びっくりした手

藤井四段、また勝ちましたね。
昨日の将棋は、得意の早い桂跳ねを、平藤七段があえて誘ったように見えました。
中盤まではやや苦戦に見えましたが、どうだったんでしょう。
彼の将棋は、一局を通しての安定感がすごいと感じます。

昨日は観戦していて、驚いた好手の多い一日だったので、いくつかご紹介したいと思います。

まず、昼間は女流王位戦第1局。(新聞三社連合・神戸新聞)

この局面で▲6三歩が、「と金の遅早」の応用で好手。
と、後からなら言えるものの、前からの読み筋にはかなり入りにくい手だと思いました。
▲6二歩成~▲5二と、までの間に、有効な手が難しいのですね。
藤井四段も強いですが、里見さんも相変わらずの強さです。

夕方は、青嶋五段ー佐藤名人(王座戦・日経新聞)から。

この△4八歩も、実はかなり驚きました。
というのも、次に△4九歩成としても、まだZの形なので。
さっきの▲6三歩(▲6二歩成~▲5二と、として初めて意味がある手)と同じで、もう一手指してもまだ何でもない、という手は、プロは習性で軽視してしまうところがあります。
代えて△3六桂か、もしくは△5五(もしくは6四)角打のような手が凡人の発想でしょう。

ここがちょうど夕休だったので自分もすこし考えて、次の手は▲3三銀と予想しました。
(ちなみに次の狙いは▲4四銀成ではなく、▲3二金の詰めろ。実際、有力手だったとは思います)

ところが実戦は▲4二銀!
こんな鮮烈な手は久々に見ました。
かつての広瀬ー村山戦(C1)とか、広瀬ー羽生戦(王位挑決)とかを、思い出しましたね。
青嶋五段の将棋はいろいろな戦型、いろいろな指し手が出てきて面白く、以前から注目しています。
当たり前ですが、注目の若手は藤井四段以外にもたくさんいます。

そして夜戦に入り、豊島八段ー藤井九段(竜王戦・読売新聞)から。

次は△7九金と食いつく数の攻めが狙いで、▲9八金と逃げる手には△8九金と追いかける手があります。
(▲同玉なら△7九竜で詰み)
ところがここで▲9八香!が新手筋。
この手はたまに、玉を9九に引いて、「ナナメ駒がないと詰まないよ」という形を作るために出てくることがあります。(ご記憶あれ)
しかし、▲9九金と逃げるための香の移動は、見覚えがありません。
そもそも8九に金がいることが珍しいからでしょう。
いつかまた出てくるときのために、覚えておかないといけませんね。

取り上げませんでしたが山崎ー澤田戦(王位リーグ)も200手を超える大熱戦で、昨日は一日中将棋観戦を楽しめました。

今日は既報の通り連盟の役員選挙がある関係で、対局は女流棋戦が1局のみです。
自分はもう投票は済ませたので、今日は行きません。
その話は、またのちほど。

挑決

昨日の棋聖戦は既報の通り、斎藤七段が勝ってタイトル初挑戦。
終盤はリアルタイムで観戦していて、見ごたえある攻防が続いて本当に面白かったです。
▲8四角は指されてみれば当然ながら気が付かない受けで、あのあたりは形勢はともかく残り時間のこともあって糸谷八段のペースかと思っていました。
その前後、残り時間の少ない中で、冷静な指し手を続けた斎藤七段は見事でした。

中盤の△5五角や△7六飛、終盤の△9八銀!など、冷静な指し手の中にもかっこいい手をたくさん織り込んで、素晴らしい作品を作り上げたと言えるのではないでしょうか。
1日をかけて1局の将棋を指すというのはまさに非日常の世界で、その一日ずっと注目を集めて、そして名局、名作を生み出すというのは、さぞ充実感のあることと思います。

ツイッターのタイムラインで誰かが言っていましたが、棋聖戦はこれで3期連続平成生まれの挑戦者だそうですね。
徐々に年齢も下がっていて、斎藤七段はちょうど自分と干支が同じ世代です。
和服とかメガネとか、ファンにはそういう方向の見どころも多いそうなので、何かと盛り上がってほしいです。

 

今日は図面はナシで、このブログの話をすこし。

実はひっそりと、日々マイナーチェンジを繰り返しています。
メニューをつけてみたり、プロフィールとか固定ページの中身をすこしいじってみたり。
毎日記事を書く時間はどんなに長くても1時間と決めていて、他のことは、気が向いたときにちょこちょことやっています。
前にも書きましたが自分の知らなかったこと、できなかったことができるようになるのはなかなか楽しいです。
自分の城を持ったような楽しさがありますね。

