9/6 黒沢五段戦

王座戦の1回戦でした。

この棋戦は一次予選からタイトル戦五番勝負まで、すべての対局が同じ持ち時間というのが特徴的で、これはタイトル戦の中では王座戦の他には棋王戦だけです。
持ち時間5時間は自分としては一番好きな条件で、新四段の年に本戦入りあと一歩まで行ったのですが、その後は枠抜けの一番で負けたりして、なかなか予選を抜けられないでいます。

本局は相手の3手目▲6八飛から、角交換振り飛車の将棋に。
黒沢君の序盤はかなり個性的で、随所に工夫がありなるほどと思うこともあれば、ちょっと見ただけではさっぱり意味が分からないこともあります。

図は▲3八銀と上がってきた場面。
正直言ってこれは後者でした。
実際に対局者として一局指して、感想戦もして、だいぶ理解はできたつもりですがまだよく分からないことも多く残っています。

この形を見ると、電王戦の▲阿久津八段ー△AWAKE戦を思い出す人もいるかもしれませんが、あれとは形がだいぶ違って、打った角がタダで取られてしまうような展開にはなりません。
当然意味合いも全然違うということになります。

僕としては、打って来いと言われればこれはもう、△2八角と打つしかないところです。
角を打たないことももちろん考えましたが、一期一会になるかもしれないし、ここで打たないと後悔すると思いました。
ただ僕とはまったく逆に、初見で相手の研究範囲に飛び込むのは危険、ということで角を打たない人も多いと思います。
あるいはそのほうが勝率が上がるのかもしれないけれど、性格は変えられません。

△2八角以下は▲1六香△3三銀▲2六歩△1九角成▲3九金△1八馬▲2七角△1九馬▲5六歩と進み、難しい戦い。
途中の△1九馬では、△2七同馬と交換してしまう手もあり、それはそれでいい勝負でしょう。
本譜は最後の▲5六歩が味わい深い一手で、▲3六歩(~▲3七銀~▲2八銀の狙い)のときに△5五馬を引く手を防ぎつつ、▲5七銀の活用を見ています。

このあとは馬を切って角銀交換の駒損ながら、1六香や2七角の負担がどうか、という将棋になりました。
自信がない場面もあったので、もう一度角を打つかと言われたら迷うところです。
ただそれでも、勇気を持って△2八角と打ったことは、良かったと思っています。

実戦はその後、大きなミスをすることなく、結果も幸いしました。
中盤以降ずっと、良い精神状態で指すことができて、良かったと思います。

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