女流王位戦ほか

昨日の女流王位戦は、挑戦者が勝って1-1のタイに。
伊藤女流の持ち味全開で、見事な入玉劇でした。
やはり、個性が出た将棋というのは見ていて面白いと感じます。
また、自分の長所が出せたほうが、結果にもつながりやすいという面も、あるように思います。
里見さんは相変わらず強いですが、他にも強い若手はたくさんいるので、近いうちには新たにタイトルを取る人も現れそうな気がします。

次の一手のような手が見られたのでご紹介。(先手番)
棋王戦予選の枠抜けの一番です。
自分の第一感は、▲7四歩△同飛▲8三角で、たぶんそれも有力でしたが、実戦の進行は全然違いました。


解答は末尾に。
また、全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。

藤井四段は昨日も強かったですね。
これで17連勝。
対局開始時の写真を見るたびに、報道陣が増えているように感じます。
大阪の事務局もさぞ大変でしょう。
ワイドショーなどでもちょくちょく見るようになり、取り上げていただけるのはもちろんありがたい半面、ちょっと本筋とそれ始めたようなところも。
将棋そのものに、注目が集まるきっかけになればと願っています。

ブログのはなし。
「タグ」を打つとどういうメリットがあるのかまだよくわかっていないのですが、とりあえず見よう見まねでやってみています。
棋戦名、棋士名などを中心に、あと「図面あり」のタグをつけて、将棋の解説をしている記事は後からでもまとめて読めるようにしてあります。
ご参考まで。

昨日は久々に大学講師をしてきました。
そのほかもろもろ明日、おりしもリアルタイム中継もないようなので、盤外の話題をまとめて書きます。

上記の正解は▲8五桂!
一歩を入手して▲3四歩(以下△5一角には▲2二角)が狙い筋で、実戦も狙いが実現して先手快勝。
守りの桂を捨ててまで歩を入手するというのは珍しい手筋です。
盤面を広くとらえることが大切ですね。

前例

昨日の中継は3局。
うち、大阪で行われていた、北浜ー澤田戦(王将戦)をお昼頃観てびっくり。
つい先日、自分の指した将棋と同じ展開だったので。

翌日に「この内容では鑑賞に堪えないので、今回は図面は控えます」と書いたのですが、まさかこんなことが起きるとは思わなかったので、簡単に触れてみます。

前例を離れたのがこの局面。自分が後手で、相手は遠山五段でした。
その将棋は、△5一金右に代えて△2八飛と王手し、以下▲7八銀△4四馬▲4一桂成△2九飛成▲3二飛△5二歩▲4二成桂と進んで短手数で負け。

△4四馬という手は、▲2二飛の攻めを防ぐ意味で(昨日の将棋では▲2二飛△3二銀合のあと、△4四馬から飛車を取りに行く展開になった)、かつ敵玉もにらむ形になるので本筋だと思いました。
しかし本譜の攻めが早く(実は▲6一桂成△同玉▲5五角のような手を予想していました。読みが甘い)、一気に負け筋になってしまいました。

激しい展開だったので、一気に負けてしまったこと自体に悔いはなく、それだけなら↑のようなことは書かないのですが。
実はこの変化は杉本七段の本を読んで、なるほどそんな手がと思った程度で軽い気持ちで飛び込んでしまったので、それが良くなかったと反省しています。
当たり前ですがプロとして、もうすこし自分の頭で考えてから指さないといけなかったなあと。
ただ、面白いと思ったら分からないなりに挑戦する気持ちも大事なので、そこの折り合いは難しいところですね。

(途中の△6五金という手がそれで、↑の本の「藤井聡太の衝撃」というコラムに書いてあります。
他にもいろいろオススメできる内容なので、興味のある方はぜひどうぞ)

 