いま悩んでいるのは、簡単にできることと、できないことの区別がつかないことです。
とりあえずgoogle先生にお伺いを立てるわけですが、どれぐらい難しいのかは、実際にやってみない分からないので。
たぶん慣れてくると、感覚で分かるのだと思いますが、いまはまったく、羅針盤が働かない状態なんですよね。
投稿時間が表示されないのが、目下のとても小さな悩みです。
(たぶん選んだテーマの問題なのだと理解して、あきらめました。)

あと、昨日と一昨日だけ、ためしにフォントを大きくしてみました。
読む人にとっては、どっちが筋が良いんですかね?

あとはヘッダー画像をなんとかしようとか、タグを打とうとか、考えているところです。
今後もときどき変化しますので、ゆる~く見守っていただければと思います。

 

今日は女流王位戦5番勝負の開幕局、舞台は姫路。
三間飛車対銀冠の対抗形に進んでいます。
加えて、竜王戦1組、王位リーグ、王座戦本戦、そして藤井四段の対局(棋王戦予選)もあり、注目局めじろ押しの豪華な一日です。
将棋連盟ライブ中継でお楽しみください。

 

続・藤井四段

昨日の話題の続き。
その後も、テレビのニュース番組やワイドショーなど、反響が大きいようですね。
自分も、いくつか観ました。
彼の天才ぶりに注目が集まるのは当然として、その後、将棋界のことや将棋そのものに、注目してもらえるようになると良いですね。

羽生七冠誕生のときは、広島に住んでいる中学生だったということもあり、当時の反響はそこまで記憶にありません。(さぞ、すごかったはずです)
ただ、その頃まで奨励会入会者が少ない年が続いていたのが、その後急に増えてきたという記憶ははっきりとあります。
平成10年入会者が特に優秀で、佐藤現名人に広瀬八段・糸谷八段とすでに3人のタイトル獲得者を輩出しているというのはいまでは有名な話。
七冠誕生から4年後の平成12年、ちょうど2000年に東京に出てきた自分は、そのときから急に、強い後輩たちを意識して三段リーグを戦うことになりました。

時代が違うので、どうなるかは分かりませんが、もしかしたらまた、プロを目指す子どもが一段と増えてくるかもしれません。
そのためにも、競争の先にあるものを、しっかりと守り育てていくのが、自分たちいまいる棋士の務めと思います。

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こないだの藤井ー羽生戦の解説に関して、渡辺竜王がブログを更新していて、興味深く読みました。
個人的には桂馬の価値うんぬん以上に、「プラス500点」への捉え方に興味を持ちました。
自分自身は、将棋を点数でとらえるのは本質的ではないと思うものの、数字で示されてしまうとどうしても価値観の修正を迫られるので、あのように明快に自分の見解を述べられるのは、さすがと思います。

「評価値」というものについて、自分の思うところを少しだけ。
将棋は完全情報ゲームなので、本来であれば局面評価は1、0、-1の3通りしかないはずです。
(結論は勝ちか引き分けか負けのいずれかしかない)
にも関わらず局面ごとに評価値が上下するというのは、それだけ将棋が(いまの)コンピュータにとって難解で、ゆえに正確な形勢判断ができていないということだと、自分は考えています。
それなのに数値の大小に目を奪われるのは、何かが間違っているのではないかと思うのです。

電王戦を初めてナマで観た、船江ーツツカナ戦の日以来、ずっと変わらずそう考えています。
ただコンピュータの大局観が向上してきたいま、それなりに有用であることも事実なので、いかに折り合いをつけるか、だと思っています。

局面に点数をつけて、その評価を自分に取り入れるというアプローチは、趣味のバックギャモンでは10年以上前から(自分も含めて)多くのプレイヤーが行っているので、それ自体に違和感はまったくありません。
ただ将棋の場合は、ゲームの性質上明らかに本質的ではないと思うだけです。
本質的でないことは明らかだけれど、正しい可能性も高いという状況が、今後もずっと続くので、なかなか厄介な状況ではあります。

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この話、まだまだいろいろ書けるのですが、けっこう長くなったのでいったんこのあたりで。

