棋士という職業

「泣き虫しょったんの奇跡」映画の公開がいよいよもうすぐで、反響が楽しみです。
僕も試写で見せていただいたのですが対局シーンへのこだわりが特に印象的でした。

撮影時の感想など。
ご本人のブログを読んでも本当に楽しそうで嬉しそうだし、素晴らしいことです。
この記念写真、いいですねえ。

瀬川さんの奨励会時代やその前後のことは、もちろん知らないわけですが編入試験のときはプロになったばかりの時分で、他人事ではなかったのでよく覚えています。
いま思い返してみてもあれはたしかに「奇跡」でした。
また自分自身、きっかけとなった銀河戦の2戦目で瀬川アマに負けていて、流れを作った一人でもありました。

当時の将棋世界の引用。
「泣き虫しょったんの奇跡」 前夜(将棋ペンクラブログ)

いま読んでみても、いろいろと考えさせられる記事になっています。
ああそうだったなあ、と思い出すことも多い。
当時の反響はもちろん大変なものでした。
また若いときにこうした大きなうねりを経験した自分にとっては、その後プロ棋士という職業について深く考えるきっかけの一つにもなりました。

“年齢制限に勝った”奇跡のプロ棋士・瀬川晶司さんが会社員を経験して気付いた、「好きなことを仕事にしろ」の本当の意味
ものすごく良い記事でしたので、ぜひ一読をオススメします。

自分の人生はなかなか面白いな

とそういえば最近僕も思いましたが、そう思えることは、とても大切なことだと思うんですよね。
棋士は誰もがそれなりに山あり谷ありで、大変なこともあるわけですがそれこそが面白さでもあります。

好きなことだけで食っていけるのか
同郷の陸上選手・為末さんのブログが面白くて、このところよく読んでいます。
この記事はたまたま時期が重なったので、関連づけて読んでしまいました。

25年という時間は自分の奨励会生活とこれまでの棋士生活を足したのと同じぐらいの長さなので、感覚的に近いところもありそうだなと思いました。
そして

最初の好きとは少し質感が違う

という感覚はよく分かる気がしました。

他にも市場というものに関しての考え方とか、参考になる点は多いです。

また「そもそも打席にも立たせてもらえないようになる」の例えで言うと将棋でも、プロ入り直後のときと比べて、キャリアを重ねると共に(レベルは上がっているはずなのに)注目されなくなって、指した将棋がメディアに露出しなくなる、という現象はしばしば起きます。
それでも淡々と努力を続けられるかどうか、はとても大切なのだと思います。

話は変わって、昨日は知人に昇段のお祝いをしていただきました。
淡々とした日々の中にあってとても嬉しい出来事で、こういうことがあるからこそ人はまた頑張れるのだと思います。
どうもありがとうございました。

ちょっと長くなって脇道にもそれましたがそういうわけで、映画の公開をお楽しみに。

1件のコメント

  1. なかなか面白いと感じられる貴殿の棋士人生のなかに、他の棋士の苦痛と怒りも絡んでいるのでしょうね。
    「面白い」の意味は深いです。

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