で、その対局の感想戦で△5一金右という手を指摘されて、だいぶ検討してなるほどこれが最有力かという話になったのですが、昨日の感想戦コメントでは真逆のことが書いてあって、つまり将棋は難しい。
ただ検討結果が全く異なるということではたぶんなくて、△2八飛▲7八銀合に△4四馬ではなく△5一金右とした場合、▲4一桂成△同金に▲3九金と打たれる可能性があるので、△2八飛と王手せずに単に△5一金右を選択した。
というニュアンスだと思います。
本譜は△2八飛▲7八銀を保留した結果、数手後の▲5二銀から澤田六段が一気に寄せ切ったわけですが、本当に寄っていたかどうかは、簡単ではなさそうなので、もうすこし考えてみます。
(2度あることは、3度あるので、また公式戦に現れてもおかしくない)

ところで、その遠山編集長は、最近充実しているようで。
昨日の戸辺七段との将棋があまりに快勝で、自分が吹っ飛ばされたのも何だか納得してしまいました。
とても鮮やかな終盤だったので、鑑賞をオススメしておきます。

今期は竜王戦で3組は村山七段(優勝)、4組は千葉六段、5組は伊藤五段が、決勝進出。
前期の順位戦では横山六段(B2へ)と西尾六段(C1へ)が昇級。
など、同世代の棋士が粘り強く活躍しているので、自分も頑張らなくてはと、いい刺激をもらっています。

今日は女流王位戦第2局、舞台は北海道。
戦型は相振り飛車になっています。

 

勝ち

自分で言うのも何ですが、こないだとは別人のような良い内容の将棋で、大熱戦でした。
最後は秒読みで完全な指運勝負になり、結果幸いしました。
終盤がかなり難解で面白い将棋だったので、後日改めて調べてから、図面を載せたいと思います。

昨日は竜王戦、王位リーグ、王座戦本戦と、大きな勝負で中継が目白押しの一日でした。
対局の日はときおり他の対局ものぞきに行くことがあります。
午前中、目を引いたのがこの局面。(王位リーグ、佐藤名人ー佐々木五段)
両者、飛車先の歩が成れるという、なかなかお目にかかれない状況で、パッと見ただけではどちらの手番かさえ分からない局面です。
(さすがにすこし考えたら分かりました)

感想戦コメントを読む限り、お互い妥協せずに指すとこうなるみたいです。
これでバランスの取れた勝負だったらすごいけど、本当なのかなあ。という感じですね。
最近ちょくちょく見る形でもあるので、かなり研究が進んでいるのでしょう。

この将棋はこのあと、終盤が見ごたえある大熱戦に。
帰りの電車で観て、さすがに勝ってる者同士の戦いだなあと一手一手に感心させられました。
本局は観戦記も掲載されますので、ぜひご覧ください。

王座戦ではノスタルジックな気分になってしまいそうな、角道を止める振り飛車vs居飛車急戦が登場。
こちらも観戦記つきの将棋でした。
駒得の居飛車が優勢だったように見えましたが、これで大変なのでは、居飛穴に流れてしまうのも無理はないかと思ってしまいます。
菅井七段は世代的に、あまりこういう将棋は経験がなくても不思議はないところですが、うまくさばくものですね。
大山先生の将棋を観ているようでした。

全棋譜は将棋連盟ライブ中継で。
このリンクや図面を貼るのは久々ですね。

 

盤外の話題。
昨日、こんな冊子を受け取りましたので、この場にてご紹介、御礼申し上げます。
(※郵便物は、連盟気付でお送りいただけると、必ず届きます)

沖縄にはご縁あって、数年前に一度、将棋の仕事でお邪魔しました。
那覇と宜野湾で指導対局をして、帰る前には美ら海にも連れて行っていただきました。
その後2回、観光にも行っています。
また行く機会があればいいなと思っています。

しばらく前には、青森からもこんな冊子を送っていただいたことがありました。
プロと同じでアマチュアの方々も、力を尽くして戦った棋譜がこういう形で残るのは、嬉しいものだと思います。
これからも全国各地で、楽しみながら指し、楽しみながら普及に努めていただけたらと願っております。

