棋士に関するQ&A

最近はよくテレビの話をブログに書いている気がします。
先日の「1周回って知らない話」(日テレ)の将棋特集は、増田四段vs藤井四段戦が、「新記録のかかった一番」になると決まる前から、取材していたのですね。
てっきりそうと決まってから、特集が組まれたのかと思っていました。
世間一般から見た将棋界のイメージなどが垣間見えて面白かったです。

その中で取り上げられたいくつかの「疑問」は、けっこう定番のものが多く、今後も取り上げられそうだなと思ったので、この機会にまとめておこうと思い立ちました。
上段が一般的な、あるいは実際に番組でも出た答え、それに加えて後段に自分なりの答えを入れてみました。
番組を観る方、作る方、その他、それぞれに何かのご参考になればと思います。

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Q.プロ棋士は何人ぐらいいるの?
A.四段以上の現役棋士は、現在約160人です。ちなみに「女流棋士」は制度が異なり、こちらは約60人います。

補足:ときどき「元プロ棋士」という表現を見かけますがこれは厳密には誤りで、「引退(退役)棋士」もあくまでも「プロ棋士」です。ただ上記のように現役の人数を答えることが多いので、そう書かれてしまうのもやむを得ないかもしれません。

Q.どうやったらプロ棋士になれる?
A.まず「奨励会」というプロ棋士の養成機関に入り、そこを卒業したら晴れて四段、プロ棋士となります。
半年に1度行われる「三段リーグ」の上位2人だけが卒業できるという仕組みになっています。
つまりプロ棋士は年間に4人しかなれません。

補足:と聞くと皆さん驚かれます。
制度はちょっと複雑な面もあります(上記にいくつかの例外があります)が、一言でいうと将棋が強い子どもたちが全国から集まってきて、その中で淘汰されていくという実力本位の仕組みです。

Q.棋士の収入源は?
A.(1)対局料(2)賞金(3)その他の収入

補足:と番組では紹介されていましたが賞金がもらえるのは基本的には各棋戦(大会)の優勝と準優勝だけなので、大半の棋士にとっては対局料とその他に分かれます。
引退棋士は公式戦を指さないので対局料収入はありませんが、棋士としては活動するので執筆や指導等で収入のある人もいます。
また「対局料」なので勝っても負けてもその1局でいただける金額は同じであることがほとんどですが、大半はトーナメント戦なので負けると次の対局がなくなる、ということで成績と対局料収入は直結しています。

Q.対局がない日は何をしている?
A.(1)一人で勉強or仲間で研究会(集まって練習対局)(2)指導、執筆、解説等の仕事(3)その他

補足:正直言って他の棋士が普段何をしているかは永遠の謎です。
番組では「意外と忙しいのだ」というコメントが入っていました。
主観的にはたしかに暇を持て余したことはないですが、忙しいと言われると、申し訳ない気持ちになることもあります。
AbemaTVでは「〇〇〇段の一日」を紹介するのが恒例になっているようで、人によって全然違うので面白いと思います。
自分の場合だと、最近は家にいることがとても多く、あと旅行に出かける機会も一般の方々と比べると多い気がします。

Q.対局はどれぐらいある?
A.平均で月に3局程度です。藤井四段のように勝ち続けるととても多くなります。

補足.つまり月に27日ぐらい自由な時間があるということで、自己管理の大切な仕事と言えます。

Q.対局はどのぐらいの時間がかかる?
A.早指しだと1局1時間ぐらいで終わる場合もありますが、多くの対局は朝から始まって早くて夕方、遅いと深夜までかかります。

補足:これはよくびっくりされる点の一つです。自分の場合、いままででもっとも遅い終局は千日手指し直しで3時半でした。(対局開始から17時間半後)

Q.対局中はずっと正座していないといけないんですか?
A.そういう決まりはありません。

補足:実際に深夜まで正座を通す方もいます(!)が、さすがに少数派です。
ただテレビ対局とかでは、大半の棋士が正座で通しているように思います。
つまり1時間程度は誰でもできるということで、座ることに慣れている人たちなのは間違いないでしょうね。

(追加)
Q.対局のときは着物を着るのですか?
A.服装に決まりはなく、男性の場合ほとんどの人はスーツです。
タイトル戦に出場するときは、和服を着るのが伝統です。
それ以外にも自分にとって特別な対局だったり、「本気」の象徴に和服を着る人もいます。
自分の場合、NHK杯や銀河戦の本戦に出場したときに、和服を着たことが何回かあります。

