先日の王座戦の対局、最後に詰みを逃れて勝ったのは対局翌日に書いた通りですが、中盤にも印象的な場面がありました。
図は53手目の局面で、この6五歩の向きが何よりも重要と考えての着手。
善悪は分かりませんが人間の将棋は、こういう思想を持って指すことが大事かなと思います。
もちろん△同桂と取れますがそれは▲6六銀△6四銀▲6七金右という感じで難しい。
実戦は△6一飛で、杉本四段はこの手を後悔していたようですがそれはそれでいい勝負、といったところだと思います。
以下は中盤の難しいねじり合いです。
実は僕は、以前にこれと似た局面を経験していました。
それが下の図で、違いは後手陣の△1四歩と△7三桂のみ。
対局中は確信まではなかったのですが、調べてみるとやっぱり思った通りでした。
1年半前の棋王戦の将棋で、相手は杉本昌隆七段。
杉本姓のお二人と、これほど似た局面を迎えるとはなんとも奇遇です。
以下は△7三桂▲5五歩△同歩▲6六銀・・と進行、この後自分なりにうまく指せたこともあって、印象に残っています。
上の図で△1四歩とは指さないので、理論的に考えると上の図はこちらが悪いか、もしくは下の図はこちらが良いか、いずれかはっきりしそうなものですがよく分かりません。
当時も難しいと思ったし、先日も(前例より損なので)自信はなかったものの、やっぱり難しいと感じていました。
こういう場面に出くわすとき、将棋は難しいものだとつくづく思いますね。
対局前のエントリで久々に枠抜けの一番、と書いたのですが実は王座戦では、前期も予選決勝まで行ってそこで完敗したことを、後で思い出しました。
その将棋は阿部光瑠六段に珍しい序盤を指され、それなりに意義のある内容だったものの、当時はとても振り返る余裕などなくて、すっかり忘れていました。
最近は内容や結果はともかくとして、一生懸命指せていると思います。
それともうひとつ、大事なことを書いていませんでした。
本局は近藤六段による観戦記が日経新聞に出ますので、ぜひそちらもご覧いただけると嬉しく思います。
観戦記で勝局も久々のことで、たしか1年半ぶりだと思います。
また王座戦一次予選の枠抜けは、新四段の年以来なので、なんと13年ぶりのこと。
過去予選決勝で4回負けていたはずで、久々にチャンスをモノにすることができました。
次も良い将棋が指せるように、頑張ります。