戦型分類のはなし

名人戦は、またしても早い決着でした。
手数も72手で第1局とまったく一緒だったようですね。
粘り強さが身上の二人でも、差がつくと粘れない、粘らせないのが9時間という持ち時間、名人戦という舞台なのかなと思いました。

ここまでの2局は勝った側が緩みなく寄せているからこその早い終局なので、レベルの高い将棋であることには変わりありません。
第3局は一斉大盤解説会も行われますので、時間いっぱいまで使う熱戦になることを期待します。

昨日の続きで、戦型分類の話題。
昨夜、たまたま初対面の将棋ファンの方に、教えてもらった使い方です。

「本日の対局」の下のほうに、「棋譜検索」という欄があります。
日付や棋士名で、検索できるのは以前から知っていたのですが、ここに、自動判定で分類された戦型別にも、検索できる機能が追加されていたようです。

こんな感じです。
試しに「横歩取り△3三角型」を選んでみます。

この半年ほどの中継局のうち、約8分の1がこの戦型。
相変わらず、流行しているようですね。

これだとちょっと多すぎるので、さらに絞り込んでみます。
たとえば名人戦挑戦者の稲葉八段を選ぶと

A級順位戦の勝局がズラリ。
名人挑戦の原動力になったことがよくわかりますね。

と、こんな感じで特定の将棋だけをまとめて観ることができます。
その方は三間飛車党で、三間飛車の将棋だけをじっくり並べて勉強しているのだとか。

そういう使い方もあったかと、参考になりました。
僕はもちろんすべての将棋を観ているわけですが、それだとかなりの数になって、時間も労力もかかるので、自分の特に見たい将棋をうまく絞り込むのも、長く楽しみコツかもしれませんね。

今日は固定ページにリンクしておきます。
棋譜中継を見るには

この土日は天童の人間将棋。
出張の方も多いことと思います。どうぞ楽しんでいらしてください。

僕は日帰りで栃木に出かけてきます。

名人戦

名人戦は2日目に入りました。
本局は超スローペース。
相居飛車の力戦としか表現しようのない、あまり前例のない戦いになったので、無理もないところでしょう。
お互いに、苦しくも楽しい長考合戦だと思います。

ところで、本局は「その他の戦型」ではなく「相掛かり」に分類されるみたいです。
しばらく前から、「本日の対局」の欄に、自動で戦型が表示されるようになったのですね。
(※仕組みはよく知りません)

10時すぎの画面です。
ユーザーからの要望があって、対応したと聞いた記憶があります。
こうやって日々、いろいろと改良に努めているのですね。

ところで、名人戦の将棋の出だしは、「矢倉模様」と言って良いでしょう。
ところが後手が飛車先交換を許す趣向に出て、受けた先手が横歩を取ったので、そういう意味では「横歩取り」かもしれないなと思いました。
でも、出てきた答えは「相掛かり」なんですよね。
5手目▲7七銀までの将棋から、相掛かりになった将棋というのは、過去には皆無なのではないでしょうか。
まったくもって、最近の将棋はわけが分からず、面白いですね。

現局面は、後手十分だと思いますが、そうだとすると横歩を取ったのがイマイチだったということになるのでしょうか。
感覚的には、それは不思議なので、つまり自分の感覚を、修正していかないといけません。
身体に染みついたものを変えていくのは、容易なことではないですが、最近は毎日こうやって観戦して、いろいろな将棋をそれこそ浴びるように摂取しているような状態なので、案外気がつかないうちに変わっていくかもしれません。
もともとこだわりは少ないほうだと自分では思っているので、うまくバランスを取りながら、やっていきたいと思っています。

昨日のマイナビ第2局は加藤女王の快勝でした。
最近の彼女の将棋を観ていると、急に調子が上がってきたように見えます。
いい波にうまく乗るのも、タイトルを多く獲得する秘訣なのでしょうね。
次局は挑戦者の巻き返しにも期待したいと思います。