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他にもありそうなので、また折を見てアップデートします。
また、何かご質問があれば、可能な範囲ではお答えしようと思います。

今日は午後から大阪遠征です。

ここ数日、毎日暑いですね。
東京はちょっと出歩くのが大変になってきました。
用事のない日は外出は軽い買い物ぐらいにとどめて、ほぼ家で過ごしています。
夏バテしないように気をつけないといけません。

また九州の豪雨で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
地元の広島も報道されていたので心配しており、母に連絡してみたところ実家は無事だったようです。
最近大きな地震が続いたこともありましたし、自然は本当に怖いですね。
世の中が平和で、落ち着いて生活できてこその将棋なので、と思うようになってから、災害のニュースには特に敏感になった気がします。

 

昨日の竜王戦は、混戦の末佐々木五段の勝ち。
早い仕掛けのあとは茫洋とした展開が続いて、特に終盤が難解な将棋でした。
最近いわゆる「評価値」が取りざたされることが多いわけですが、こういう展開で時間も少なくなってくると、評価値はあんまり意味がないのではとよく思います。
でもその一方で、そういうときこそ形勢判断が大事なのだろうか?とも思ったり。

「評価(値)=形勢判断」と、「探索=読み」が、将棋の指し手を決定する上での二大要素、かつ不可分なのは人間もCOMもある程度同じだと思うのですが、「どう不可分か」という点がずいぶん違うという印象を持っています。
このあたりのことをもっとうまく説明したいのですが、残念ながら文章力が不足しており・・・

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最近アイデアとして世の中に出したい、知ってほしいと思っていることがいくつもあり、
(具体的には↑のようなCOM関連、それから教育関連、それと単純に技術的なこととかも)
実はときどき文章を書いてみたりもしているのですが、なかなか思うように形になりません。
これは自分の思っている理想と、自分の能力が乖離しすぎていることが原因で、平たく言うと文章がヘタだということです。
考えたことを書きだしてみると、全然書き出せてないんですよね。我ながら実に不思議です。

何かうまい方法はないものか・・と思うとだいたい新たな本を読んでみるという展開が多く、ちょっとした一人千日手模様です。
自己分析としては、アウトプットとインプットのバランスが悪いです。

これまでの35年あまり、自分ができそうなことは努力して、できそうにないことは避けてきました。
やりたいことより、いまやるべきと思うこと、やるべきと思うことより、やればすぐできそうなこと。
そうやって物事を選んできた気がします。
でも、せっかくやりたいと思ったことなら、実現したいという願望も、常に持ち続けていた気がします。
なんとかしたいと思うんですけどね。なかなか思うようにはいきません。

 

そんなわけで、まとまりのないまま今日はこのあたりで。

とりあえず詰将棋解こう。

最近の将棋とか

自分の対局は残念な結果でしたが、今週は特に熱戦が多く、観戦していて楽しい1週間でした。
中でも大きなところで、王位戦第1局は振り飛車の名局だったと思います。

あまり例のない出だしから長い長い駒組みが続き、基本的には居飛車が(一歩得でもあり)模様の良い将棋だったと思うのですが、駒がぶつかってから、ごちゃごちゃと戦っているうちになんとかしてしまいました。
まさに「ねじり合い」という言葉がふさわしい内容で、もちろん現代将棋のエキスもふんだんに入っている中で、大山先生的というか、昭和の香りのする力強い指し回しでした。
羽生先生を相手に、タイトル戦の初陣でこの戦いぶりは驚嘆の一言です。

順位戦はA級が2局とB2、C2が行われました。
名人戦棋譜速報
佐藤会長は特別としても、他にも力戦、乱戦が多く、これが最近の傾向かなという印象です。

目を引いた手筋をひとつご紹介。
C2の三枚堂四段ー小林九段戦より。

ここで▲9八香があまり見ない一着。
振り飛車の将棋で玉から遠いところではたまに見かけるぐらいの珍しい意味づけで、単に▲6六角だと△同角▲同歩△8八角が両取り、しかし▲9八香△9九角成▲6六角△同馬(△9八馬は▲3四歩)▲同歩なら大丈夫という仕組みと思われます。
いままでにない力戦だからこそ、こうやっていままでにない手筋が発掘されるのかもしれません。
特に桂香の手筋は、まだまだ知られていない(体系化されていない)手がたくさんありそうな気がしています。

