今日は対局

竜王戦で阿部光瑠六段と。
今日は対局が多い日のようで、中継も多数、自分のところは残念ながらないようですが、良い将棋が指せるよう頑張ります。

また今夜は銀河戦の金井六段戦が放映されます。
久々の、というかもしかしたら初めてかもしれないダブルヘッダー(?)です。
良かったらご覧ください。

昨日の叡王戦挑決最終第3局、頂上決戦は豊島竜王名人が渡辺三冠を下し、永瀬叡王との七番勝負へ。
一筋縄ではいかない感じで混戦の様相を呈しつつも、全体としては先手のリードしている時間が長かったように見えました。
渡辺三冠は年始頃までは年度最高勝率さえうかがう勢いでしたがここにきて急ブレーキで、やはりトップの争いは紙一重なのだなと改めて思わされますね。

では、行ってきます。

王位戦

この3連休は、昨秋に台風の影響で延期になったギャモンの王位戦でした。
昨今の社会情勢を受け、さすがに参加者は少なめでした。中級合わせても3~40名程度だった気がします。
僕は初日はbyeを引いて1回戦突破、昨日2日目は×〇×で、敗退しました。

最後の久保田さん(数少ない囲碁勢)との対戦は、スコア11-9/15pで555の3枚vs51111の5枚という最終盤で僕が4倍を打ちテイク、43、即8倍、11!、61、16、で惜しくも敗れました。
ベスト4の他のメンバーが那須社長、しもへいさん、森内九段と全員将棋勢だったのでひときわ残念ですが、最後の出目で勝敗が決まってこその良いギャモンなので仕方ありません。

久々の優勝から1年数か月、タイトルホルダーの肩書ともこれでしばしのお別れとなりました。
今日は会場には行かず、自宅で静かに過ごす予定です。
ギャモンは来月末のリーグ戦まではしばらく休んで、次は名人・盤聖、それと世界大会での優勝を目指します。

またBMABへの挑戦はここまでわりと順調に来ていますが、今大会直前にやや調子を崩してしまい、本番でも簡単に避けられるようなミスがいくつも出てしまいました。
基本的に1日1試合の名人リーグに比べて、1日に異なる相手と複数の試合をこなすトーナメントのほうが、パフォーマンスを維持する難易度は高いと感じます。
将棋と同じで楽しむことは簡単でも、棋力の向上は難しいですが、また頑張りたいと思います。

(17時頃追記)その後、森内九段が見事優勝されたとのこと。ギャモンでは初タイトルです。おめでとうございます!

王将戦とか

4枚落ちのエントリ、いかがでしたでしょうか。
米沢から帰ってきてからずっと書こうと思いつつ、図面作るのが面倒でいろいろ他に書くことが多くて手をつけられてなかったので、なんだか宿題を一つ片づけたような気分です。
また折に触れこうしたことも書いていくつもりです。

1日遅れましたが王将戦第4局は広瀬八段の勝ち。
「勝者罰ゲーム」の「大名行列」は6年ぶり2回目(?)とのことで、TLで盛り上がってましたね。

本局もまた、大熱戦でした。今期の王将戦は序盤から終盤まで、興味深い内容の熱戦が続いています。
2日制だと形勢をリードした側が持ち時間に多少余裕を持ってゴールインすることも多いので、この3・4局は本当に拮抗した勝負だったということだと思います。

渡辺さんはこの王将戦が7番勝負→3番勝負になった他、棋王戦が5番勝負→3番勝負、叡王戦挑決が3番勝負→1番勝負とすべてタイスコアになっており、さすがにこれほど重要な対局が重なるのは初めてでしょうか。

先週の中継では、永瀬ー久保(竜王)戦の久保九段の指し回しが芸術的で感動的でした。やっぱり美しい振り飛車は本当に美しいですね。
また昨日も土曜にも関わらず3局、今日も日曜ですが1局、3連休最終日の明日も3局の中継があります。多士済々で見どころたっぷりです。

ウイルスに花粉、なんだか大変ですが皆さまもどうか良い週末を。

4枚落ちの話(2)

昨日の続きです。

今日のテーマはこちらの図。

上手△4三金に代えて△3三金、△7二金に代えて△6二金

 

ぜひ、昨日の図と見比べてみていただきたいのですが、私見ではこの布陣がもっとも手ごわいのではないかと思います。
ここから同じように攻めるとどうなるでしょうか。

▲1四歩△同歩▲1二歩△7四歩▲1四銀△1三歩▲2三銀成

よそ見運転注意

 

これは△2三同金と取られて大失敗です。
だいたいの子が直前で急に気づいて▲2五銀と引き返すことになりますが、うっかり突っ込んでしまう子も意外に多い印象です。

この構えに対しては、▲2三銀成の定跡は通用しません。
そもそも2三の地点はたくさん利いていて守りやすいのに、そこに突っ込んでいくというのは将棋のセオリーに反している気がします。

