リモート会議

昨日は定例の報告会がオンラインで行われるという初めての試みがあったので、僕も出席しました。
リモート会議、これはたしかに便利ですね。
グーグルがシェア獲得に躍起なのも分かる気がしました。

音や回線の問題は当然ありますし、よく言われるように「周りの反応が分からない」のはたしかにデメリットかなとは思いますが、なんといっても自宅でできるのはありがたいです。
みんなが同時に発言しないよう気をつけるのは当然なので、ヤジとかはほぼ絶対ありえない、など隠れたメリットもありそうです。
資料のシェアとかが容易なのもありがたいです。印刷の無駄もないですし。

これは多少の想像を含みつつも、間違いなく社会の潮流になると思うのですが、今後必要なプレゼン力は場の空気を読む力ではなく、理や利で相手を説得する力に変わっていきそうです。良いことだと思います。
同時になるべく短くまとめる力もますます重要になりそうです。

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6月に入り、連盟ではリモートワークは継続するとのことで喜ばしく思っていますが、他の企業ではどうなんでしょうね。
報道を見る感じでは、極端に戻っているというほどではなく、出社を7~8割押さえていたのを半分くらいにしているところが多いように見えます。
もともと不要なのであれば移動の時間と労力とお金をかけないに越したことはないし、どうしても必要ならば行くしかないわけで、みんなが自分で考えて行動して、自由に選べるような社会になるのが理想だと思います。

将棋界では今日から長距離移動を伴う対局が再開され、さっそく棋聖戦準決勝など注目局、大一番が目白押しです。
藤井君が大勢に囲まれることなく、結果に関わらず大きく報道されると良いなと願っています。
延期になっていたタイトル戦の日程もすべて発表され、順位戦の開幕も控え、ひときわ楽しみな6月ですね。

youtuber

3つ前のエントリでも書いた通り、最近にわかに棋士youtuberが増えてきました。
こうした流れは、2年くらい前からは、ある程度は予想していました。
その端緒が同期の伊藤真吾君とは、ちょっと予想できなかったですけれども。
直近の傾向としては、もともと露出の多い人が知名度を生かして新規参入しているという感じで、このところのstay home生活で、一気に流れが加速したということでしょう。

あくまで自分の理解ですが、youtuberは先行者利益が少ない世界(プラットフォームと真逆)だと思うので、特定のジャンルで相乗効果を越える数の参入が起きたとき、先人はなかなか大変そうです。
内容がバラバラならば差別化もしやすそうですが、棋士が将棋の枠を越えるのはなかなか大変なので(歌って踊れる香川女流はすごい)、今後どういう方向に進むのか、みんな人気を博しつつも悩んでそうな気がします。

棋士は個人事業主なので、タレント的な面も多少求められるのは自然なことでしょうか。
ただセルフプロデュース能力がある人は(たぶん)限られていて、たとえば10年以上web上にあれこれ書いているような自分でも、これはなかなか難しいなと見ていて感じています。
「自分メディアはこう作る」のyoutube版ノウハウが必要な時代かもしれません。

あと一般的な動画配信というのは世界中に向けて発信して、不特定多数に見てもらうというものだと理解していますが、案外そうではない活用法も、あるのではないかと最近見ていて思います。
一時期のSNSがそうであった(いまもそうかもしれない)ように「そこを見ている人」というコミュニティを作ることで、リアルの集まりを補完するようなイメージです。

と、抽象的に書くと分かりにくいですが、たとえば将棋教室の授業(講義)部分はyoutubeで流して各自好きなタイミングで予習復習、で集まったときに実技指導、といった形がその一例。
その動画自体が、そのコミュニティの宣伝になる、といった効果も期待できます。
こういう使い方はわりと棋士向きのような気がするので、今後増えるのではないかと予想しておきます。

自分自身は、書く・話すとか、あるいは理解してもらえるように努める、といった部分にはハードルを感じないのですが、それを広める、とか世間一般に人気が出るようにする、とかにはすごく高いハードルを感じてしまうので、そういったことができる人たちは尊敬しますし、頑張ってほしいなと思います。

たぶん令和の時代は可処分時間との戦いなので、こういうちょっとした文章でも、最後まで読んで下さる方には感謝、感謝です。

昨日の補足とか

昨日のエントリは、多くの方に読んでいただけて、反応を見た感じでは、おおむね首肯してもらえていたように感じました。
記録係の問題はこれまで長年の懸案であり続けているのですが、これ自体は、長い目で見ればもうすぐ(自動化によって)解決すると思います。
早ければ数か月、どんなに長くても数年でしょう。

ただ、より大切なことは棋士一人ひとりが「公共への意識」を持てるかどうかで、負担だから嫌だ、という人が大勢いる社会になると、この先も記録係以外の問題が出てきたときにまた困るかもしれません。
輪番にせよ対局者自身で取るにせよ、「自分たちの利益のためには、自分たちが負担を分かち合う必要がある」という発想は持っておかなければいけないと思うので、この点を強調しておきます。

本題に戻って、将棋界にとって必要なことは何かというと、それは「棋譜を残す」「棋譜を見てもらう」ということなので、そのためにどうすべきかを考えるべきだし、やり方にこだわる必要はありません。
僕がチェス方式が良いと書いた理由は、誰もが公平で、受益者が負担する形であり、対局室の人数を増やさないからですが、もちろん他の方法でも良いと思います。

