6/14 高野四段戦

前局の完敗から気を取り直して、1週間後の対局でした。
棋王戦の枠抜け(予選決勝)で、自分にとってはかなり大きな一番です。
モバイル中継もあり、ここで良い将棋が指せたのは本当にうれしいことでした。

前の石井戦に続いて、先手中飛車。
つい先日の郷田戦も含め、今期棋王戦は振り駒で5連勝と、幸運が続いています。

本局は序盤から定跡を離れた進行になりました。
(ただし類型はありそう)
棋譜コメントにも拾われている通り、けっこう毎回違った戦いになるのは、いまの先手中飛車の魅力の一つではないかと思います。

中盤ではいままでの自分らしからぬ、単純明快な攻めを繰り出しました。
いわゆる戸辺攻めです。いままで受けることはあっても、自分がマネすることは少なかったと思います。
大げさに言えば、世界観が広がった感じがしました。

さて、勢いよく攻め込んだその後は、変化膨大で非常に難解な終盤戦でした。
棋譜コメントにかなり詳しく書いていただいているので、ぜひそちらも読んでいただきたいと思いますが、後日調べてみるとさらにいろんな手が出てきて、正直なところ結論が分からない局面も残りました。

勝負の分かれ目となったのはこの場面。

現局面、後手玉を詰ますにはもう一枚駒が必要。
しかし自玉は△2八銀▲4八玉△3九角以下の詰めろなので、▲7二竜と飛車を取っている余裕はありません。

ここで▲1七香!を発見して勝ちになったのではと思いました。
もし△同香成▲同桂と進めば、これが▲3三銀△3五玉▲3六香までの詰めろになる、というところにこの手の価値があります。

実戦は△1六歩。これも詰めろ(△2八銀▲同玉△1七歩成以下)なのですが、▲4六歩!が4七に空気穴を作りつつの攻めになり、ぴったりです。
作ったような勝ち筋で、幸運に感謝しました。

棋王戦はこれで3度目の枠抜けで、先日初めて、本戦でも白星を挙げることができました。
七段初勝利
若手の頃は比較的相性の悪い棋戦だったのですが、最近は逆に相性の良い棋戦になりつつあります。
結果だけでなく内容的にも満足できる将棋が指せているので、引き続きこの調子で、頑張っていきたいと思います。

6/7 八代六段戦

前局のあと、ギャモンの大会でシカゴに出かけていて、帰国後の対局でした。
自分にとっては「ヒューリック杯」になって初めての棋聖戦だったのですが、本局は非常にまずい将棋になってしまいました。

振り駒で後手番になり、2手目△3二飛を採用。
初めて見たときは本当に驚いたものですが、最近は驚いてもらえないし、むしろある程度以上に対策ができてしまっている印象も受けます。
公式戦で初めて現れてから10年以上、男女合わせて170局以上の実戦例があるようで、時の流れの速さには驚かされます。

さてこの将棋は筋違い角一発で参ってしまいました。

▲3四角と歩を取る手が受からないこと自体は仕方ないのですが、その後▲3六歩~▲3五歩~▲3四歩を目指すのではなく(それもあるけど)、▲1五歩~▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2四歩の筋を狙うのが、振り飛車にとって手ごわい指し方になっています。

という知識はもちろんあったのですが、およそ考えられる限り最悪に近い条件の局面を作り出してしまいました。
ちょっと、いやかなりお粗末な序盤でした。

反省して、次は気をつけようと思います。

5/16 石井五段戦

3か月ほど前の将棋になります。
直前の竜王戦では難しい将棋を負けてしまっていたのですが、この将棋はうまく指すことができて満足の一局でした。

本局は先手番で中飛車を採用。
最近はプロ棋界全体で2手目は△8四歩が多くなっている印象で、このところ▲7六歩△8四歩▲5六歩という出だしをよく指している気がします。

その後、後手番超速からの銀対抗、というよくある戦型に。
30手目の局面は、先日の王位戦第3局と同じでした。
今後も指される形かもしれません。
5筋交換後に駒組みが進むので、独特の緊張感があります。

この将棋は、序盤をうまく指すことができました。
居飛車から仕掛けられた局面では、相手の陣形がまだ整っていないので、形勢をリードするチャンスが来ています。

熟考36分、ここで▲5二歩と垂らしました。
相手を動かして技をかける、振り飛車らしい発想でなかなかの手だったように思います。

中央の銀は、△6六銀▲同歩△同角と来てもそこで▲7七角とぶつけてさばけば良いという感覚です。
他には自然な▲7五歩や、▲9六歩・▲9八香なども有力で迷いましたが、もし▲5二歩が残ればほぼ確実にと金になるので価値の高い一手です。
▲5五同銀△同角と進めるのは一手もったいないし、6七の歩は消えて良い駒、という感覚は参考になるのではと思います。

実戦は以下、△5二同金▲7五歩△8八歩▲7四歩△8九歩成▲7六飛△6四桂▲7七飛△8六飛にいったん▲7五飛!が好手で優勢になりました。
先に駒損しても飛車をさばき、玉形の差を生かして攻め合いで勝つ。
というのは古来よりある振り飛車vs急戦の将棋の極意です。

さばけるか、押さえ込まれるかというのは常に紙一重なものですが、この将棋はうまくさばくことができました。

 

七段初勝利

昨日の対局は、先手番で中飛車を採用、序盤から馬を作られる将棋に。
ちょっと作りは良くなかったのかもしれません。
ただ振り飛車を多く指すようになってから、こういう指し方もあるのかな、と思えることが増えてきて、視野が広がってきた気もします。

形勢としてはやや苦しめの時間帯が長かったですが、一方でずっと難しいとも感じていました。
特に最終盤は本当に難解で、強敵相手にそこを競り勝てたのは大いに自信になりました。
モバイル中継もあったので、まだの方にはぜひご覧いただきたいと思います。

棋王戦本戦は3度目の挑戦で初勝利、また、七段昇段後ちょうど一カ月が経ち、ようやく初勝利を挙げることができました。
ここ2戦とは別人のような内容でした。
安定感がないのは課題ですが、良い将棋が指せて、勝てたことは素直に嬉しいです。

また、本戦なので観戦記がついており、地元紙の中国新聞にもおそらく掲載してもらえるものと思います。
それが何より嬉しいことです。
これをモチベーションにして、次も頑張ります。

 

今日は夕方から帰省予定、明日は毎年恒例の村山聖杯怪童戦です。
昇段が間に合い、直前に大きな白星で、今年は良い夏になりました。

しばらく東京を離れるので、明日から数日間は公式戦の振り返りを予約投稿で入れておきます。

では今日はこのあたりで。