自動記録

昨日のリコー杯、自動記録のシステムに注目していました。
が、ひとまず棋譜中継自体は従来通りにやって、中継しない対局での実用化スタートだったみたいですね。
なので状況は分かりませんが、時間計測のトラブルが何度かあった、という記述をいくつか見かけました。
ということは棋譜自体は全局問題なく取れた、のかどうか?
それを踏まえて今後どういうスケジュールで本格稼働を目指すのか。
続報待ちですが、楽しみです。トラブルが出ることは、解決につながるので、当事者の方は大変だったと思うのですが、今後なくなっていくことを期待します。

また一般向けの報道でも、けっこう大きく取り上げていただいた印象です。
人手不足の解消に加えて感染対策という文脈も出てきたことで、将棋界以外の目で見ても、問題解決の良い事案ということかもしれません。
この件がうまくいけば、次は横展開、といったことも期待できます。
それがどういったジャンルか、例はすぐ出せませんが、たとえば電王手くんも将棋を指す以外のことに応用されているのと同じようなことが、起きるのではないかと。

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NHK杯は今月に入ってから再放送が続いていますが、今週と来週は、羽生五段の有名な快進撃を取り上げるようです。
これは僕も、おそらく子どもの頃に見たはずで、こういった映像が残っているというのは、長年続く番組の強みですね。

ところでNHK杯等のテレビ棋戦は、結果を知らずに放映を観たいという方が多いと思います。
しかし一方で、こうした結果や内容が知られているばかりかその後のエピソードまで含めて有名になっているものが、こうして話題になるのはなぜなのか。
と考えると、やはり感動を分かち合いたい、共有したいという気持ちが強いのでしょうね。
バルス、みたいなものかもしれません。▲5二銀。

これはこれで楽しみですが、もちろん現在のトーナメント収録が早く再開されてほしいのも事実です。
今週、来週はたぶん反響が大きいと思うので、自分も出番がきたときには、負けないような良い将棋を指したいと今から気を引き締めています。
(一部これで質問箱へのお返事にも代えます)

リーダーシップ

昨今のコロナ禍にあって、このところ日本でも、若いリーダーがクローズアップされる流れがすこし出てきたように思います。
これは非常事態宣言も相まって、自治体の権限と責任が重くなっていることも関係しているのでしょう。
自分の目に入ってくる範囲では、たとえば千葉市長や北海道知事など。頑張ってると思いますし、引き続き頑張ってほしいです。

日本の大きな課題として、政治は基本的に高齢者による、高齢者のためのものになっているという現状があるので、若い首長や議員さんが頑張っているのを見かけると、応援したい気持ちになります。
いっぽう、一つの出来事や議題にOBが大挙して反対運動を展開するようなことは、望ましくないことです。
これはどの業界にも起きうる話で、今後も社会問題として続きそうなので、改善されてほしいと思います。

あとリモートワークをはじめとして、あらゆる業界がオンライン化している昨今、この機会になんとか選挙のオンライン化は進んでほしいですね。
そういう人や政党があれば熱心に応援したいと思うのですが、なかなか大きな動きにならないのは残念なところです。

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若い、を通り越して子どもと呼べる年齢の人たちの話。
いま「9月入学」が議論になっていますが、きっかけのひとつとして高校生自身が声を上げた、というのは明るいニュースだと思いました。

この件、是非はとても難しいです。メリット・デメリットいずれも振れ幅が大きく、少なくとも僕にはそうすべきかどうかは分からない。
ただ自分なりに意見を持って、発信や行動をしたということが素晴らしい。
当事者がそうしたことをしやすい環境が、整ってきているのですから生かさない手はありません。

もうひとつ、香川県の「ゲーム条例」に対して高校生が違憲と提訴した、というニュース。
これも素晴らしい行動力です。
訴訟費用をクラウドファンディングで集めるそうなので、サイトが出来たら応援しようと思います。
どういう判断が下されるかは分かりませんが、個人的には、条例で定めるような内容ではないしその必要性や妥当性もかなり疑問です。

こうした動きを明るいと感じるのは、こういう土壌から、世の中のリーダーシップの総量が増えていくのではないかと期待できるし、新たなリーダーが生まれてくるかもしれないと思うからです。
政治は、本当は現役世代することが望ましいです。
そうなっていない現状にはもちろん理由もあるわけですが、世の中が変わるきっかけには、これからも注目していきたいと思っています。