ではどうするか、ですが最初の図に戻って、たとえば▲1七香△7四歩▲1八飛と雀刺しの形を作る手は有力だと思います。

これで1三の地点は下手「飛銀香」vs上手「銀桂」で「3対2」

 

次は▲1四歩△同歩▲同銀△1三歩▲同銀成△同桂▲同香成△同銀▲同飛成、と突破することができます。
符号で書くとやや長いですが、この手順がイメージできるようになることで、先に進めるようになるのでここは頑張りどころです。

もしこの局面で上手が△2四歩と来ても、構わず▲1四歩と突きます。これ重要。

平手でよく出てくる攻め筋

 

(1)△同歩は▲同銀でさっきと同じ。
(2)△2五歩▲1三歩成も、一瞬は先に銀を取られますが、しばらく進むとだいたい同じになります。考えてみましょう。

将棋の攻めの基本はあくまでも「数の攻め」です。
数が勝っていれば突破できるし、そうでなければ攻めがうまくいきません。
棒銀+雀刺しはかなり強力な攻めと言えます。

では最後に図面をもう一つ。

基本形のひとつ

 

ここから▲1四歩△同歩▲1二歩△7四歩▲1四銀△1三歩、と進めた局面を、昨日の冒頭で載せました。
つまりこの局面は有名な定跡の入り口ということになります。

上の図で紹介した▲1七香~▲1八飛の雀刺しは、この図でもかなり有力だと思うのですが、自分の経験上そう指されることはめったにありません。
それだけ▲2三銀成と捨てる定跡が有名なのでしょう。
もちろん定跡よりも▲1七香のほうが優れているということではなく、どちらでも(あるいは他の攻め方でも)正しく指せば下手が勝てると思います。
ただ定跡を覚える際にも、数の攻め、の原則もしっかり押さえておいたほうが、上達がスムーズなのではないかとは思っています。

なお上手は紹介した他にも4三金と3二玉が逆だったり、7二金の位置など多少のバリエーションはありますが、基本的な攻めの考え方に変わりはありません。

何かご質問がありましたらコメントや質問箱等でいただければお返事したいと思います。

4枚落ちの話(1)

昨日に続いて、先月の米沢での話。

4枚落ちの定跡といえば、なんといっても有名なのはこの図だと思います。

▲1四歩△同歩にいったん▲1二歩と垂らしてから▲1四銀と出る。

 

ここで定跡が教える次の一手がご存じ「▲2三銀成」、銀のタダ捨て。
以下△同銀に▲1一歩成、次は▲2一とで桂が取り返せる形。
もし△3三桂とかわしても▲1三香成。上手が歩切れなので1・2筋の突破が受からない。
これは、たしかに攻めが成功しています。

さてこの定跡、上手の陣形にはいくつかバリエーションがあるのですが、この日は主にこんな図を採用してみました。

△7四歩に代えて△3五歩。他はまったく同じ

 

さてこれがどんな違いを生むでしょうか。

図から▲2三銀成△同銀▲1一歩成に、△3四金▲2一と△2四銀

上手にとっては▲1三香成を防ぐことが重要。

 

ちょっと形が違うだけで、見慣れない受けが登場します。

さてここで下手にはいくつか良い手があります。
そのうちの一つは、たとえば▲4六桂と金取りに打つ手。
(1)△3三金と逃げてくれば、▲2五歩で銀が取れます。
(2)△2五金と逃げてくれば、▲2六歩で金が取れます。
守りの金銀を狙うのが、攻めるときの心得です。

ですがこの日の数局、なぜか全員が▲1三香成?!でした。
これは△同銀でタダです。

このまま飛車が成れないようでは攻めが失敗

 

この局面を迎えた子が、たしか3人いました。
「定跡では▲2一との次は▲1三香成だから」ついそう指してしまった子も、いたかもしれません。
そういう子は、思い込みに注意するクセをつけるのが良いでしょう。

ただ、実際はこの局面で妙手があり、▲1三香成自体は悪い手ではありません。
ここから飛車を成るにはどうしたら良いでしょうか。

銀、香に続いてと金まで捨ててしまうのが絶妙手!

 

正解は▲3一とです。これが妙手。
もし(1)△同玉なら▲2三飛成で、なんと金・銀・銀取りになります。
よって(2)△3三玉と逃げるぐらいでしょうが、▲2一飛成で成功です。

実際にこの手を発見した子もいました。
▲1三香成の時点で気づいていたのか、△同銀と取られてから気がついたのかは分かりません。
以下は順当に下手が勝ち切ったと記憶しています。

ただ、このように駒を捨ててカッコよく攻めるのが、果たして正しい指し方なのかどうか。
ちょっと長くなったので今日はここまで、明日に続きます。