今年度総括

今日は3月31日、年度最終日。
平成最後の年度にして令和最初の年度も、今日でおしまいです。
今日のモバイル中継は重厚なラインナップで5局。長い一日になりそうです。

自分自身の今年度公式戦は、NHK予選を除いて13-13でちょうど指し分け。
そこにNHK予選の3連勝が加わり、3つの勝ち越しで終えることができました。
昨年末から調子が上向き、好成績とまではいかないものの、出だしが悪かったことを思えばなんとか帳尻を合わせることができたという感じでしょうか。

今年に入って開幕した棋王戦、王将戦、NHK杯はいずれも勝ち残れましたので、年度が変わっても引き続き頑張っていきたいと思います。
最近は対局できるだけで幸せというか、勝ち負けをそこまで気にせずに盤上に集中できているので、今後もそういう精神状態を持続できるようにと思っています。
これはいままでの棋士人生では感じられなかったことで、自分自身の深い部分で変化が起きているのだと、良い方向に解釈しています。

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コロナの影響で、年明け早々から社会は一変しました。
よもやこんなことが起こるとは、思いませんでした。

この先どうなるかはまだ分かりませんが、これまでとは違う世界が待っている、ということだけはたしかです。誰もが意識を変え、行動を変えていかないといけません。
いま、世間で大変だとニュースになっているのは飲食店や、音楽業界などです。しかし当然ながら将棋界にも、影響は避けられません。

たとえば道場や教室はいま臨時にお休みしている状態ですが、これを同じ状態で元通りに再開することは、もうできないでしょう。いつ終息するかも分からない状況で、そういう思考停止は、避けるべきです。
各種イベントもなかなか難しくなりそうです。しかし必ず何か策はあるはずなので、探っていかないといけません。

これまで、大勢の人が集まるのは、ほぼ無条件に良いことでした。
「〇万人動員」とか、いろんな業界でよくニュースになっていました。
近年の将棋界ではたとえば「一会場同時対局」のギネス記録がありました。とても価値のあるニュースで、将棋界の一員として誇らしい気持ちになったものです。
しかし、ついこないだまで素晴らしいことだったのが、そうでなくなるケースがあります。価値観の変化を受け入れて、これまでとは違う価値を提供していかないといけません。

我々の対局もどうなるか。将棋は和室や棋具まで含めての文化で、これ自体を変えるべきではないですが、一方で感染防止にも最善を尽くすべきです。
なるべく対局者同士の距離を取る、食事の空間を共有しないなどの基本を、できる限り徹底すべきでしょう。

あとは自分も含めて一人ひとりが、日々の生活でも十分気をつけて、安心して対局に向かえるようにすべきです。
そして万一のときは、休む勇気を持つことです。
棋士は多少熱があったり、具合が悪くても将棋は指せます。体に染みついているからです。案外集中できて良いところに手が行ったりもします。良い手は考えてひねり出すものではなく、指先が覚えているものです。
しかし、いまは具合が悪ければ、絶対に休まなければいけません。

書いたことはあくまで一例で、むしろ書いていない部分での変化のほうが大きいかもしれません。
現状の自分にも、社会にも、不安も不満もあれど、自分自身が変わり続けることでこれからも棋士として生き続けたい、という気持ちを新たにした令和初年度でした。

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