将棋世界

新年号発売中です。

今月のメインは角換わり特集でしょうね。
谷川先生のインタビュー記事は内容的にも厚みがありますし、何より歴史を作って来られた重みがあります。
僕も若い頃ずいぶん勉強したことを思い出しました。

角換わりは10代の頃から30すぎまで、ずっと指し続けてきたのですが最近は指していません。
本当はいまでも指したいし、たぶん指せると思うのですが指し手の説明がつかないなと感じることが多いのがその理由です。
今回の特集も、かなりの分量を割いて説明されていますが、ほとんどのアマチュアの方にとってはやっぱり難しいでしょう。

ただ、これからもプロの将棋は難しくなる一方だと思いますし、いままでも(相対的に)そうだったはずなので、そこをうまく解説できるように努力したいですし、いずれまた自分でも指すようになるとは思います。
千田六段や増田四段の説明は、うまく急所をとらえていて解説者視点でも、参考になりました。

 

ただ彼らは、人間の棋譜は並べないそうで、これからそういう発言をする棋士が増えてくるのかと思うと、正直言ってちょっと心配です。
何せ我々は、その自分たちの棋譜を売って(スポンサードしてもらって、観てもらって)生きているわけなので。
自分たちの世界の大切な商品ですから、棋士ひとりひとりが、その価値を高める発言を心掛けるべきと個人的には思います。

いっぽうで、強くなりたいという純粋な気持ちは大切だと思いますし、棋力を高めるためにプロの将棋の必要性が相対的に下がっている、という事実も直視しないといけません。
僕はこのことには単なる強さとか勝ち負け以上に悩んでいて、プロがコンピュータ将棋を最終目標にしてどうするの?という気持ちはこうなったいまでも非常に強くあります。
プロの将棋を勉強することは、少なくともいまの自分レベルでは(つまりアマチュアの方々にとってももちろん)有用な方法と信じています。

 

弟弟子の西田四段の青流戦優勝インタビュー、「将棋を辞める心配をしなくていいのがうれしいです」の一言は、刺さるものがありました。
そういえばかつて自分も、まったく同じ気持ちだったことがありました。
あの頃はなんでもない局面で長考することが楽しかったです。

いつしかプロとしてキャリアを重ねるうちに、良くも悪くもプロとしての自分に慣れが出てきます。
初心忘るるべからず、とあの一文を読んで思いました。

ネット解説とか

来週は対局がつかなかったので、ここ数日はかなりのんびりしています。
昨日は一日夫婦で外出しているなど。
慌ただしい年の瀬の準備、のような、そうでもないような。

一昨日ぐらいから東京は急に寒くなってきましたね。
冬本番でしょうか。

 

今日はこれから将棋倶楽部24の大阪道場にて、東北ジュニア団体戦のネット解説をします。
東北地方は特に将棋のさかんな地域で、六県全域を挙げてのこうした大会やイベントが多く行われています。
数年前から始まった試みで、僕も前にも一度解説させていただいたことがあります。

また今日のNHK杯は稲葉八段ー藤井四段戦。
今回は生放送ではなかったのですね。
2度めのA級棋士との公式戦はどんな内容になるのでしょうか。

昨日の叡王戦は行方八段の完勝。
澤田君は得意の千日手実らず。3時間はやはり短かった?

 

なぜかブログの調子が悪く、短いですが今日はこのあたりで。

今週の中継局

今週はモバイル中継が多かったなと思って、数えてみたら27局でした。
熱戦の多い一週間だったように思います。
順不同で簡単にご紹介。

昨日のリコー杯は里見さんが勝って2-2のタイに。
こうなると流れ的に最終局は女流王座優勢な感じですが、加藤女王は何を持ってきますかね。
先後で2局ずつ、ほとんど同じような将棋になるとは意外でした。
中飛車は僕も最近よく指しているので、参考にしています。

A級は久保王将の快勝でした。
豊島八段がこんなに完敗するところは久々に見た気がします。
相振りという戦型選択も意外でした。
年明けからの王将戦でもいろんな戦型が見られそうで、いっそう楽しみです。
リーグ戦としては全勝が消え、混戦模様になりました。

それと昨日は棋聖戦の青野ー阿久津戦で懐かしの鷺宮定跡が登場!
スマホでこの将棋を観られる日が来るとは、なんだか夢のようです。
僕も奨励会時代、よく勉強した将棋で、今泉さんに挑んでは跳ね返された思い出があります。
何人もの棋士・将棋ファンが口々に「懐かしい」と声をそろえていましたね。
眼福の一局でした。

日付戻って水曜日、王位戦の畠山成ー宮本戦の兄弟弟子対決が、濃厚で見ごたえある一局でした。
鎮先生の解説コメントが、楽しさがこちらにも伝わってくるようで面白かったです。

朝日杯は二次予選が進行中。
4人のブロックを1日でまとめて消化する形式なので、必然的に中継局数が増えることになります。
全体としては、戦型や展開がバラエティに富んでいる印象を受けました。

