記録係不足

昨日は加藤桃子さんのツイートをきっかけに、記録係不足が話題になっていました。
非常事態宣言発令以降、記録係は若手棋士・女流棋士にお願いすると聞いていたので、足りなくなるのではないかということは当初から心配していました。
それで私自身は、当面だけでも対局者が自分で取る(チェス方式)のが対局室の人数を減らすためにも良いのではないですかと提案したのですが、なるべくいままで通りにやりたい、というのが現状の考えのようです。

たしかに何人かの女流棋士が、連日のように取ってくれていることは気づいていましたが、そこまで極端な状況とは知りませんでした。
5月のことに限っていえば、もともと対局が少ない時期で、かつ例年の半分くらいに減っていて、さらにこのご時世で毎日忙しい棋士は皆無だと思うので、それでそんなに同じ人ばかりがやっているというのは、不可解ではあります。

今の状況で、頼まれて、一度も応じない人が大半ということであればさすがにだらしないと思うし、たぶん、個別に頼まれれば務めてくれるのではないかと思います。
自分のところにもメールが来て、取りますと返事したので、来月は記録を取ることがあるかもしれません。
昨日の加藤さんの訴えはファンや関係者の共感を得ていたように思うので、来月は、たぶん改善されると思います。

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5年前にも記録係不足が深刻になったことがあり、当時もやはり、理事だった自分も記録を取りました。
このときの議論で行われた記録係の「負担軽減策」が、順位戦の2局取りや、持ち時間の実質的な短縮化などです。

この問題を構造的にとらえると記録係は「修行」なのか「仕事」なのか「負担」なのかというところに帰着します。
(1)修行だから若いときには誰もがやって当然
(2)つらい修行だけどやらないといけないし、仕事としてお金をいただけるのはありがたい
(3)誰かがやらないといけない仕事を、応分に負担するのは組織の一員として当然のこと
(4)自分はそんな負担はしたくない。割に合わない
だんだんと上から下に意識が変わってきている感じがします。
(1)の人と(4)の人で議論しても、かみ合いません。

いまでも、記録係が勉強になるのは間違いないと思います。
一方で、より効率的な時間の使い方、勉強法が多くあるのも事実です。
また社会情勢等の変化で、プロを目指す奨励会員の多くが、おこづかいをあまり必要としていないというのも、昔との大きな違いです。
そして奨励会員や女流棋士が務める「仕事」の中には、記録係より割の良いものも昔より多くあります。
記録係が「負担」になってきているのであれば、その事実を受け入れ、輪番制のようなものを取り入れるのが最も自然な解決策でしょう。

伊藤明日香さんが書いているように、女流棋士の対局ではすでに、輪番制に近い形が取られています。
これは棋士の世界と違って、女流棋士を目指して修行中の成人が極めて少ない(未成年のうちにプロになるケースが大半)という理由もあります。
ただ、それでも記録を取らない若い女流棋士もいるのは事実で、普段から取っている人が棋士の対局のほうでも記録を頼まれた結果、↑のような事態が生じたのだと思います。

個人的な解決策は最初に書いた通りですが、現状をいましばらく(自動化が完成するまで)続けるのであれば、せめて記録を熱心に務めてくれるような人が恵まれる社会ではあってほしいなと思います。
あと棋士も皆ひとりの人間として、月に1回程度は自分の時間を組織のために費やすのは自然なこと、と思う人が大半の社会であってほしいと願います。

4件のコメント

  1. いろいろな事情があることがわかりました。
    我関せずの棋士、女流棋士も多そうだなぁと感じました。輪番制、平等でとてもいいように思われます。

  2. 記録を取ることが上達につながるというのは古い考えなのですね。
    アマに解放していただければ希望者が殺到すると思うのですが。

  3. 片山先生のご意見は、いつも考えさせられます。私の息子が症例会員なのですが、本人も希望しておりますし、親としても記録係をして勉強して欲しいです。
    ただ、地方在住でまだ人生経験が少なく、移動や終了後の帰宅が可能かなどが、心配です。

  4. とてもわかりやすく建設的なご意見だと思います
    昔と今とでは社外情勢もかわりましたから進んでされなくなったのでしょうね
    記録係も修行でありそれは誰かがやらねばならない事にはかわりがない
    上記の事実にかわりはないのですから
    公平な輪番制が一番よいかと思います
    どんな棋士の方も対局はあるわけですから
    自分の記録をとってもらうという姿勢はどなたもお持ちだと思いますから
    その謙虚な姿勢がなくなってしまったら
    強くはならないですよね
    長時間の対局は負担が大きければ交代制をとられるなり
    棋士会案件として議論されるべき問題ですから
    まとめられるのは大変でしょうがご尽力期待致します

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