いことだと思います。
同時になるべく短くまとめる力もますます重要になりそうです。

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6月に入り、連盟ではリモートワークは継続するとのことで喜ばしく思っていますが、他の企業ではどうなんでしょうね。
報道を見る感じでは、極端に戻っているというほどではなく、出社を7~8割押さえていたのを半分くらいにしているところが多いように見えます。
もともと不要なのであれば移動の時間と労力とお金をかけないに越したことはないし、どうしても必要ならば行くしかないわけで、みんなが自分で考えて行動して、自由に選べるような社会になるのが理想だと思います。

将棋界では今日から長距離移動を伴う対局が再開され、さっそく棋聖戦準決勝など注目局、大一番が目白押しです。
藤井君が大勢に囲まれることなく、結果に関わらず大きく報道されると良いなと願っています。
延期になっていたタイトル戦の日程もすべて発表され、順位戦の開幕も控え、ひときわ楽しみな6月ですね。