竜王戦、順位戦

竜王戦第3局は、渡辺竜王の勝ち。
1番返して、番勝負としては面白くなった感じでしょうか。

本局は振り飛車ペースの時間が長かったように僕には見えていたのですが、実際のところはどうだったのか。
この戦型(ゴキゲン中飛車vs一直線穴熊)は他の相穴熊ともすこし違った、独特の大局観が必要とされる印象があります。

中飛車という人気の戦型でしたし、1日目からのっぴきならない戦いだったので、観ているファンの方には特に面白い将棋だったのではと思いました。
シリーズ後半戦もそういう戦いを楽しみにしたいと思います。

 

連休中にようやく先週の順位戦に目を通したので、盤面の話題について少々。
棋譜は名人戦棋譜速報でご覧ください。

C1は全勝の千田六段の、棒銀をあっさりさばかせる指し回しが目を引きました。
攻めの銀と守りの銀の交換は、攻めているほうが得。という染みついた固定観念を打ち破る一局、なのかどうか。
角換わりの将棋は近年、すっかり市民権を得た「4八金・2九飛型」のほかにも、たくさんの常識が覆されている気がします。
自分の隣で指されていた富岡ー佐々木戦も、後手番からの突然の仕掛けと、その後一転して落ち着いた指し回しというコラボが10年前には考えられなかったであろう感覚で、印象に残りました。

C2は中座ー八代戦と阿部ー遠山戦の終盤が面白かったです。
前者は横歩取り(正確には取ってない)模様の超急戦。
後者は相雁木で、比較的穏やかな駒組みの相居飛車。
そのどちらもが最新形なのが、現代将棋を観戦していて難しいところです。
それでいて研究では決着がつかず、終盤の競り合いで勝負がつくのがプロの将棋ですね。

全勝の今泉四段・増田四段・藤井四段は、いずれも苦戦の場面があったように見えました。
ただ3人とも良くなってからは手堅い勝ち方で、同じプロとしてはこういうところを参考にしたいものです。
今週は順位戦ではC2の残り半分と、A級が2局、B2の延期分1局もあります。

 

ちなみにC1は今月は対局がありません。
これはちょっと珍しいことで、本来11月の分が10/31に組まれたことによるものです。
なぜこういう日程になったのかは分かりませんが、たぶん他のクラスや棋戦との兼ね合いがあったのでしょう。

次節は12月の第1週で、そこからは通例通り毎月1局のペースで、年度末に向かって行きます。
良い年越しになるよう頑張りたいと思います。

人間将棋、将棋の日、国際フォーラム

この土日は姫路で人間将棋、札幌では将棋の日。
比較的大きなイベントが重なってしまいましたが、地理的には離れていますし、この季節は特にイベントが多いので、仕方のないところでしょう。
今日はわりと全国的にお天気に恵まれそうですし、お近くの方は楽しみにされていることと思います。

姫路での人間将棋は今年で3回目で、この季節の風物詩としてすっかり定着した感があります。
人間将棋は視覚的にわかりやすいところ、楽しみやすいところが良いですね。
天童では数十年前から行われている一大イベントですが、今年また関ケ原で新たに始まり、今後ももしかしたら増えるかもしれませんね。

また「将棋の日」は正式な11月17日よりすこし前の休日に行われるのが恒例で、トップ棋士勢ぞろいの人気イベントです。
自治体とのコラボがすっかり定着しており、名乗りを上げて下さるところが多いのはありがたいことです。

竜王戦第3局の現地でも、昨日・今日とイベントが行われています。
またそれ以外にも、全国各地で大会等が開かれているところも多いことと思います。
秋は将棋イベントが盛りだくさんで、3連休が2回あるにも関わらず、土日が足りない感じになるのは毎年のことですね。

 

先週の国際フォーラムは、ぶじ大盛況のうちに幕を閉じたようです。
連盟HP
shogi is my life (カロリーナのブログ)

回を重ねるごとに、将棋ファンが増えているのを見ると嬉しくなる、とあります。
>It makes me smile to see that shogi family is growing each time.
その気持ちが共通だからこそ、連盟としてもこうしてイベントを開催し続けている、と言えると思います。

カロリーナ自身も、ペア将棋や英語での大盤解説など、楽しく活躍してきたようで何よりでした。
お世話になった皆様、ありがとうございました。

通例なら次はまた3年後ですから2020年、東京オリンピックの年になります。
この2020年に日本将棋連盟がどう関わり、どういう役割を担うかというのは将棋界にとってとても大きな課題で、前の常務会でもいろいろと議論してきましたし、なかなかこれという答えが出ないことでもありました。
その中でもこの国際フォーラムをどこでどう開催するか、というのは大きなポイントになると思うので、しっかり議論して早くから準備を進めてほしいと思っています。

 

ところで、この季節はイベントが多いということは、会長・専務はじめ役員の方々の出張が多いということでもあります。
地方紙のニュースや連盟のイベントレポートを見ているだけでもハードスケジュールはうかがい知れますし、もちろん内側のことも知っているので、どうかお体を大切に、とひっそりと思っています。

