席次の話と、東西の違い

すこし前に、藤井君が六段に昇段したことで上座の対局が増えそう、という記事がありました。
それはちょっと妙なトーンの記事ではあったのですが、将棋界において席次というのはたしかに大事な伝統で、基本的には今後五段以下の棋士と指すときは彼が上座を占めることになります。

もし七段になれば当然六段の先輩(自分もだ)と対戦するときは上座になりますし、タイトルを取ればほとんどの棋士を相手に上座を占めることになるわけです。
それがルールですし、自然なことです。

いっぽうで対局前に上座の譲り合いというか、下座の奪い合い(?)をしている光景を見かけることもわりとよくあります。
それを日本的な美しさ、謙譲の美徳と受け取るかどうかは意見の分かれるところかと思うのですが、コアなファンの方はけっこうお好きな印象です。

席次はまず段位が上の棋士が上座で、同じ段の場合は棋士番号の若いほう(つまりプロ入りが早いほう)が上座、というのが原則的なルールになっています。
その他にクラスや順位や年齢等の要素で微妙な関係の場合もあるので、上記のような譲り合いが起きるのはほとんどが同じ段位の棋士が対戦するケースに限られます。
他に段位に差があっても、たとえば師弟や兄弟弟子等の事情があるケースもあります。

ただ、そういう特殊な状況でないのに、段位が上の棋士が下座で待つ光景は、個人的にはあまり好きではありません。
そもそも基本的にはすべてルール通りで良いと思っているので。
ただ対局に臨む気持ちは人それぞれなので、この方との対戦で上座はちょっと、と思うことがあるのは、理解できるところでもあります。

 

ところでこれに関連して、あまり知られていない話。

対局室フロアの入り口部分に、部屋ごとに名札が貼られてその日の対局が一覧になっているのは、ある程度詳しいファンの方ならよくご存じと思います。
(興味のある方は「対局室 ボード」などで検索してみましょう)

東京の場合、特別対局室から順に席次の高い棋士が占めていき、原則的にこのボードで右側に貼られている棋士が上座です。
つまり席次が上の棋士が右側に来るように、手合課の職員が配置しているのです。

ところがこれが関西だと逆になります。
つまり左側の棋士が上座です。
エスカレーターじゃないんだから、と関西に対局で行くたびに思っています。

そもそも別に表示してもらわなくても、棋士はお互いの関係でどちらに座るか自分で分かるので、このままで特に問題はないということなんでしょう。
気づいてはいるけど特に気に留めない、という棋士がたぶん大半で、そもそも気づいていない棋士もいるかもしれません。
自分の知っている範囲で少なくとも20年は変わっていない習慣で、いつからそうなっているのか、なかなかに不思議で面白いです。

ちょっとしたトリビアだと思うので、連盟HPのコラムに転載しておいてもらえないかなあ。

5件のコメント

  1. 「ところがこれが関西だと逆になります」
    すごい!めちゃくちゃトリビア(褒)!

    「そもそも気づいていない棋士も」といえば…
    何かの企画のクイズで、将棋盤のマス目の線上に4箇所打たれている「星」(黒丸)の存在に気付いていない棋士がいたことを、思い出しました。
    (記憶がだいぶ曖昧ですが、ニコニコの企画で、山崎先生で、囲碁にはあるけど将棋盤にはないと思っていた、みたいな理由だったような、気がします)

    1. 「点のあるなし論争」を思い出す話ですね。
      けっこう気付いてない棋士も多いのかも?

      1. 「点のあるなし論争」というものがかつてあったとは、いまググるまで知りませんでした。クイズの作問者も、それを踏まえた上での出題だったのかもしれませんね。
        脳内将棋盤が発達している棋士だからこそ、あまり実物の盤を見ていない・・・なんてことは、ないのでしょうけど(笑)

  2. お内裏様とお雛様の東西の位置の違いに似ていておもしろいですね。
    京雛では屏風を背に男雛が右、女雛が左ですが、関東ではその逆が多いです。

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