次の一手

昨日の中継は、角換わりの定跡形ばかり3局でした。
まあ、そういうこともありますよね。

そのうちの1局で、作ったような次の一手が出たのでご紹介。
(上村ー中村太、王将戦)
正解はのちほど。

スクロールの合間に盤外の話題。
昨日、「ミラクル9」という番組を見ていたら(日頃からよく見ている)、西村真二さんという人が出ていて、たしか・・と思ってとある先輩にメールしてみたらやっぱり修道。
今年の広島県人会で、司会をされていて、ご挨拶したのでした。

そしたらその先輩から、「モーリーさんも修道ですよ」と言われてびっくり!
そんな偶然もあるんですね。
ということで、これから活躍を応援したいと思います。

 

将棋の話題に戻って、昨日の棋聖戦は、糸谷八段の快勝。というか、圧勝。
トップ棋士を相手にああいう勝ち方をするのは彼ぐらいのものでしょう。
この将棋は竜が強く、自陣に打った二枚の角がうまく働かなかった、という一局でした。

もう一局の竜王戦も、▲3九角!と中盤で打った手がインパクトのある自陣角だったものの、やはりうまく働かなかったようで、結果は後手勝ち。

この2局に共通するのは、角金交換で駒得した側が、攻めを受け止めきれず、自陣角が負担になってしまったという点。
現代将棋に共通する感覚なのかもしれません。
ただ、たとえば横歩取りの古い定跡でいきなり▲3二飛成と切る手があるように、実際には古くからある考え方が、いろいろな形で具現化されているだけなのかもしれません。

いずれにせよ、駒の損得のみで形勢判断できない、と考えるとそれは当然のことですね。

冒頭の次の一手は△2二角!
矢倉にいきなり詰めろがかかるのは、極めて珍しいです。
(美濃囲いだと、本ではしょっちゅう、実戦でもたまに見かけますよね)

この局面に至るまでの、中村六段の粘り強い指し回しが、参考になる一局だったと思います。
全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。

 

この2日ほど暑くて、春かと思ったら夏でしたか。
という感じでびっくりしていました。
今日からすこしまた涼しくなるみたいですね。

今日は名人戦第2局の1日目、舞台は弘前。
日を同じくしてマイナビも第2局、こちらは明治記念館です。

必至問題

昨日は棋聖戦の準決勝、斎藤ー郷田戦が白熱の終盤戦で面白かったです。
秒読みで二転三転したように見えました。
感想戦のコメントを読んで唸ったのがこの場面。

いま7八の金で6八の銀を取った場面。
リアルタイムで観戦していたのですが、たしかに△9七香成は気が付かなかった。

これだけでピンと来る人は、たぶんかなりの高段者。
解説用に、すこし図面を追加します。

△6八同金に代えて、△9七香成▲7九銀△7七角成と進めたのが下の図。

(1)▲7七同桂なら、8九の地点が空くので△8八成香▲同銀△8九金までの詰み。
(2)▲7七同金なら、8八の地点が空くので△8八銀と打って、数の攻めで詰み。
(3)8八の地点に利きを足すには▲8七飛と打って受けるしかないが、それには△8九金が好手。以下▲同玉△8八成香で、▲同銀は△7八銀、▲同飛は△9七桂で詰み。

必至問題を考えるときは、だいたいこんな順番で検証して、答えを確かめます。
必然的に、詰将棋より変化が多くのなるので、難しいのがわかると思います。

だいたいプロはこういうのを考えるのが大好きです。
たぶん例外はなく、本能的なもので、逆にそうでなければ、プロにはなっていないと言えます。
作品も好きですが、それが実戦ならなおさらで、それは実戦のほうが、なぜか「作ったような」局面になるのと、この将棋のように思いがけない手筋に出会うことがあるからだと思います。
「事実は小説より奇なり」と、古の人はうまいことを言ったものです。

この△9七香成という手は、そもそも9八に桂がいることがレアケースだし(この局面よりすこし前、▲9八桂と打って大変なのにも驚きました)、9六香+9七金(銀)という形を狙いたくなるので、気づきにくいのだと思います。

