祝賀会と、AIのはなし

昨日は木村一基さんの九段昇段祝賀会にお邪魔してきました。
お祝いの席というと、公式な就位式・表彰式等の他に、森一門でも毎年恒例になっていますが、それ以外で出席させていただくのは、久々のことでした。

木村さんはお世話になっている先輩でもありますし、三段リーグで5期10年苦しんで、22歳でようやく四段になれた自分みたいな棋士にとっては、希望の星のような存在でもあります。
いつも多くのファンを大事にする姿勢や、抱腹絶倒のトークは、見習いたいものと思います。

昨日も本当に大勢のファンの方々がお見えでした。
おめでとうございました。

 

電王トーナメントは、いろいろと波乱があったようで。
予選5位と10位で決勝とは驚きましたね。
それぞれのソフトの個性や創意工夫までは僕には分かりませんが、ともかく実力伯仲ということなんでしょう。

そしてponanza引退ですか。
一成君があれよあれよという間にコンピュータ将棋界の申し子みたいな存在になって、ponanzaとともに成長していく姿は、振り返ってみるとなんだか感慨深いものがあります。

10年間お疲れ様でした。
またいつでも戻ってきたらいいと思うよ(笑)

 

1週間ぐらい前に、NHKの「人間ってナンだ?」という番組を観たんですが、最近のAIは不完全情報ゲームでも、かなり強くなっているみたいですね。
例として取り上げられていた人狼は、自然言語の能力にかなり左右されそうなので、いまはそれほどでなくても、言語能力の進化とともにある日突然強くなるのではと予想しています。
また麻雀のようにルールが明確で、他の知識を必要としないゲームならば、既に相当な腕前なんでしょうね。

AIに関して経験的に明らかなのは、彼ら(?)は常に自分(多くの人、と言い換えても良いと思う)の予想できないスピードで、かつ予想もしない方法で強くなる。
そして、そのスピードは常に予想よりは速い。ということです。

それを恐れる必要はまったくなくて、予想もしなかった未来が訪れたいまを、大いに楽しめば良いと思います。
5年後、10年後も、そういう気持ちを持ち続けている自分でありたいものです。

 

ソフトに負けてしまうと将棋界はどうなるのか、と不安に思っていた人は業界の内外問わずたくさんいたと思うのですが、僕の場合、かえって将棋が面白くなりました。
最近は観ていて本当に楽しいですし、毎日欠かさず将棋に接しています。
棋士として当然のことでもあるし、とても幸せなことだと思っています。

今日の中継は竜王戦が1局と、王将リーグが2局。

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