一部解除

昨夜は非常事態宣言の、大都市部以外での解除が正式に表明されました。
良かったなと思うのは、多くの業種・業界ごとに、感染防止のためのガイドラインが策定されたとの報道があったことです。
自分自身、半月ほど前にこんなツイートをしていました。


相変わらず救急車のサイレンは多いですし、たぶんいまも危機は続いているのだと思いますが、現状は少しずつ、社会が望ましい方向に変わっていることを感じます。
我が将棋界でも、独自に感染防止のために必要な対策を講じて、随時それを見直しつつ、進んでいってほしいと願っています。

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昨日は4棋戦7局と、中継の多い一日。
今日はまた1局だけなので、偶然の偏りですかね。
力戦形の熱戦が多く、序盤から終盤まで楽しい日でした。

世の中がこの調子であれば、6月からは予定通り、大幅に公式戦中継が増えるという可能性も高そうです。
一方でやはり難しい、という可能性もないとは言えません。
先のことは分かりませんが、日々、最善を尽くすことが大切かなと思います。

では今日はこのあたりで。

4/2 真田八段戦

今年度公式戦の振り返りです。
本局は棋王戦の2回戦でした。

後手番で四間飛車に振り、相手の急戦を受ける流れ。
仕掛け周辺~中盤あたりはまずまずうまく指せました。
そのままの流れで、終盤戦へ。

△5八角成と切って▲同歩まで。

次に▲5三角(あるいは▲4四角や▲1七角)の手筋が回ると危ないですが、現状の後手玉はまだ安全。
手番が大きく、振り飛車一手勝ちの情勢です。
最終盤での一手勝ちというのは、当然ながら一手間違えると逆転します。とはいえ、この局面はひと目、プロ同士の将棋では「勝勢」に近い部類です。

ここは△7九金と打てば明快でした。
(1)▲6八玉は△4八銀で受けなし。
(2)▲8八玉は△6九竜が詰めろ。(△7八金▲9七玉△9九竜▲8六玉△8四香以下)
なぜか分かりませんが(2)の詰めろが読めず、実戦は△8九銀と打ってしまいました。
△8九銀だと▲8八玉に△6九竜が詰めろになる、というわけでもなく(むしろ逆)、まったくもって謎の悪手です。

△8九銀以下は▲6八玉△4八竜▲6九角△5九金▲2六角と進んで、おかしなことになりました。▲6九角の受けは完全にうっかりしていました。
この時点ではまだ難しい形勢でしたが、一度変わった流れを押し戻すことができず、さらに30手以上かかった末に大逆転負けを喫しました。

図の局面では持ち時間もまだ30分以上残っていて、勝たなければいけない将棋でした。
今期はこれ以上、いやこれ未満はないくらいの残念なスタートとなってしまいました。

自動記録とか

昨日のマイナビ、加藤さんの研究が炸裂。
短手数、短時間での快勝でお見事でした。
最近の女流棋界のタイトル戦を見ていると、加藤さんの将棋は事前準備と戦略という点では誰にも負けないものを感じます。
次局の後手番で何を持ってくるでしょうか。

将棋の記録係を無人に 棋譜の自動作成システム、16日本格稼働(毎日新聞)
これは朗報です。

記事にもある通り、コロナ対策という観点からも記録係のことはかなり気になっていました。
現在の非常事態宣言下における対局では、棋士・女流棋士が務めているとアベマで紹介されているのを見かけましたが、現状はあくまで例外的な措置という位置づけです。

この件はもともとは長年にわたる記録係不足への取り組みからスタートしていて、このリコーさんのシステムが本格稼働すれば懸念がすべて解消されることになります。
もちろん使っていく上でトラブルが生じる可能性はあれど、大きな流れとして記録係が不要になる方向に進んでいってほしいと願っています。

対局環境の変化、というより大きな枠組みで見た場合、これまでにもいろいろな変化がありました。
それでも、対局に向かう棋士の心構えは変わることなく、もちろん将棋のルールは変わることなく、これまでやってきました。
これからも、変わり続けながら、変わらない部分を残していくことが大切です。

自分は次の対局が20日で、いまのところ連絡がないのでそこではまだかもしれませんが、実際に体験するのがとても楽しみです。