研究の精度

王位戦第1局は、初日のリードを保って、豊島王位の完勝。
8五飛戦法vs中住まいの戦いは久々に見た気がしますが、本局はおそらく仕掛けの時点で、形勢に差がついていたのだろうと思います。
当たり前のことではありますが、序盤を飛ばして、しかも有利になるのであればそれに越したことはないですね。
研究の精度と幅広さの両面が求められる時代になったことを改めて感じました。
加えてそれを正確に覚えている能力や、有利になったあとでしっかりと着地する終盤力も大切です。

 

研究といえば、こないだの順位戦は、偶然にも前節に続いて佐々木勇気七段と隣で対局でした。
噂の新手
で、こないだも、またしても彼の指し手があまりに早くて、同じ時間帯にこちらはやはり重い中盤戦を指していたので、チラチラと見ていました。
おそらく終盤まで研究通りだったのだと思われます。

62手目△4九とまで

あとで中継を見ると、この局面まで、佐々木七段の消費時間は30分少々。
これは途中のどこか一手だけで、それ以上使ったとしても不思議のない数字です。
まあそれはまだ分かるとしても、ここで1分とかけずに▲7三馬と取ったのにはびっくりしました。

この局面をパッと見ると、一段目(王手)もしくは二段目(詰めろ)に飛車を打つ手も有力に見えると思います。
また▲7三馬という手は相手に手番を渡して怖いところで、これで勝ちと言われても、少なくともすぐには納得できないところです。
何より自分たちの世代だと、たとえ綿密に研究していたとしても「実戦の場で改めて読み直す」という価値観が身についているので、この手をノータイムで着手したことには、とても驚きました。

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昔もいまも、若い棋士はよく勉強しているものですが、こういう研究に対する絶大な信頼感は、おそらく自分たちの世代にはなかったもので、いまの若い世代との大きな違いではないかと思います。
それにはやはりコンピュータの影響が大きいのでしょう。

この将棋はすこし極端な例かもしれないとはいえ、研究しているところはできるだえ飛ばす、という豊島王位に代表されるスタイルは、(プロにとっては)比較的見習いやすい面もあり、今後はさらに主流になっていくのでしょう。
どこまでこの流れが続くのか、それと、人間はどこまで突き詰めてそのようにできるのか、という点にはしばらく注目していきたいと思っています。

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