1/14 佐藤和七段戦

今年の対局は順位戦からのスタートでした。
この日は病み上がりでまだすこし心配だったのですが、かえって盤上に集中できたのか、自分にしてはかなり良い内容の将棋が指せました。
体力的にも、最後まで何の問題もなく良かったです。

戦型は相振りとだけ決めていました。データベースで調べてみると(中飛車左穴熊を除いて)5年数か月ぶりの採用だったみたいです。
想定した形も一応あったもののおそらくそうはならないと思っていて、やっぱりそうでした。

ただ序盤はうまく指せて、はっきり作戦勝ちだったと思います。相振りの分野においても先後の差はそれなりに大きいです。
49手目▲3七桂~53手目▲2七金あたりは、途中から思い描いていた通りの形になりました。

図は終盤戦。作戦勝ちのその後は順当に混戦になり、ここまですでに何度かヤマ場がありました。やはり将棋は簡単には勝てません。

上部開拓を許さず寄せ切りたい

実戦はここから▲8九香△7七角成▲5三成銀△同金▲7八銀と進んで勝ちになりました。
最後の▲7八銀は会心の一手でした。

棋譜だけ見るとうまく寄せ切ったかに見えると思いますが、実は▲8九香に対して△8六銀ならよく分かっていませんでした。
香の利きを止めるのが急所で、次に△9八と、と動く手を見せてプレッシャーをかけています。
対しては▲9六飛とかわしておくつもりで、先は長いと見ていました。

将棋は簡単には勝てないので、こういうふうに先の長い戦いを覚悟できているときは、良い結果になることが多いです。
相振りはいまや数少なくなった体系化されていない分野で、指してみて面白いと感じられたので今後もチャレンジしてみたいと思います。

12/11 佐藤秀七段戦

しばらくほったらかしてしまいましたが、これから年度末にかけて、対局の振り返りを少しずつ進めていきたいと思います。

昨年末の師走は順位戦と竜王戦の2局で、同じ時期に理事職を共にさせていただいた先輩との対戦が続きました。
本局は先手四間飛車vsミレニアムの戦型に。

著書「令和新手白書」にも書いたような背景があり、最近四間飛車を指すとミレニアムで対抗されることが増えてきています。
有力な戦法なので、いつも対策には苦慮しています。
本局は途中まで平凡ながら想定した感じ、で進めていたのですがありそうでない工夫が相手に出て、やや苦しいワカレになってしまい序盤に課題が残りました。

図は夕休明けからしばらく進んだところ。
居飛車側は飛車先突破に成功しており、振り飛車側は玉頭方面の戦いで挽回していかないといけない場面です。

△8九飛成~△5七角より早い攻めが必要

ここで普通は▲4三銀と直接囲いに迫るか、もしくは▲3五歩と桂頭を攻めるかのどちらかしかないところですが、前者は△4二歩で駒を渡す損が大きく、後者は攻め合いで負けてしまいます。
つまりこの局面は形勢不利ですが、ここから▲5二角△4二歩▲3五歩と進めた3手が自分なりの勝負手で、印象に残っています。

最初の▲5二角は当然ながら次に▲4三歩成の狙いです。
対して△4二歩と打つ手は後手陣を固める一方で、攻めに歩が使えなくなるマイナスもすこしあります。
またこちらが3筋を攻める手は、将来的に▲3九歩と底歩を打つなどして守りにも働く可能性があります。
ただ実際に底歩を打ってしまうと今度は上部が弱くなります。その際に厚みを増しているのが最初の角打ちを利かせた効果なのです。

これで形勢が好転した、というわけではないのですが最終盤は偶然にも5二の角が3四~2五~1六と利いているおかげで詰みを逃れる、という場面が生じました。
結果的にそうなったのはたまたまですが、苦しい場面で良い勝負手が指せたように思います。

竜王戦の1回戦は毎年大きな勝負なので、勝ち上がることができて良い年末になりました。

王将戦、三段リーグ

王将戦第5局は広瀬八段が見事に後手番ブレイク。両者1分将棋になってからも長く続く大変な大熱戦でした。
あれだけの内容だとおそらくお互いに勝つチャンスがあった感じではないかと思います。
矢倉の定型にも関わらず検討の指し手が当たらない感じだったのは、将棋の奥深さを感じさせられました。

渡辺さんのタイトル戦ラッシュもいよいよ終盤、棋王戦は2つのうち1つ勝てば良い状況になったところ、この王将戦は2つ続けて勝たないといけなくなりました。
次はカド番の王将戦第6局が先に来る日程のようです。