叡王戦は本戦が進行中。
本戦入りでベスト16ですが、初回の今期はタイトル戦として見ると実質的にベスト8なので、早くもかなり大きな勝負です。
水曜日、佐藤会長の剛腕にはまたしても驚きました。
9九の香車を堂々と取らせる発想は、凡人には浮かびません。

今日は土曜日ですが同じ叡王戦が1局行われます。
休日の15時開始で20~22時頃佳境、という時間設定は観る人にとってはちょうど良さそうですね。

本当は図面を貼ってご紹介したい将棋ばかりですが、やりだすと大変なので今日はこのあたりで。
ファンの方々には読んで気になった将棋だけでも、観ていただけると嬉しく思います。

順位戦ほか

今週は昨日がC2の前半、その2日前がC1でした。
いずれも早い終局がいくつかあったほかは、熱戦が多い日だったように思いました。

どちらの組も、上位が星を伸ばしています。
将棋の内容を見ても、安定感がある感じで、このままかなりハイレベルな昇級争いになりそうですね。

藤井四段は、長い持ち時間で1分将棋になったのは昨日が初めてだったと思うのですが、相変わらず見事な内容でした。
ウェブ上のファンの声を拾うと、終盤の▲9七桂という手を絶賛している人が多かったです。
たぶん、動画解説を観ていたから、一様に感心したのでしょうね。
解説って大切だなと思いました。

その他上位は、今泉四段は快勝で全勝キープ。
キャンセル待ち1番手の伊藤五段は優勢な将棋を逆転されてからの粘り勝ち、ここまで回ってくるかどうか。

伊藤君と同じく、同期の遠山五段が降級点消去。
この年にして、初めての結果を出したのは見事ですし、親しい同世代の活躍は励みになりますね。
たまたま今日会う予定なので、お祝いしてあげよう。

C1のほうも、いろいろ面白い将棋が多かったのですがそれよりなにより、自分の将棋が珍しく頭から離れません。
一応感想戦ではそれなりの結論は得たわけですが、やっぱり自分の中で敗因がはっきりせず。
相手が悪かった、というのは困るんですけどねえ。

 

今日はA級が1局。
こちらは首位攻防戦で、全勝の豊島八段が勝てば挑戦にぐっと近づき、負ければ急に混戦模様、という一番。
ここまで5クラスすべてに全勝者がいる、という状況で年越しとなるとさすがにかなり珍しい気がしますが、どうなるでしょうか。

また今日は順位戦以外にも、リコー杯の第4局をはじめ、4棋戦6局と豪華な一日。
それらは今週の他の対局を含め、また改めて明日にします。

 

LPSAの蛸島女流六段が引退を表明。
蛸島先生は、自分が生まれるより前からの女流棋士で、この世界の創始者にして最大の功労者。
尊敬している棋士の一人です。

いつまでも情熱を持ち続ける加藤先生のような生き方にも惹かれるものはありますが、自分はどちらかと言うと、こうした潔さに、より感ずるものがあります。
長い間本当にお疲れ様でした。

これでいわゆる女流棋士一期生は全員引退ということになりました。
今年は外国人初のプロ入りという出来事もありましたし、女流棋界に限ってみても、とても大きな一年だったと言えそうです。

永世七冠

一昨日は将棋界にとって歴史的な一日になりました。

羽生善治が竜王位を奪回し、史上初の「永世七冠」の資格を獲得(連盟HP)
数多くのタイトル戦を戦った佐藤会長はじめ、スター棋士たちの祝福コメントが掲載されています。

当日の読売新聞の号外をはじめ、各メディアでも数多く、大きく報道されていました。
こちらは翌朝の読売社説。
羽生永世七冠 将棋史に刻む偉業を称えたい

 

今期の竜王戦は、振り返ってみると第1局が大きかった気がします。
開幕前は渡辺竜王の調子は普通で羽生挑戦者はやや不調、と見えていたのですがあそこからそれが逆転した気がするので。あくまで傍から見ての印象ではありますが。
腰掛け銀に対して持ち駒の銀を合わせた▲5五銀という手があったのですが、あれは気が付きにくい攻めで印象に残りました。

最後の第5局はすこし差のついた内容でした。
そういえば七冠達成の一局もそうでしたし、案外そういうものなのかもしれませんね。

羽生先生ほど将棋を勝ち続けた棋士はいないし、今後もまず現れないと思いますが、それでもこの永世七冠、その前の同時七冠、いずれも達成の前に、惜しいところで失敗しています。
こんなとんでもない記録を、一度逃しておきながら、再度チャンスが来て、モノにするというところがすごいです。

 

今年はあまりにも大きなニュースが多くて、本当にすごい一年でした。
十大ニュースとかで、ランク付けするとどうなるんでしょうね。

一夜明けた昨日も、大きなニュースがありました。

AI「アルファ碁」を改良、将棋・チェスでも最強

詳細はちょっと僕には分からないのですが(論文は英語だし)、この記事を読む限り、革命的な進歩を遂げたように読めます。
きっとまた相当なブレイクスルーがあったのでしょう。
碁のときがとにかく衝撃的だったので、そのときほどの驚きはありませんが、ルール覚えて2時間って。

今週も面白い将棋が多く、中継の話もしたいのですがまた明日にします。