そうは言っても、将棋会館の中、将棋界の内側にいるのではなく、外に出かけていってこそのお仕事ですので、これからも将棋界のためにご活躍をと願っています。

中飛車

今日から竜王戦第3局、舞台は前橋。
今回の対局場は、たぶん初めてのはず。
公募に名乗りを上げて下さったのでしょうね。ありがたいことです。

対局開始から1時間、戦型は羽生棋聖の先手中飛車に進んでいます。
これには多くの人が意表を突かれたみたいですね。
七番勝負全体から見ても、効果的な戦型選択になりそうな予感もあります。
(番勝負を戦ったことはないので、あくまでハタから見ての感想ですが。)

自分も最近振り飛車を多く指しているので、この大舞台で観られるのはとりわけ楽しみです。
角換わりに相掛かりに雁木、ばかりではやはり飽きてしまいますので。

対する居飛車側は、どうやら一直線穴熊濃厚でしょうか。
そういえば渡辺竜王は、流行の角道を開けない急戦は、あまり好まれてない印象があります。
あの作戦はあまりアマチュア向きではないと自分は思っているので、タイトル戦でこういうオーソドックスな、参考にしやすいであろう将棋になって、なんだか嬉しいですね。

 

というわけで、今後の進行を興味深く見守っています。

この連休はプライベートで予定があるのと、なぜかいまPCの調子が悪いので、短いですが今日はこのあたりで。

紫綬褒章とか

今日11月3日は文化の日。
ということで、その前日に発表されるのが恒例のようで、昨日紫綬褒章の発表がありました。
森内九段に紫綬褒章(連盟HP)

3年前に谷川会長が受章されたときは、ちょうど電王トーナメントの最中だったので、挨拶でこの話題にも触れたことを思い出しました。
今回の森内九段は、半年前の佐藤会長に続いてということで、同じ年にお二方というのは初めてのことのようです。

将棋界が盛り上がっている昨今、いろいろな話題がある中で伝統文化としての側面も、忘れずに伝え広めていきたいものと思います。

 

最近の中継の話題、というか一門の話題。

一昨日の北浜ー大石戦(竜王戦)は200手超えのすごい大熱戦でした。
リアルタイムで観ていて、終わりそうで全然終わらないのでまさに手に汗握りました。
弟弟子の大石君は、この勝利で竜王戦連続昇級となり七段昇段。大きな勝負だったのですね。
おめでとう。

昨日は兄弟子(山崎八段)と弟弟子(糸谷八段)がそろって勝ち。
前者はあまりらしくない感じ、後者はものすごくらしい感じ、の勝ち方でした。
糸谷君の将棋は相変わらず個性的で、なんでこんな荒れ球で名人を吹っ飛ばしてしまえるのか。
まあ、たぶん昨日の将棋は形勢がずっと良かったのだとは思いますが・・。

改めてラインナップを見てみると、昨日はかなり豪華カードの多い一日だったのですね。
順位戦のほうはまだきちんと観れていないので、これから目を通します。

 

森師匠のインタビュー記事最終回がUPされていました。
文章だけでなく、写真も良いですね。

与えられた役割へのプロ意識は、僕もいつも心に留めていることです。
これからも高い意識を持って、弟子の一人として自分にできる活躍をしていきたいと思います。

3月のライオン

アニメの第2シリーズが始まりましたね。
相変わらず重い。
主人公、暗い。
その世界を知っている自分から見てもそう思うぐらいに、メッセージ性の強い漫画です。
当然ながらキャラクターや物語はすべてフィクションではありつつも、作り物ではないこの世界の本当の部分を伝えたいという思いも、すごく強く伝わってきます。

今回のシリーズは文科省がコラボしているそうで、これには驚きました。
山口女流二段のインタビューが掲載されています。
ついこないだ一緒に仕事したばかりなので、話を聞ければ良かったなあ。

 

いじめの問題というのはなかなか語るに難しいものですが、僕自身も東大卒でありながら小学校は卒業していない(最後のほうは行ってないという意味)ので、いろいろと思うところはあります。
当時を振り返ってみて、小6の2学期から奨励会に通えることになったのは、具体的な人生の目標が定まったという意味でも、自分にとって大きな出来事でした。
将棋がなければ、(当たり前ですが)また違った人生だったことでしょうし、学校に行かないという決断が難しかったかもしれません。

いじめはもちろん良くないことだとは思いますが、簡単になくなるものでもないと思うので、どう対処するかはこれからもずっと大きな課題でしょう。
もし深刻な状況になってしまったときに、逃げ道の引き出し(選択肢)が多いことは、とても大切ですね。
それは子どもの社会に限ったことではなく、大人でも、同じだと思います。
「戦っても良い、逃げても良い」とは、とても良い言葉だなと思いました。

 

プロ棋士になれたことは、もちろんとても幸せなことでしたが、考えてみるとそれよりずっと前、「プロ棋士になる」という目標を持てたことが、まず幸運なことでした。
「しょうらいのゆめ」が職業であったり、大きなものであればもちろん良いでしょうし、そうでなければもっと身近な目標でも良いと思います。

素敵な未来を思い描くことで、人生は豊かになるし、ときには逃げ道にもなります。
それは僕がこれまでに実体験として学んできたことであり、いまでも役に立っている人生観でもあります。
これからも、大切にしていきたいと思っています。