今日の東京は台風一過のような感じで暑くなりました。
今週末は夏日になるとか、5月の概念を覆す気候になるとかいう話ですね。
昨日の大雨は、大変だったみたいですが大きな被害はなかったようで幸いでした。
ただ今年も(今後も)いろいろありそうで、日々の備えが大切ですね。
毎年が異常気象といった感じで、来年のオリンピックが心配です。

個人的にはこのところ予定が少ないので、昨日とかはほとんど家から出ないで過ごしました。
棋士の役得みたいなもんですが(?)もうすこし対局を増やして忙しくしないと生活にメリハリが出ないので、良くないですね。
一応、家ではなるべく将棋に気持ちを向けて頭を使うよう努力はしています。
これから夏に向けて、頑張っていきたいと思います。

名人芸

昨日は羽生九段が王座戦で勝ち、「1432勝」がニュースになっていました。
大山先生の記録に並び、追い抜くときにはもちろん話題を呼ぶと思っていましたが「あと一歩と迫った」がこうやって記事になるとは、やや意表を突かれました。
それだけ将棋の話題が、需要があると見られている証ではないかと思います。

いっぽう「次は藤井七段と当たるかもしれない」は注目ポイントではなかったようですね。いざ当たったらそれもまた話題にはなると思いますが。
羽生九段の次の対局はあさっての王位リーグ最終日とのこと、記録達成は時間の問題とはいえここで谷川先生がいったん阻止したら、それはそれでまた話題になりそうですね。

そして記録以上に、将棋の内容がすごかった。
夕方の局面では金損ではっきり不利に見えたのですが、そうでもなかったのでしょうか。あの切り合いで行けると見た大局観はすごいの一言です。
右玉で飛車先を突破されても指せている、といえばあの有名なパリでの竜王戦が思い浮かびます。
局面の雰囲気はだいぶ違えど、本局もまた、自分にとって驚きの踏み込みでした。

そして最後は1分将棋の詰むや詰まざるや、つい最近王位リーグでも似たようなことがありました。相変わらずの終盤力です。
戦型はいろいろで、早い時間から激しく切り結びながら最後にこうやって競り勝つ、というのはまさに「名人芸」だなあと、表題の言葉が浮かびました。

名人、といえば豊島新名人も昨日は対局で、竜王戦で勝ち。
こちらはじっくりした将棋で、いわゆる「難易度の高い将棋」だったのではないかと思いました。
ジャンルとしては角換わりなのか、相掛かりなのか、居飛車なのか振り飛車なのか。垣根を越えまくってましたね。

他の2局も含め、昨日の中継はどの将棋も大熱戦で、大いに堪能した一日でした。

告知とか

来月はこちらのイベントに出演します。
5年に一度の記念祭! 女流棋士発足45周年記念パーティー 申込み受付中
お知らせ自体はもうだいぶ前に(ちょうど2か月だったみたいです)出ていて、近くなったらお知らせしようと思っていました。
最近いろいろと新しいイベントも多いですが、こちら表題にもある通り5年に一度の祭典ですので、ぜひお越しください。

参加女流棋士(予定)としてズラリと書かれていますがそもそもほとんど全員参加なのではないかと思います。人数も増えて、壇上はさぞ壮観でしょうね。
ちなみに、僕自身も最近すっかりレアキャラなので、直接会える貴重な機会です。まあ、それはどうでもいいか(笑)

チラシによれば僕は弟子と一緒にクイズにチャレンジするらしいですが、何をどう勉強して行ったものか。どんな感じになるんだろう?
なお、早押し機は結局買ってません。

 

女流棋士つながりでもうひとつ記事をご紹介。
奨励会を退会したきっかけは?―加藤桃子女流三段が語る、今の気持ち【女流棋士とデザート】

奨励会を退会することで、かえってプロとしての自覚がより必要に迫られるというのは、なかなかできない経験かもしれません。
ローソンプレゼンツのインタビュー記事ももう何人目でしょうか?だいぶ恒例化してきましたが中でも印象深い内容でした。

では今日はこのへんで。

逆転人生

しばらく前にご紹介した今泉さんのNHKの番組、録画して放映の数日後に観ました。
かなり熱心に取材していただいたおかげで、良い仕上がりになっていたと思います。
今泉さんとの三段リーグでの一戦は、僕が棋譜を残していたのを提供しました。
投了の盤面も忠実に再現してくださったようです。

奨励会の棋譜は、残っていないという棋士も多いと思いますが、自分の場合はほぼすべて残しています。たしか入門したときに師匠にそう言われたのだったと思います。
そういえば都成五段も「師弟」のインタビューで、谷川先生に棋譜を送っていたというエピソードを話していました。
6級のときはその日に指した3局すべてを家に帰ってから書くのは大変だったような記憶がありますし、間違っている可能性もあるんですが三段リーグとかは全部正しく残っているはずです。
使う機会があることがあるとは思っていませんでしたが、役に立つかどうかとかは関係なく、棋譜はいまでも宝物です。

退会後のことは今泉さんの著書でも語られているエピソードが大半だったと思いますが、改めて考えてもすごい話としか言いようがないですね。
棋士になれたということは一つの結果ですがそれ以上に大切なのは、前向きに生きるということなのかなと思います。月並みですが。

実はあれ以来、今泉さんとは盤を挟んだことはありません。あれからもう20年になるのですね。
それまでは数え切れないぐらい教わり、本当にお世話になった先輩です。
いつか公式戦で対戦する機会があれば良いなと思います。

とても良い番組でしたがただひとつ、あの盤駒だけはちょっと残念なところで、最近これだけメディアに取り上げられる機会も増えていますから、将棋連盟は各局に新しい盤駒をそろえていただけるよう働きかけていったほうが良いかもしれませんね。
そういえばフジ新社長に、現在将棋連盟の外部理事も務めてくださっている遠藤さん。とのこと。
遠藤さんは将棋ファンで相当な腕前です。
将棋界にとってさらに追い風になると良いですね。

新名人

既報の通り、名人戦は4-0のストレートで決着しました。
この結果はちょっと予想できませんでしたが、本局は特に、またシリーズを通しても挑戦者がとにかく強かったという印象です。
この第4局は、佐藤名人のほうにもミスは少なかったように見えました。
名人戦ですから当然のこととはいえ、本当に超ハイレベルな一局だったのではないかと思います。

思えば昨年の春は超過密スケジュールの中で名人挑戦をあと一歩のところで逃し、さらに王将戦七番勝負も敗退。
という状況から3つ立て続けにタイトルを獲ったわけですから本当にすごい活躍です。
将棋の内容が伴っていればおのずと結果はついてくる、というのはやはり本当のことで、しかしそれを信じて努力を続けられるというのはすごいことだと改めて思いました。

あくまで個人的な実感ですがこの1~2年で、棋士の棋力はかなり目に見えにくいところで、かつこれまでにない形で伸びている気がしています。
その中でこうしてトップに立つというのがどれぐらい大変なことなのか、ちょっと想像がつかないものがあります。
いまのトップのレベルは、そろそろ人間の限界に近づいてきている気もしていて、さらに伸びがありうるのかどうかというのは興味深いところです。

次のタイトル戦は豊島三冠と渡辺二冠の頂上決戦なので、そのあたりにも注目しながら見ていきたいと思っています。