昨日の中継は、2局とも夕休の時点では先手が良いと判断して、そうつぶやいたのですが、後で考えると、塚田ー野月戦は、後手が良かった気がします。
高橋ー阿久津戦は、▲8一桂成と飛車を取った手が意外で、先に▲5八玉と早逃げするのかと思っていたのですが、どうだったでしょうか。
この将棋は、その後一手指したほうが良く見える熱戦で、面白い終盤戦でした。

人間は、(特に自分の実力では)コンピュータ以上に間違いが多く、かつ、考えが揺らぎやすいのも確かです。
でも自分は、棋士は評価値よりも、盤面と向き合うべきだと思うので、今後もなるべくそうします。
上記のような、中継を観戦しての感想や解説は、誰の手も借りずに書いているので、結果として間違いもあるかもしれませんが、それも含めて、楽しんでいただけたらと思っています。

今日は棋聖戦挑決、戦型は横歩取り。

 

ニュースバリュー

昨夜のAbemaTV・炎の七番勝負は、既報の通り藤井四段の勝ち。
本局も、本当に強い勝ち方でした。
対戦相手の羽生三冠、放映に登場した佐藤名人、モバイル中継で解説した渡辺竜王、トップ棋士せいぞろいで、皆さん感心しきりだったようですね。
それも当然と思える将棋の内容でした。

あまり安易に「天才」という言葉を使うのはどうかと思いますが、さすがにここまで規格外だと仕方ないですね。
一部報道では「神の子」という表現を使っている記事もありました。
実は仲間内で、そう呼ばれていた後輩棋士が他にもいるので、ちょっとした違和感を覚えつつも、なるほどという感じです。
終盤の場面は、後手から△8七歩と打てず(二歩)、先手からは▲8七歩と合駒があってまさに「一歩千金」という状況で、まるで将棋の神に祝福されているかのような、美しい収束と感じました。

次の日曜夜に再放送があるようですので、改めてご覧になりたい方はぜひどうぞ。
【4/25 追記】期間限定で、オンデマンド配信の無料放送もあるようです。

終局後は、各社一斉にかなり報道していただいたようです。
この対局はあくまで非公式戦なので、ある意味では内輪の出来事でもあると思うのですが、もはやそういう感じではなかったですね。
もちろん、新四段が羽生先生に勝つというのはとんでもないことです。
ただし、別にタイトルが動いたとか、そういう話ではありません。
にも関わらず、将棋界だけではなく、社会に対して大きなニュースバリューがあると判断されたことが、本当に素晴らしいことだと思います。

この数年間で、将棋に関するニュース・報道は目に見えて増え続けてきました。
以前であれば将棋界内部の話題にとどまっていたようなことが、一般のニュースになったり、あるいは将棋の大きなニュースが、あれもこれもすぐにトップニュースになったりという変化を、日々実感していました。
そう仕掛けた面もあり、気が付いたらそうなっていたという面もあり。
後者のほうがはるかに大きいですが、努力がそれ以上の結果となって跳ね返ってくるのは、理事職を務める上でも大きな活力になっていました。

いまなお、その流れは続いていると思います。
僕が将棋界の未来は明るい、と繰り返し書いてきた一番の理由はここにあります。
「将棋」それ自体、そのものが大きなバリュー、価値のあるものに、なってきました。
もちろん、元々がそうだったのです。
でも、それが目に見えて具現化されてきた。素晴らしいことです。

ところで、藤井四段、14歳。
いま、奨励会員として棋士を目指している子の多く、おそらくは半数ぐらいかそれ以上は、彼より年上ということになります。
あまりに途方もなくてくじけそうにもなると思うけれど、将棋が好きで続けていきたいのであれば、どうかあきらめないで頑張ってほしいと願います。

自分の場合は三段リーグを抜けるのに10期かかって、22歳で四段になりました。
ひとつ一つの例を挙げるまでもなく、棋士人生もそれぞれです。
世間は誰かと誰かを比べたがるものだけれど、大事なことは、目の前の将棋を頑張ることです。
そこには何のニュースバリューもないかもしれない。でも、何よりも大切なことです。
僕もその気持ちだけは、これからも忘れないようにしたいと思っています。

炎の七番勝負

本日、いよいよフィナーレを迎えます。
最後は羽生三冠が登場。
ここまで藤井四段の5勝1敗。すごい、すごすぎるの一言です。

最終局を前に、羽生三冠のインタビューがありましたのでご紹介しておきます。
「このまま定跡になる」とは大変な評価で、改めて驚かされます。
19時から、お見逃しなく。

今日は久々にバックギャモンの大会に出るので、予約投稿です。
短いですが、今日はこれだけで。

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