また昨日はマイナビの挑決もあり、加藤さんが勝って女流王位戦に続いての挑戦権。
同じ週に挑決を2つ勝った例って過去にあるんでしょうか?
かなり珍しい記録のような気がします。

現女王は西山さん、女流王位は里見さんなので加藤さんにとっては異なるタイプの振り飛車党に挑戦することになります。
つまり自然と異なるタイプの対抗形が見られそうで、楽しみにしています。

今日は三段リーグ最終日、初の女性四段なるかに世間の注目が集まっています。
これほど注目されるのは藤井君以来と思いますが、そのとき当事者だった西山さんが今度は自分の番、というのも話題性を増しているところでしょう。
また個人的には東大の後輩のこともあって、いつにもまして気になる最終日です。

ニュージーランド

に行ってきます。

・・・と今日のブログでは書くはずだったんですが、昨今の社会情勢のため、取りやめました。
人生初の南半球で、とても楽しみにしていたのですが、残念です。

ただ僕自身は、幸いなことに普段以上に健康で(アレルギーとかも今年は出てない)、とりたてて不自由もなく暮らせていることに、感謝しているところです。
ニュースを見ていると対応が日々目まぐるしく動いていて、たとえば昨日の突然の入境制限にはいまになってという感じで驚きました。
何が聞こえてきてもできるだけ動じないように、パニックにならないように、淡々と、と思っています。

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昨日はC2最終日、26局を一度に見て回るのはさすがに無理なので、モバイル中継対象局のみ棋譜を追いつつ、あとは名人戦棋譜速報の「棋譜一覧」で全体の様子を注目していました。
この機能はかなり便利で、オススメです。
残りの20局はこれから見るので、今日も将棋を見ていたら一日が終わる可能性が高そうです。

昇級争いは自力の三枚堂君は勝ち、牧野君は敗れ、キャンセル待ち1番手の古森君が勝ってここで決定。2敗勢には回って来ず、でした。
上位はどの将棋も大熱戦で遅い終局でしたが、前者は終始接戦、後ろの2局はいずれもリードを守り切っての勝利だったように見えました。
古森新五段は三段リーグとC2をいずれも2期で突破、1期抜けと違って目立ちにくいですがこれはかなりの快記録と思います。

最後に残ったのがキャンセル待ち2番手だった佐々木大地君のところで、日付が変わる少し前に決着。
三段リーグで次点2回、フリークラス入りからストレートでの順位戦参加、からの3年連続8-2、2年連続次点はさぞ無念でしょう。
ただ9-1の頭ハネとは違うので、やむを得ないと本人も思っている気がします。

降級点のほうの争いも含めて、どこかで線が引かれて少なくとも次の一年はその地位が続くので、星一つの差、順位何枚かの差が結果に大きな影響を与えます。
安定感と爆発力、勝率と勝負強さ、そのどちらもが求められる世界です。

また昨日・今日は王将戦第5局、大阪での対局。
矢倉脇システムのよくある形から、意外な手が続いているようですが形勢としては後手が良さそうです。
このまま後手番ブレイクとなれば当然ながらかなり大きい星になりますがどうなるでしょうか。

順位戦

対局翌日の昨日は、例によって他の対局に目を通していたら一日が終わりました。

藤井七段は見事な全勝フィニッシュでした。
この将棋はかなり古いタイプの矢倉戦で、懐かしさを感じる序盤だった(と思う)のですが、最終手のコメント欄に本人の談話として「序盤から力戦模様になり」云々、とあって衝撃を受けました。
若い藤井七段にとっては、「▲6七金左」とかのほうが定跡形で、一昨日の4六銀・3七桂型のほうがむしろ定跡化されていない分野、ということなんでしょうね。
たしかに、過去に定跡とされた形もいまの目で見ると評価が異なるので、アテにならないという側面はあります。それにしても。

この日は振り飛車が比較的多く、全18対局のちょうど半数が対抗形でした。


他の振り飛車を含めても、居飛穴は1局だけでした。時代は変わりました。

また相居飛車では矢倉が多く、角換わり腰掛け銀が1局しかなかったのも目を引きました。
こちらも流行が徐々に移り変わりつつあるのが実感できます。

今日はC2の一斉対局、全26局で昇級がどうなるかの他に、どんなラインナップになるかも楽しみにしています。

数年前からC2は原則として半分ずつに日程を分けて設定するようになりましたが、最終戦だけは以前からの慣例に則り一斉対局です。
東京14局、大阪12局は部屋割りを見てもらえば分かる通りどちらもこれ以上は普通にはできないという数字で、大変な一日と言えます。

では今日はこのへんで。