こちらの図は、最近放映された将棋で、同じく香の手筋。
(※銀河戦は、テレビ棋戦なので放映で観ていただきたいところですが、放映終了後は囲碁将棋chのサイトでも棋譜が公開されています。)

この△1七香はよく見かける手筋で、▲同香は△2九金で詰み、▲同玉は△1九竜で寄り。
しかしここで▲1八香!が粘りある一着でした。
1七の逃げ道をふさがず、合駒もせず、1九を受けるにはこの手しかない、ということで論理的な手筋です。
創作次の一手では見たことあったような気がしますが、実際に現れるのは珍しいです。

香は、じゃなかった今日は土曜日ですが竜王戦の決勝トーナメントが指されています。
藤井四段の連勝を止めた佐々木五段がどこまで勝つか、というのが新たな注目ポイントでしょうね。
また藤井四段も連勝は止まったものの先日の順位戦にもたくさんの報道陣が集まっていたようで、引き続き注目は続きそうです。

7/7 阿部光六段戦

残念ながら1回戦負けとなってしまいました。
今朝はブログを更新しないで出かけたので、先ほどの対局のことを簡単に書いておきます。
棋譜はこちらで見ることができます。

三間飛車は先週に続いての採用。
序盤は軽い作戦負けと思っていましたが、図の局面ではチャンスが来たような気がしていました。

ここで△8三銀と埋める手は、プロなら誰でも第一感のはず、しかしこれが手拍子の疑問手でした。
モバイル中継でも確認したところ、案の定5秒で着手していました。

感想戦コメントにもある通り、代えて△7五歩の先着を急げば、難しい勝負でした。
7五・7六の地点を押さえるのが最優先だったのです。
解説の飯島さんに指摘されて、すぐに納得しました。
玉頭戦は対抗形の華、こういうところで正しく指せないと振り飛車は勝てませんね。

最近は若くて強い後輩との対戦が続いています。
次の対局もすぐあるので、気を取り直してまた頑張ります。

明日対局

叡王戦で相手は阿部光瑠六段。
今年に入ってから立て続けに2回負かされており、正念場です。
ニコ生の放映もありますので、ぜひご覧ください。
強敵ですし電王戦出場棋士ということで視聴者の応援も多いかと思いますが、なんとか頑張りたいと思います。

以前書いた通り、叡王戦はニコ生の放映がない対局も含めて、棋譜がすべて公式サイトで公開されています。
記録用のタブレットとの連携で、ほぼリアルタイムで更新されているようですね。
実に便利になったものです。

 

王位戦は2日目に入りました。
羽生王位が早々に端歩を突いたのがまず目を引きます。
その後もどことなく注文をつけた立ち上がりで、第1局であることも考えるとこういうのはかなり珍しい気がします。
封じ手の局面は私の感覚では居飛車持ちですが、この後どうなるでしょうか。

挑戦者の菅井七段、途中で和服を着替えたとのこと、これもあんまり例のない一着でしょうね。
8時間の練習将棋を指したがったという話とか、実にまっすぐな彼らしい話です。
リベンジマッチのときのことを、いろいろと思い出してしまいました。

王座戦はベスト4が出そろいました。
今期の本戦は毎局若いほうが勝ち上がっている印象で、「フレッシュなメンバー」という言葉はよく使いますがベスト4でここまで若いのはさすがに珍しいのではないでしょうか。
ここからは誰にとっても特に大きな戦いになりますね。

先日の竜王戦の話題。
7月2日の対局について、佐々木勇気五段のコメント
7月6日読売新聞朝刊に佐々木勇気五段 対 藤井聡太戦の舞台裏記事が掲載

棋士の対局前や対局後のコメントが掲載されるというのは、以前はあまりなかったので良いことと思います。
将棋もスポーツの世界を見習ってできることはいろいろあるはずで、これもその一つでしょう。
「対局結果・予定」のページには「棋戦最新トピック」というコーナーが増えたみたいで、今後も充実していくことと思います。

藤井四段は今日、初黒星以来の初対局。
C2順位戦で、いつもの名人戦棋譜速報日本将棋連盟モバイルに加えてabema、ニコ生でも放映があります。
報道陣の数はいままでよりはずいぶん減ると思いますが、それでも引き続き注目されていることには変わりないでしょう。
職人の振り飛車相手にどんな将棋を指すのか、楽しみにしています。