監修本のまえがき(入門編)

昨日ご紹介した本の「はじめに」(監修者の言葉)に書いた文章を、出版社の許可を得て、転載します。

お読みいただいて興味を持たれた方は、ご注文いただければ幸いです。
今後学校の図書館などにも、置いていただける予定とのことでした。

勝つための将棋 入門編(理論社)

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いま、将棋が大ブームです。

最年少棋士・藤井聡太さんの大活躍や、羽生善治さんの国民栄誉賞受賞などで、「プロ棋士」の存在に注目が集まっているのは、同じ棋士として本当にうれしく思っています。
将棋は考える力や、「集中力」「決断力」などを養うことができるゲームです。
また、自分自身が集中して考えて、決断するだけではなく、必ず相手のこともよく見ていないと勝てません。「洞察力」を自然に養えるのが将棋の素晴らしいところだと思います。
そのほかにも論理的な思考力や判断力、先を見通す力など、たくさんの能力が身に付くと言われています。

私はプロ棋士になる前、奨励会三段のときに東京大学に進学しました。大学受験のときにはまず「合格のためには〇点取らないといけないな」とか「今週はこの科目を勉強して、来週は・・」といった感じで目標やスケジュールを考えました。問題を解くときには「こういう手順で解いていこう」というような筋道を立てた考え方や「たぶんこの部分が特に大事だろうな」と出題の意図を洞察する力が役に立ちました。いずれも、将棋を通じて身に付けてきた能力が生かされたと思っています。

もうひとつ、将棋で大事なことが、礼儀作法です。
将棋には「3つのあいさつ」があると言われます。「おねがいします」「まけました」「ありがとうございました」の3つです。対局を始めるときにあいさつ、終わったときにもあいさつ、これを忘れないようにしましょう。最初は慣れないかもしれませんが、毎回やっているうちに、自然と身に付いてきます。
将棋の強い人ほど、あいさつもきちんとしているものです。将棋で良い礼儀作法が身に付けば、毎日の生活習慣にも良い影響があることでしょう。

私も最初は、一冊の入門書がスタートでした。みなさんもこの本で正しいルールとマナーを学んで、家族や友だちと楽しく将棋を指してみましょう。
将棋を通じて、みなさんにたくさんの素晴らしい学びと出会いがあることを願っています。

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「洞察」という言葉をよく使うようになったのは、以前ある先輩に将棋の指導法について教わったことがきっかけでした。
将棋を通じて身に付くいろいろな能力については、今後もいろいろな形で話したり、発信していきたいと思っています。

入門書の監修など

このたび東大将棋部の後輩たちが、入門書を出す運びとなり、監修を務めました。

勝つための将棋 入門編
同 作戦編(理論社)

今年のはじめ頃に話があってから、「進行中の仕事」ということでブログにもそれとなく書いたりしてきたのですが、無事刊行の運びとなって大変嬉しく思っています。
大変な将棋ブームで多くの業界・企業が将棋に注目しているおかげで、こうしたいままで将棋界とお付き合いのない方々とのお仕事も増えています。
一棋士としてお手伝いできることは、これからもできる限りのことをしていきたいと思います。

最近周りを見ていてよく思うのは「将棋漫画」のように将棋をモデル・モチーフetc.にした書籍・雑誌・記事・番組・映像etc.がとても多くなっているということ。
そしてプロ棋士がその「監修」を務めている、というお知らせもよく目にします。
それだけ棋士の活躍の場が広がっている、ということにもなりますし、きちんと取り上げたいと思っていただいているということでもあるので、本当に喜ばしいことと思いますね。

さてその東大将棋部、昨日の富士通杯は劇的な展開で、惜しくも優勝を逃したようで。
学生棋界の層が最近また厚くなっているようで、秋の団体戦や年末の王座戦も、熱い戦いになりそうです。
また頑張ってください。

 

霧島酒造杯女流王将戦三番勝負 生中継のお知らせ
対局日のリリースだったので斜め読みしていたのですが、持ち時間が3時間になってしかも生放送なのですね。
突然のことで驚きました。

