思い出の一手

昨日の中継、西川六段の△9四飛はカッコイイ一手でした。
ああいう手で居飛穴を倒せたら、振り飛車は楽しいですね。
そもそも振り飛車の将棋で玉側の端に飛車が飛び込んでくるというケースはめったにないと思うので、相当に珍しい新手筋ではないかと思います。

あれを見て思い出した、忘れられない場面があるのでご紹介します。

▲7六歩△8四歩▲5六歩という出だしから、力戦の相矢倉に進んだ中盤戦。
この指し方は最近あまり見なくなりましたが、有力な作戦です。

ここで△9四歩▲同歩△同飛!と突っ込んだのでびっくり。部分的にこう仕掛けた例はたぶん他にないんじゃないかと思います。

凡人は普通に飛車を取って下ろすか、あるいは△2八角とかでしょうか。
特に切羽詰まった局面でもないだけに、いきなり飛車から突っ込むなんて考えもしない人も多いでしょう。
ただ、矢倉の端は急所中の急所なので、指されてみるとたしかに厳しい攻めです。
コンピュータソフトも、この手自体はなかなか発見できない(?)ものの、指し手を進めると有力と判断するようです。

ちなみに、後手の棋士は佐藤康光現会長でした。
先手の棋士は「駒取り坊主」の異名で知られる長沼洋七段。突然の駒得に大喜びした・・かどうかは、覚えていません。

これに限らず、三段時代は数多く記録を取ったので、この時期は思い出に残る一手がたくさんあります。
また機会があればご紹介したいと思います。

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