コロナの影響

東京都の外出自粛要請が出てからというもの、自分自身も対策レベルを一段引き上げることに決めました。
外食はなるべくしたいけど1人だけもしくは妻と2人だけで、それ以外の外出は散歩と買い物と対局のみ、という形でしばらく生活することになりそうです。

個人的には、それで特段の不自由はありません。
気持ちが落ち着かないとか、勉強していてもモチベーションや集中力が高まらないといった問題はあれど、世の中の多くの人に比べたら、かなり恵まれた立場と言えます。
置かれている境遇と、健康に感謝して、日々を誠実に過ごしていきたいと思います。

棋士イベント次々中止、碁会所・将棋道場も打撃(朝日新聞デジタル)
当然ながら、人ごとではありません。
棋士は個人差が大きい世界なので、中にはスケジュールが真っ黒だったのが真っ白になった、という人もいると思います。
当然ながら収入にも直結してきます。

特に教室やイベント等の経営・運営をしている棋士や、指導・出演機会の多い女流棋士は大変だと思います。ファンの方も、連盟も、そういった方々のことを支援してあげてほしいです。
自分自身は、合宿が1件と企業の指導が1件、中止・延期になりました。残念なことではありますが、少なくとも向こう1年くらいは、仕事の機会が減ることは覚悟しています。

人の移動を制限するということは、マスに向けたビジネスが難しくなり、それぞれが住んでいる地域ごとに経済圏を形成していかないといけなくなるということでもあります。
特に身近な棋士・将棋関係者が近くにいる、あるいは飲食店、もちろん他のフリーランス・小規模店舗等に類するものがある方々、それぞれが何らかの形で、お金を落とす工夫をしていただけたらなと、心からお願いします。

GW恒例の森一門祝賀会も今年は中止になりました。
ホテルや宴会場でのパーティーは、感染症防止の観点からは今後も開催がかなり難しくなりそうで、何か解決策はないものか、自分でも考えていますが相当な難問です。
これは社会全体が徐々に変わっていって、落としどころを探っていくという話のような気がします。

最近は気が気でないのでニュースを読む/見る機会が増えており、できる限り専門家もしくは当事者の一次情報に接すること、それと自分ならどうするかを考えること、この2つを意識しています。

では今日はこのあたりで。

防衛

王将戦第7局、渡辺王将が熱戦制し防衛、三冠堅持。
最後はさすがの底力、勝負強さでした。
2日目午後からは形勢は難しいけど勝ちやすい展開、という状況を維持したままゴールにたどりついた、という内容だったように思いました。

現在複数冠保持者が渡辺三冠の他に豊島竜王・名人と永瀬二冠の3人ですが、最近の将棋を見ていると3人とも苦しい場面はありながらも最後は勝ち切る、という内容が多い気がします。 
競ったときに実力を発揮し切れるというのは本当にすごいことです。

棋聖戦はベスト8が出そろい、と昨日書いたばかりでしたがそのうちの一局が昨日さっそく行われ、ここでも永瀬二冠がベスト4一番乗り。
春は豊島名人ー渡辺挑戦者、永瀬叡王ー豊島挑戦者のタイトル戦が行われるので、これでもし渡辺棋聖ー永瀬挑戦者になれば、完全な三つどもえです。
もしそうなったらさすがにちょっと信じがたい話、だったのがだいぶ現実味を帯びてきました。

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突然ですが、またこんなところでひっそりとではありますが、連日必死で頑張っておられる医療・救急従事者、関係者の方々に感謝を。
薬局やスーパーで働いている方々へも感謝と、労いを。
何ができるわけでもないですが、一言お伝えしたいなと思います。

長期戦必至の現状、自分自身もできる限り心身を大切にして、直接のお世話にならずに済むように、またウイルスの蔓延を防げるような行動を、日々心がけていきたいと思います。

新記録とか

昨日書きそびれてしまいましたが、藤井七段が「3年連続8割越え」の新記録、これもまたすごいですね。
将棋の内容に気を取られてウッカリ(?)してました。報道量もかなり多かったように思います。

そもそも年間勝率8割というのは、連続とか抜きにしても羽生九段の3回が最高とのことですから、まったくもってとんでもない記録です。
そしてそれでもなお、藤井七段の通算勝率は徐々に下がっていっているそうで。言葉もありません。

プロの世界で、勝率8割というのは一時的にでも大変です。良いところ取りで8-2くらいはたまにあっても、16-4となるとけっこう高勝率の人でもなかなか出ないはずです。
通算勝率で8割以上をいつまでキープし続けるのか、というのもこの先見どころの一つになるかもしれません。

あと棋聖戦はベスト8が出そろいました。
藤井七段はこちらでも勝ち残っており、タイトル挑戦の最年少記録更新に期待がかかります。
昨日書いた王位リーグと合わせ、2度の菅井ー藤井戦に要注目です。

本戦1回戦の将棋はかなり戦型も展開もバラエティに富んでいた印象の中、特筆すべきはやはり久保ー山崎戦でしょうか。パックマンには驚きましたね。
その後もいったいどこで将棋を覚えたのか、という見事な指し回しで感嘆とはこのことでした。