60年以上も続くNHK杯に代表されるように、テレビ将棋は早指し、というのがある意味で「常識」だったので画期的なことかもしれません。
反響に注目したいと思います。

一昨日のことなど

先日の対局のことでは、その後多くのメールやリプ・コメントなどもいただいて、反響の大きさに嬉しく思っています。
やはり良い将棋を指して、観てもらうことが大切だと気持ちを新たにしました。

これからも頑張ってこうした機会を増やしていけるようにと思います。
どうもありがとうございました。

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その夜は聖地ことみろく庵にてその日の中継・観戦の担当だったお二人と軽く一杯。
知人の将棋ファンの方にもバッタリ。将棋界あるある。

記者二人はモバイル中継草創期のメンバーでもあり、その後の歩みについて話に花が咲きました。
いまでこそ将棋ファンの間になくてはならないものになっていると思いますが、立ち上げにはいろいろと苦労もありました。

今日は残念ながら公式戦の対局がありませんが、昨日はJT杯の他に叡王戦も行われているなど、最近は土日の対局も明らかに増えています。
これは棋戦が増えたことと、中継(つまり観戦)の都合を考えていることが大きいです。
また対局開始時間なども、以前に比べると柔軟になりました。
開始から10年ほど経って、当時思い描いていた未来に、だいぶ近づいてきた感じがします。
あとはさらに将棋ファンが増えて、会員数があと5倍ぐらいになれば将棋界は安泰でしょう。

中継記者の新規採用をしたのもいまでは懐かしい思い出です。
公募、というのはこの狭いムラ社会(当時)ではかなり珍しいことだったはず。
その後若い記者も増えて、それぞれに個性を発揮して頑張っています。
それだけ将棋界の中にも、活躍の場が広がっているということだと思うので、とても喜ばしい変化です。

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この日は大阪で注目の山崎ー藤井戦があり、ついに森門下の連敗を止めてくれたそうで。
あとで観たら、相変わらずの内容でさすがでした。
藤井君は1回戦負けが初めてなのですね。それもすごい話です。

あとこの日は広瀬ー中田戦がコクのある中盤、形勢の揺れていそうな終盤、一局を通して面白い内容でした。
駒台に7種1式合計18枚も載ることは相当にレアだと思うのですが、あんなに持ってて自玉が詰まないのに、勝ちが出ないというのはやっぱり実戦の終盤は奥深い。
広瀬八段はいま本当に充実しているので、対戦できるのはとても楽しみです。

今月はこの後も週1で対局があり、他にもいろいろと予定が詰まっています。
体調を整えて、一日一日を生き生きと過ごしていきたいと思います。

勝ち

昨日の対局は、先手中飛車で序盤からあまり類型のない乱戦に。
棋王戦ではこれで4連投になりましたが、どの将棋も全然違った展開になっていて、いろいろな景色を見られる楽しさがあります。
白星が続いている理由は自分でもよくわかりませんが、積極的に指せているのが良いのかもしれません。

本局は中盤以降、読みにない手をたくさん指されました。
中でも56手目の△4四飛打!にはびっくりしました。
ただ最終盤までずっと自信がなかったものの、形勢は悪くなかったようです。

記者の方に聞いたり、twitterのTLで見たりしたところでは、▲5七銀のタダ捨てが評判が良かったようです。
歴史的な妙手を連想させる符号、というのは気付いてなくて言われてなるほどと思いました。

実はこれは会心の一手ではなく、代えて▲4九桂と升目を埋めるのが良い手と読んでいたのですがそれは△4八銀!のタダ捨てで負け。
他に▲4七歩や▲4八金打などの自然な受けも利かず、これしかないと仕方なく指した手でした。
この段階での予定変更は致命傷になりそうなもので、実際負けなのではと思っていたわけですが結果的には勝ちになっていたようです。

その後も水面下ではトン死の変化などもあり、幸運な勝利でした。
昨日は朝からずっと集中して指せたのが、幸運につながったのかなと思います。

中継・観戦記のつく大きな舞台で良い将棋が指せて嬉しいです。
次の対局も頑張ります。