2017年(1)

年の瀬に当たり、この一年の振り返りなど。

振り返ってみると、今年は身の周りが明るい話題に沸く中で、個人的にはつらいことの多い一年でした。
あんまりそういうことを考えるタイプではないんですが、僕は今年、ちょうど大殺界のど真ん中の年に当たるらしいですね。

過去2回がどんなだったか覚えていませんが、1993年は、奨励会に入会し、一方でいじめに遭って小学校に行かなくなった年。
2005年は、若手棋士としてそれなりに活躍、充実していた年だったような気がします。
この年、無事に大学も卒業していて、あまり悪いことは思い出せません。

 

さて今年の話。

2月末に2度の臨時総会を経て、理事職を解任されました。
クビになったということは、もちろんとてもつらいことではありましたが、解任でもあるけれど解放された、という言い方は不謹慎ながら、でも、そういう気持ちもそれなりにありました。
しばらくはこれまでの棋士人生では経験したことのないような、穏やかでのんびりした生活を送りました。

理事在職中はだいたい月に150時間ほどを仕事に費やしていました。
職務を離れてからは、自由な時間が増えたので、趣味のバックギャモンを再開し、毎朝ブログを書くことで生活のリズムを作ることを心掛けました。
休日に奥さんとどこかへ出かけることも、昨年よりはだいぶ増えた気がします。

春の終わり頃に恒例の将棋年鑑のアンケートが来て、その中に「これからの目標は?」という質問があり、「将棋に打ち込むこと」と答えました。
それしかない、と思ったことをよく覚えています。
将棋の勉強を再開して、勉強時間を徐々に増やして、生活のリズムをきちんと整えていけば、自然と集中できるようになるだろうと思いました。
ただ実際は、その後もなかなか思うようにはいきませんでした。

将棋ブームの裏側で、将棋界の内部では前の常務会を貶めたい人たちから、悪意ある噂話をいろいろと流され、聞かされました。
どうしてそんな根も葉もないことを、ということがたくさんありました。
そのたびに心を痛め、名誉回復の努力を試みたものの叶わず、夏頃と秋頃の2回ほど、明らかに精神的に不調をきたしてしまいました。
自分の人生では初めてのことで、在職中ならばまだしも、よもや一棋士に戻ってからこんなことになるとは、ちょっと想像できませんでした。

親しい人は、気にしても仕方ないよと言って励ましてくれたりもしましたが、悩むとか、考えるとか、落ち込むことを止めるのは、けっこう難しいものです。
眠れない夜も多くあり、そんなときは、軽く飲みながら本を読んで過ごしました。
社会生活に支障が出るようなことにまではなりませんでしたが、人知れず悩みや苦しみを抱えて、本当につらい日々でした。

ただブログやtwitterを読んでいてそうと分かるようなことは、おそらくなかったと思います。
明るい話題に目を向けることは、もちろんそうすることが将棋ファンのためと思うだけでなく、自分のためにもなっていたような気がします。
それとたまたま昨年、再婚して生活が安定していたのも、自分にとって本当に幸運なことでした。

その後、何かが変わったわけではありませんが、いまは気持ちの面でもだいぶ落ち着いています。
冬になった頃からようやく、将棋にもだいぶ打ち込めるようになってきました。
よく「心・技・体」と言われますがまったくその通りで、感情のコントロールに苦慮し、その方法と大切さを学んだ一年でした。
この経験はきっと今後の人生に活きてくることでしょう。

それ以外には大きな病気をするようなこともなく、不幸中の幸い、と言えるようなことは多かった気がします。
人間良いときもあれば悪いときもあるので、つらかったことは忘れて、来年はもっと良い年にできればといまは思っています。

明日に続きます。

 

2件のコメント

  1. 承認公開されることはないかもしれませんが、コメントさせてください。

    解任のくだりで、できれば三浦九段を思いやる言葉、せめて「冤罪事件について、直接担当したわけではありませんでしたが、理事のひとりとして・・・」のような一言が添えられていないと、「あれれ、片山先生は内心いまだ三浦九段を疑っているのかな」「例え疑っていないにしろ、最善を尽くした自負で理事解任には憤りを感じているのかな」などと、心配してしまいます。

    意識的にせよ無意識にせよ、片上先生の「暗い話題に触れたくない」という姿勢がそうさせたのかな、とも思いますが、その姿勢は個人的には賛成しかねるものの、ひとつの姿勢として尊重したいと思います。ただ、解任のくだりで事件に触れないのはさすがに不自然で余計な勘ぐりを与えてしまうと思うし、三浦九段を思いやる言葉が、ブログの文章全体を暗くさせたり、将棋界に悪い影響を与えるとは思いません。

    わたし自身は、わたし自身が疑っていないことは言わずもがな、「もう棋士の中にも疑っている人はいない」という平和な世界を信じたいと思っています。しかし、そうでない将棋ファンや一般の人々がいるのも事実で、そういう人々の疑念を、理事解任のくだりという機会を捉えて、ひとつでも払拭してほしかったと思います。

    いっぽうで、悪意ある噂話のくだりは、将棋界が平和でないことを示していて、やはり残念です。みんな仲良く。これに尽きます。

    1. >匿名さん
      年末年始にわざわざ長文のコメントありがとうございました。ありがたく読ませていただきました。
      もちろんまったく疑ってませんし、たしかに触れたほうが良かったかもしれませんね。

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