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コロナがまたちょっと心配な状況になってきました。
この先「第2波」が再び来ることは間違いないですが、いつ、どのようにかは分からないので、なるべく波が短く、小さくなるようにと願っています。

一人ひとりが努力している、気をつけているという状況が第1波のときとは違うので、この先も身の危険を感じるようなことにはならないでしょう。
ただ、向こう1年くらいは決して油断はしないようにと、自分に言い聞かせています。

あと将棋会館内の感染防止にはこれからも最善を尽くしてほしいですね。
リモートワークの継続、が連盟HPに書かれていて、とても良いことだと思いました。
安心して対局が続けられていることに感謝していますし、これからもそうであってほしいと願います。

皆さまもどうかお気をつけて。

記録係不足

昨日は加藤桃子さんのツイートをきっかけに、記録係不足が話題になっていました。
非常事態宣言発令以降、記録係は若手棋士・女流棋士にお願いすると聞いていたので、足りなくなるのではないかということは当初から心配していました。
それで私自身は、当面だけでも対局者が自分で取る(チェス方式)のが対局室の人数を減らすためにも良いのではないですかと提案したのですが、なるべくいままで通りにやりたい、というのが現状の考えのようです。

たしかに何人かの女流棋士が、連日のように取ってくれていることは気づいていましたが、そこまで極端な状況とは知りませんでした。
5月のことに限っていえば、もともと対局が少ない時期で、かつ例年の半分くらいに減っていて、さらにこのご時世で毎日忙しい棋士は皆無だと思うので、それでそんなに同じ人ばかりがやっているというのは、不可解ではあります。

今の状況で、頼まれて、一度も応じない人が大半ということであればさすがにだらしないと思うし、たぶん、個別に頼まれれば務めてくれるのではないかと思います。
自分のところにもメールが来て、取りますと返事したので、来月は記録を取ることがあるかもしれません。
昨日の加藤さんの訴えはファンや関係者の共感を得ていたように思うので、来月は、たぶん改善されると思います。

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5年前にも記録係不足が深刻になったことがあり、当時もやはり、理事だった自分も記録を取りました。
このときの議論で行われた記録係の「負担軽減策」が、順位戦の2局取りや、持ち時間の実質的な短縮化などです。

この問題を構造的にとらえると記録係は「修行」なのか「仕事」なのか「負担」なのかというところに帰着します。
(1)修行だから若いときには誰もがやって当然
(2)つらい修行だけどやらないといけないし、仕事としてお金をいただけるのはありがたい
(3)誰かがやらないといけない仕事を、応分に負担するのは組織の一員として当然のこと
(4)自分はそんな負担はしたくない。割に合わない
だんだんと上から下に意識が変わってきている感じがします。
(1)の人と(4)の人で議論しても、かみ合いません。

いまでも、記録係が勉強になるのは間違いないと思います。
一方で、より効率的な時間の使い方、勉強法が多くあるのも事実です。
また社会情勢等の変化で、プロを目指す奨励会員の多くが、おこづかいをあまり必要としていないというのも、昔との大きな違いです。
そして奨励会員や女流棋士が務める「仕事」の中には、記録係より割の良いものも昔より多くあります。
記録係が「負担」になってきているのであれば、その事実を受け入れ、輪番制のようなものを取り入れるのが最も自然な解決策でしょう。

伊藤明日香さんが書いているように、女流棋士の対局ではすでに、輪番制に近い形が取られています。
これは棋士の世界と違って、女流棋士を目指して修行中の成人が極めて少ない(未成年のうちにプロになるケースが大半)という理由もあります。
ただ、それでも記録を取らない若い女流棋士もいるのは事実で、普段から取っている人が棋士の対局のほうでも記録を頼まれた結果、↑のような事態が生じたのだと思います。

個人的な解決策は最初に書いた通りですが、現状をいましばらく(自動化が完成するまで)続けるのであれば、せめて記録を熱心に務めてくれるような人が恵まれる社会ではあってほしいなと思います。
あと棋士も皆ひとりの人間として、月に1回程度は自分の時間を組織のために費やすのは自然なこと、と思う人が大半の社会であってほしいと願います。

勝ち

昨日は大学の後輩である、谷合四段との対戦になりました。

彼と初めて会ったのは、8年前の春のことでした。
東大に入った三段がいる、というので声をかけて、将棋を指すようになりました。
当時はそんなに強くはなかったですが、18歳三段はまずまず有望なので、やがてプロにはなってくれるだろうと思っていました。

その後、これほど時間がかかるとは意外だったし、あんなに時間がかかったのに、こんなにすぐ公式戦で当たるとは驚きました。
さすがに、多少なりとも感慨深いものもありました。

将棋のほうは、序盤は作戦負けでしたが、中盤で混戦になり、お互い秒読みに入ってからは、こちらが良くなりました。
その後、終盤で大きなミスが出なかったのは幸いなことでした。
これで前のポカは帳消し・・とはいかないものの、ひとまずホッとしました。

次の対局は未定ですが、引き続き、頑張ります。