王将戦第7局は初日からまさか、というほどの激しい進行。
先手の踏み込みは意外でしたが、これしかない、ということなのでしょう。
封じ手からすこし進んだ現局面(61手目)は、玉の堅さを実戦的な勝ちやすさと評価して渡辺好み、という感じもするものの、形勢としては後手がすこし指せそうな気がします。
ただこの後はすこし流れが穏やかになりそうなので、終盤までややこしい局面が続きそうです。

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東京都は外出自粛要請。かなり大変なことになってきました。

僕の生活の中に、不要不急でない用事はほとんどないので、しばらくはほぼ人と会わずに過ごすことになりそうです。
結果として妻と2人で過ごす時間が増えますね。

自分の理解では、外出することそのものに問題はなく、とにかく「3つの密」を避けることが大切です。
これは一人ひとりが意識すればほぼ100%実現可能なので、心がけたいし、周りの人にも絶対に心がけてほしいです。

では、不要不急のブログ更新、今日はこのあたりで。

王位リーグ 奇跡の詰み

昨日の藤井ー稲葉戦、たまたま最後の場面をリアルタイムで観戦していて、興奮してしまいました。
まさか、まさかあれが詰むとは。

改めてあの場面を思い返してみると、後手玉は離れたところから金銀3枚と馬に守られているところ、さらに角を王手で打って受けに利かしてるんですよね。
そこに至るまでに苦しい場面で手段を尽くして粘ってきた感があって、さすがの藤井君も万策尽きたか、と思った場面からの大逆転でした。
「こちらはこれしかありませんので」(113手目感想戦コメント)というのも、まあそうかもしれないけど、すごいものだなと。
良いものを見せていただきました。

王位リーグは昨日のこの将棋に加え、一昨日は3局、先週金曜日にも2局消化され一気に佳境を迎えています。
一昨日の永瀬ー佐々木戦はお互いに死力を尽くしての持将棋、からの指し直しも好局で日付をまたぐという超大熱戦でした。
現行のルールで日付が変わることはおそらく初めてのことと思いますし、今後もそうあることではないでしょう。
これも感動的な一局でした。
王位リーグでは昨年も木村九段(現王位)の将棋を中心に、驚異的な大熱戦や名局が数多く生まれており、何らかの連鎖反応が起きているような感じがします。

今期リーグ表を見てみると、紅組は永瀬二冠が直接対決を続けて制した形で、ただ一人無敗を守っています。
(※3/26追記:記述に誤りがあったので、修正しました。ご指摘ありがとうございました。)

白組は3回戦より4回戦が先に消化されていてちょっと不思議なリーグ表になっていますが、藤井七段が3-0でトップで、2-0の菅井八段との対戦がリーグ優勝を左右する一番になりそうです。

最後に、昨日は王座戦(飯塚ー渡辺戦)でも200手越えの大熱戦がありました。
1分未満切り捨てをしない現行ルールになってから、残り時間が少なくなってきたところでバタバタと手が進む現象がときどき起きているイメージで、昨日の将棋はそのあたりでひと波乱あったように見えました。

これは前にも書いた記憶がありますが自分自身は200手越えた経験はないはずで、これが2日続けて起きるというのはかなりの驚きです。
質量ともに見ごたえたっぷりの2日間でした。

今日、明日は王将戦最終第7局、舞台は佐渡。さーどーなる。

銀河戦 金井六段戦

昨日の将棋に続いて、午後は金井六段との対戦でした。
今度は後手番になったので、角交換系の四間飛車で行ってみました。
これは多少、意表を突けるかなという気持ちもありました。
実際そうだったと思うのですが、意表を突くぐらいヘタな指し回しだったのであまり効果はなく、残念なことでした。

△3三角に▲同角成~自陣角で桂頭を狙う、という流れは、最近部分的にはよく見る展開。
ただしばらく進むとすぐ未知の局面へと突入します。

△4五桂とポンと跳ねるのは、久保九段ならこう指しそうなイメージ。ただし、単なる妄想だった可能性もあります。
対して5七の地点を受けるには▲4六銀が一番自然ですが、図の▲5八金右はより強い対応。
この局面では、△6四角、△4四銀(本譜)、△5五歩、△3六歩などの手を考えました。

本譜の△4四銀は悪手で、▲同銀△同歩▲3八飛と動かれて、形勢を損ねました。
普通はそこで△4二金とかわすしかないところなんですが、これは▲8六角が当たってくるのが痛いです。

実戦は仕方なく△3七歩としましたが▲同桂~▲4五桂~▲5三桂成と天使さんもびっくりの跳躍ぶりで、金井君の手つきもひときわ優雅なものになってました。
こんな桂の三段跳びを許すプロがいるとは我ながらびっくりしました。

戻って図ではじっと△4四歩が味わい深い最善手で、それなら難しかったように思います。
実戦で指せなかったのは残念ですが、いろいろ検討しているうちになんとか自力でこの手にたどりつけたのは本局で数少ない収穫でした。

本譜▲5三桂成以降も、こちらがもうすこしうまく粘ればあんなにも放映時間を余してしまうことはなかったはずで、相当に反省点の多い内容になってしまいました。
出来にムラがあるのは大きな悩みで、良い将棋をもっと多くして、悪い将棋も少しでも粘れるように、努力していきたいと思います。