王座戦 注目の2局

王座戦準決勝の2局は、いずれも角換わり拒否・雁木模様の将棋に。
最近の相居飛車は素直に角換わりに進むか、角換わり拒否を拒否する(先手が早々に飛車先を決める)か、もしくはこの2局のように角換わり拒否の将棋になるか。の3パターンという感じに見えます。

一昨日の渡辺ー永瀬戦は、永瀬七段が模様が良さそうに見えましたが渡辺棋王の懐が深かったですね。
▲3四歩と取り込ませて大変、というのは旧来の相居飛車では珍しいことのような気がします。
ご本人のブログにある内容は、観ていたときの感想とまったく同じでした。

その後の「攻め過ぎがあって・・」というのはたぶん▲3三歩を繰り返したあたりのことなんでしょう。
▲7七桂の切り札をもうすこし早く切る手も有力だったと思います。
雁木は左桂が自由なのが長所ですがその使い方は極めて難しいです。

昨日の斎藤ー藤井戦は、期待に違わぬ大熱戦。
斎藤七段が終始完璧な(たぶん)指し回しで押し切ったのを見ていて、マークされるというのはこういうことなのだなと思いました。

藤井四段29連勝のときも徐々にマークがきつくなっている感じはありましたが、あの頃は周囲の熱狂もあったし、何よりデータが少なかった。なにせ一度も負けていなかったわけだし。
あの頃に比べると藤井将棋に関するデータも集まっているし前々からの蓄積があるので、対戦が決まる前から準備が可能になっています。
そんな中で勝ち上がっていくのは大変なことなので、(当たり前ですが)世間が期待するほどタイトル戦に出るというのは簡単なことではないと思います。

印象に残ったのがこの場面。

「なるほど」と検討陣も言っていた(らしい)通り、飛車を捨てるのは気がつきにくい組み立て。
ただここに書いてある手順は「あえて」そう書いただけで実際は▲7二銀とまずは銀を交換するんでしょ、と思っていました。

ところが夕休明けに実際に▲6三桂成△同銀と進んでびっくり。こんな常識外の手順があるんですね。
ここは対局者ならではの深い読みを見ました。
次の▲6七金左からは先手が良くなったとのこと、ならばまさか△6三同馬のほうが粘りがあったのかなあ。

自分は若い頃、こういう早々に戦いになってしまう将棋は、華々しい半面深みに欠けると錯覚していました。
長く濃厚なねじり合いが続く将棋こそが、プロの将棋というものであろうと。
ところがそうとばかりも言えない、ということが最近すこしづつ分かってきて、将棋の奥深さを再認識しているところです。

昨日の将棋は後手が居玉のまま30手すぎには本格的な戦いになり、↑の図でまだ60手足らず。
しかしここから100手を超えるまで熱戦が続きました。
本当にハイレベルな戦いになると、華々しく切り結んでも、お互いスレスレのところで急所は回避していて、決着しそうでなかなか決着しないんですよね。

本局も先手が正確に寄せていなければ、入玉をめぐる攻防がもっと長く続いたことでしょう。
それだけ斎藤七段の正確な終盤が光る一局だったと思います。

2件のコメント

  1. 今局、藤井七段が初めて自ら角道を止め角交換を拒否しました。
    戦形を限定した戦いから広げていこうとしているんでしょうか。
    本人の意図は本人に聞いてみなければわかりませんが、
    以前記事で書かれていた片上先生は角道を止めたのを見たときどう思われましたか?

    1. やや意外でした。ただこれはいずれは通る道だったと思いますし、斎藤七段もそれもあると準備していたように見えました。

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