昇降級

昨日のB1、菅井ー斎藤のライバル直接対決は熱戦の末菅井七段が勝ち、トップでの昇級決定。
この2人は過去に2度、同時に昇級していて今期もまたそうなる可能性があります。
もし3度そうなれば、かなりの大記録なのではないでしょうか。
菅井将棋は自分にとっては後輩ながら、いつも憧憬の念を抱いて観戦しており、そんな彼の将棋がこれでいままで以上に注目されると思うと嬉しく思います。
おめでとう。

最近は順位戦昇級に伴う昇段は以前より少なくなっていますが、その中にあって新A級新八段は比較的多い印象です。
そんなエリートたちの最近の顔ぶれを見ると、必ずしもトントン拍子ではなく、三段リーグで実力のわりに苦労したり、順位戦でも惜しいところで昇級を逃したりする中で、やがては周りに認められながらA級八段という地位にまで登り詰める、というケースが多いように思います。
やはり上がるべき人は上がっていく、ということなのでしょう。

日を同じくして、谷川九段の降級が決定。来期はB2で指す、と(ほぼ)明言されました。
ファンも関係者も、注目されていた方は多いと思います。自分もそうでした。

普通の人ならばごく普通の意思決定が、一つ一つ注目されたり、普通とは違う重みを持つ、という状況は、余人にはなかなか理解し難いものがあるように思います。
そういう状況が長く続く人生というのはどういうものなんだろう。
と、これは谷川先生に対してではなく、藤井君(に関する報道)を見ていてよく思うことです。

永世名人がB2で指すのは過去に例がないそうで、格が違う、となるのかそれともそうはいかないのか、来期も注目が集まると思います。
自分の指す将棋が注目されるのは幸せなことなので、続投を選ばれたのかな。
と、これは棋士としてのごくごく平凡な感想です。

今日はA級順位戦が2局。

順位戦とか

今週は順位戦週間なんですね。
昨日がB2、今日がB1、明日もA級が2局。
A級は来週ラス前を迎えますが、その前週にも3局が行われる形で、ずいぶんとタイトな日程です。

昨日のB2、丸山九段が全勝を守り全クラス通じて初の昇級決定。
もう1枠もかなり絞られてきました。
上位の直接対決だった横山ー近藤戦は、横山七段が苦しそうに見えましたが辛抱強い指し回しで制勝。
近藤六段も敗れたとはいえ最終盤の▲9六歩~▲9七玉の粘りは見ごたえがありました。

また最後に残った野月ー窪田戦は目の離せない攻防が延々と続いて面白い一局。
他にもひたすら受け続けて勝った中村九段や、いろいろあった末に入玉して勝った戸辺七段など、とにかく粘り強さが目立つ一日でした。
このクラスは逆境に強い棋士が特に多い印象で、こういうところを注目して観ないといけないですし、見習わなくてはと思います。

それと里見さんはまた棋王戦で白星。
女流名人戦の記事で知りましたが谷川先生の研究会に参加している由、なんというか、羨ましい話です。
いまや里見さんが一つ二つ勝っても、実績のある棋士に勝ってもニュースにならなくなり、新たな時代に突入した感があります。

では今日はこのへんで。

いろいろ

昨日の中継、古森ー西田戦の最終盤「▲8三飛」のタダ捨ては実にカッコイイ手でした。ああいう手が実戦で現れるのは極めて珍しいです。
実戦の終盤というのは次の一手以上に「作ったような」難解な変化がよく現れるものですが、逆に一手で決まることというのは少ないんですよね。
見事な寄せでした。

昨日ネット上で話題だった記事。
11歳の大型新人

筆者の方も詰パラ誌上ではよく見かけるお名前なので、作家の方だと思われます。
記事の内容は読んでいただくとして、これはまた、非常に楽しみな連載が始まりました。
この29手詰、当時僕も解いた記憶はあるんですが、なんでこんな代物を小学生が作れてしまうのかがわからない。天才、の一言で片づけるしかない、のかどうか。

藤井、詰パラ、といえば今月号には藤井奈々さんの初入選作が載っているんですが、これもとても面白い作品でした。
絵や字や文章に加えて詰将棋とは、実に多才な女流棋士です。
初入選が段位認定というのもかなり珍しいかも。

最後に先崎九段の新刊をご紹介。


今日発売なのでよろしく、とラインがきました(笑)
僕も買います。将棋メシ、相変わらず流行ってますね。

先崎さんの文章は昔から大好きで、ほとんどの著作は買っていると思います。
ああいう文章が書けるのは本当に羨ましい。人は自分にないものに憧れます。
今作もとても楽しみです。

では今日はこのへんで。

豪腕

昨日のA級順位戦、途中はさすがに会長苦しそうと思っていたのですが、あれを広瀬八段相手に勝ってしまうのですね。何という豪腕。
なんであの玉がまとまってしまうのか分からない。時代がだいぶ会長に追いついてきているのでしょうか。
最近の相居飛車の将棋はああやって玉を囲わないことが増えてきているので、どうも見ていて形勢判断を誤ってしまうことが多いです。

朝日杯最後の1枠は永瀬二冠。こちらは弟弟子と兄弟子が豪腕通じずという感じで、吹っ飛ばされてしまいました。最後の飛車切りはきれいな決め手でしたね。
ベスト4は自分から見ると全員年下で、まあこれぐらいは珍しくもないですが同世代の阿久津八段がダントツの最年長で、あとは平成生まれが3人、うち1人は2000年代と。
有楽町は今年も大いに盛り上がりそうです。

今日は若手中心に5棋戦5局、と何気なく思っていたのですがよく見ると中心とかいう次元ではなく、対局者10人全員年下でしかも大半が平成生まれでした。
及川君が最年長のようで、さすがにここまで若いのは珍しいような。
持ち時間がバラバラなので、一日中ずっと楽しめそうです。

では今日はこのへんで。

始動

昨日の朝日杯、藤井七段がまた神業を見せてくれました。

1局目の将棋は一方的に1分将棋で相手は穴熊、となれば実戦的にはかなり勝ちづらい展開、2局目も中盤先攻されたあたりでは苦しそうに見えたのですが、どちらも気がついたら形勢をリードしていました。
なんでああなるのかが分からない。

これで名古屋から有楽町へ、おそらく公開対局ならではの雰囲気もあるはずで、3連覇の可能性はかなり高そうです。
朝日杯は今日も渡辺三冠らが登場しベスト4最後の1枠が決まります。

女流名人戦は、残念ながら差がついた内容でした。どうやら今回も里見さんの壁は厚そうです。
消極的になってしまうと差は開く一方なので、妹弟子には戦う姿勢を大切に、なんとか食らいついてほしいです。

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病気やらなんやらですっかりお休みモードが続いていましたが、さすがに今週からは再始動、将棋の勉強も本格的に再開したいと思います。

12月~1月にかけては竜王戦・棋王戦・王将戦が新たに始まるので、例年この時期は1~2回戦がついて対局が多い季節なのですが、今年は相手や組み合わせの都合でなんとどの棋戦も対局がつかず、次の対局はまた順位戦で確定しました。
1・2月の順位戦の間に対局がつかないのは、たぶん棋士になって初めてではないかと思います。その分2~3月が少し忙しくなりそうです。

結果的にちょうど良いと言えばちょうど良いので、次の順位戦の想を練りつつ、徐々に緊張感のある日々を取り戻していきたいなと思っています。
それとそろそろ次の執筆の準備もしていきたいですね。