本日対局

予約投稿が案外、使ってみると便利なので、多用しています。

今日は竜王戦で青嶋五段と。
注目の若手の一人との対戦です。
心地よい緊張感をもって臨みます。

前回の対戦は彼の得意戦法のひとつである相穴熊に飛び込んで、いいところなく負けてしまいました。
今回は良い勝負にできればと思います。

将棋世界

6月号が発売中です。

前にも書いた通り、熱局プレイバックを楽しみにしていましたが、そういう結果でしたか。
もちろん大変な熱戦だったとは思うのですが、詰みを逃すという結末になった将棋が1位というのは、ちょっと意外でした。
名人戦の一斉解説会で、多くの棋士がリアルタイムで観戦していたことも、影響があったような気がします。
そういうわけで、2017はこないだの名人戦第3局が、かなり有力かもしれません。と預言しておきます。

あとはどの将棋も自分も候補に考えていた将棋ばかりで、意外なものはなく、全体としては棋戦がよくばらけた印象です。
NHK杯や銀河戦が1局もなかったのは意外でした。
それだけ、候補が多かったということかもしれません。

藤井四段の自戦記、見た目通り、しっかりした文章で中学生離れしています。
彼の文章が読めるのはいまのところ将棋世界だけ、でしょうか。

升田幸三賞の選考経過、
「いまのプロの将棋はなんらかの形でソフトの影響を受けており、明確な線引きは難しい」
というのはたしかにその通りで、考えさせられました。
なかなか「創造」が難しい世界になってきました。
その中でどう個性を生かして戦っていくか、自分もいつも悩んでいます。
息苦しさも感じる中で、なんとか自由に、新鮮な気持ちで指していきたいです。

棋王戦第4局の記事、第9図から△8六角成▲7七金打というのはなんとまあ、すごい攻防。
こんな手順が落ちているとは驚きで、ぜひ実戦で見てみたかったです。
ちなみに△8六Xは、桂以外にも香とか銀とか、過去の公式戦でも現れているので、ソフトの影響はないと思われます。

電王戦の記事は、妹弟子の連載とどことなく似ているなと途中から思っていたら、案の定「チャンク」という言葉が出てきてやはりと膝を打ちました。
この記事の真ん中からすこし下あたりを参照)
面白い記述なので、すこし長いですが引用します。

 認知科学では、知覚される情報の単位のことを「チャンク」と呼ぶ。将棋におけるチャンクとは、初級者にとっては一駒一駒のことを指し、中級者にとっては囲いや戦型など部分的な駒の集合のことを指す。そして、棋士などの上級者にとっては盤面全体を指し、1つの塊として素早く認知する。
棋士は記憶力がよいと思われがちだが、決してそういうことはなく、複数の部分的なチャンクを1つに統合することで限られた記憶容量を効率的に扱っているとされている。

思考の言語化は、もう10年以上ずっと考えているテーマなのですが、最近は世の中に出ているこうした文章から、教えられることが多い気がします。
この「チャンク」というのはこれから、注目のキーワードになる、かもしれません。

たとえば本で「手筋」や「格言」などを勉強することは多いと思います。
この部分的な形のひとつ一つが「チャンク」であり、上級者ほどそのつながりや組み合わせの善し悪しを、広く深く、そして正確に理解しているということになるかと思います。

ソフトの影響で、プロがいままで知らなかった、あるいは正しく評価してこなかった「チャンク」がたくさん登場しているのが、いまの将棋界の大きな流れだと自分は理解しています。
それが今回の升田賞の「矢倉相手の左美濃」であったり、角換わりの「2八飛・5八金ではなく、4八金・2九飛」であったりということなのではないかと。
ではそれをこの先どう自分に取り入れていったら良いのか、というのが難しいところです。