あとそもそも、必至問題であれば、△7七角成▲同銀△9七銀とやるのが、第一感の筋なんですよね。

僕もこっちの筋は観戦していて考えました。
先手玉はこれで必至。棋力を上げたい方は、本当に必至かどうか、考えてみてください。

通常なら後手玉は詰まない形、しかしこの図では▲5五角と王手されて、合駒がありません。
これが、実戦の難しいところです。

そういえば、先日NHKテキストを読んでいたら「最近、コンピュータソフトを活用してプロの将棋を採点するファンがいる」という一文が出てきて、なるほどそういうものなのかと思いました。
本局の終盤はたぶん「採点」という意味では評価値は揺れたでしょうし、特にこのように詰みや必至を逃すと、数字の上では特に大きく動くのは想像がつきます。
ただ、人間の指し手には必ず評価値以外の理由があるし、秒読みの中で間違えずに指し手を紡いでいることがむしろすごいのだということは、分かっていただけたらと思います。

先日も書いたばかりという気がしますが、今期の棋聖戦決勝トーナメントは、特に大熱戦ぞろいの印象です。
観戦記は産経新聞でどうぞ。

今日は講座風に書いてみました。

NHKテキストとか

昨日のエントリでひとつ、大事なことを書き落としていました。
NHK杯本戦の対局はすべて、NHKテキスト「将棋講座」に観戦記が掲載されますので、そちらもぜひご覧ください。

ちなみにこの雑誌は、将棋雑誌の中では比較的、見た目の変化が多い印象があります。
(表紙や、レイアウトという意味。さすがに版はずっと同じ)
対局の前に講座や、ニュースの枠を担当する棋士が交代するので、それに合わせてというところも、あるのかもしれません。
何となくですが、比較的若い世代をターゲットにしている気がします。
(※あくまで個人の感想です)

NHKといえば、昨日もまた、藤井四段は勝ったそうで。
たぶん午前中の収録で、午後一斉にプレスリリースしたみたいですね。
もちろん、異例のことです。
いったいどこまで勝つのでしょうか。

 

昨日の中継、王将戦は先日のマイナビ第1局と同じ形に。
「今後もまた登場すると思うので」とは書いたものの、こんなにすぐ出てくるとは。
本局は居飛車側に工夫の一手が出て、そのまま快勝。有力に見えました。

竜王戦の2局は、いずれもアマチュアがペースをつかんでいたように見えたのですが、結果はプロ勝ち。
指したいように指させて、反撃を決める、プロらしい内容だったと思いました。

図は金井ー石井戦。
先手が石井アマ、後手が金井六段です。


この▲3五歩は飛車にヒモをつけた手で、次に▲7三歩成が狙い。
飛車が向かい合っているときにしばしば生じる手で、中継で観戦していてとても良い手に見えました。
ところが感想戦コメントでは、この手が疑問だったとのこと。
将棋は難しいものだと、改めて思いました。

全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。

余談ですが、竜王ランキング戦には敗者復活戦(正式名称は「昇級者決定戦」)があります。
「裏街道」などとも呼びますが、実は棋士以外(アマチュア・女流棋士・奨励会員)は参加できない決まりなので、その全員が敗退するまで、6組の裏は始まらないことになっています。
今日以降、組み合わせ表が作成されて、順次対局が進むことになるはずです。

また組み合わせといえば、昨日、来期順位戦の表が届きました。
こちらも、まもなく公開されるものと思います。
毎年のことなのでもう慣れているはずでも、改めて、身の引き締まる思いがしますね。

 

盤外の話題。
映画「3月のライオン」はまもなく後編のロードショー開始です。
いま調べてみたら今週末からでした。
ちなみにこういう場合、ちょうど切り替わる、とかそういうわけではなくて、後編が始まっても、引き続き前編も映画館でやっているケースも多いらしいですね。
とはいえ、まだの方はお急ぎください!